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スチールウール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スチールウール

スチールウール英語:Steel wool)は、非常に微細かつ柔軟な繊維の集合体。平均直径20 - 60μmの不定形断面の鋼細線からなる製品である[1]。一般的に低炭素鋼線を直径3mm程度にまで伸線加工し、これを多数の鋸歯状切刃を有するバイトで長手方向に連続的に切削して製造される[1]1896年に商品化された[2]

利用

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ライトペイントと呼ばれる芸術作品で使用される燃えたスチールウール

家庭用または工業用の研磨剤[1]ブレーキパッドなどに用いる合成樹脂との複合材料[1]などに使用される。このほか以下のような具体例がある。

木工
主に、木工作業での曲面や表面の研磨、ニス塗りや塗装時などに使われる[3]。ただし、オーク材の場合は木材のタンニンと鉄分が反応して変色するため、ステンレスブロンズ製たわしが使用される。
ラスモルタルの材料
モルタルと組み合わせたものはネズミの侵入防止など開口部の穴埋めに用いられる[4]
フィルター
自動車の排ガスフィルターなどに利用される[5]
着火
繊維が細いスチールウールは酸素と結合しやすいことから、緊急時には乾電池を使い、火口として使用される[6]
科学実験
スチールウールの酸化反応は定比例の法則などを学ぶ際の実験材料となっている[7]

規格

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スチールウールの細さ[8]
Grade Name Grade Code inches mm
Super Fine 0000# 0.001 0.025
Extra Fine 000# 0.0015 0.035
Very Fine 00# 0.0018 0.040
Fine 0# 0.002 0.050
Medium 1# 0.0025 0.060
Medium Coarse 2# 0.003 0.075
Coarse 3# 0.0035 0.090
Extra Coarse 4# 0.004 0.100

出典

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  1. ^ a b c d 落合 征雄、大羽 浩「スチールウール用鋼線の被削性におよぼす冶金的因子の影響」『鉄と鋼』第74巻第2号、1988年、388-395頁。 
  2. ^ Iron Age, Vol. LVII, p.871, cited by Journal of the Iron and Steel Institute,Volume 50, Issue 2, p.482
  3. ^ “Steel wool: low-cost, do-everything home and shop material”. Popular Science (Bonnier Corporation) 208 (5): 124. (May 1976). ISSN 0161-7370. https://books.google.ca/books?id=BgEAAAAAMBAJ&pg=PA124&source=gbs_toc_r&hl=en 2009年7月21日閲覧。. 
  4. ^ ネズミ対策の3つのポイント”. 京都府農林水産技術センター畜産センター. 2025年9月3日閲覧。
  5. ^ 『ボッシュ自動車ハンドブック』シュタールジャパン刊、p447
  6. ^ 避難所開設を疑似体験(毎日新聞)
  7. ^ 伊藤 信良、田村 仁「スチールウールの酸化反応」『化学教育』第33巻第3号、1985年、260-261頁。 
  8. ^ Steel Wool Grades”. The Engineering ToolBox. 2014年3月23日閲覧。

関連項目

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