スゴー・カレン族
スゴー・カレン族(Sgaw Karen people、スゴー・カレン語: စှီၤ; ပှၤကညီဖိ)は、カレン族のサブグループである。ミャンマーおよびタイを中心に居住する。自称はプアカニョー(Paganyaw)ないしカニョー(K'nyaw)[1]。ミャンマーおよびタイを中心に居住し、スゴー・カレン語を話す[2]。
民族と言語
[編集]スゴー・カレン語を話す。スゴー・カレン語の方言差はポー・カレン語に対して小さく、概ね意思疎通可能な程度の相互理解可能性を有する[3]。主にキリスト教スゴー・カレン文字を用いて表記するが、仏教徒のスゴー・カレンは仏教スゴー・カレン文字を用いることもあるほか[4]、一部の仏教徒はミャインジーグー文字を用いている[5]。また、キリスト教徒のうちカトリックの信徒は、バプテスト派的文脈を有するキリスト教スゴー・カレン文字を嫌ってローマ字表記を用いることがある[3]。
ミャンマーにおいては、ポー・カレン族とスゴー・カレン族の2グループにより、カレン族が構成されると考えられることが多い[6][7]。池田一人は、「多様な偏差を含んでまとまりのなかった」カレン諸語のなかで、ポー・カレン語とスゴー・カレン語の正書法がいちはやく確立されたことが、「カレンという民族を構成すべき2大要素としてスゴーとポーという下位語族があるという観念」を構築していったと論じている[8]。また、加藤は、数あるカレン諸語のなかでもポー・スゴーの両語は言語学的にとりわけ近い関係にあり、この2つの言語を中心として「カレン族」の概念が確立されていったことは妥当であるとも述べている[3]。
ミャンマー・カレン州およびタイのターク県においてはスゴー・カレン語が日常生活、あるいはSNSでの発信に広く使われる一方、メーホンソーン県では若年層のスゴー・カレンは主にタイ語を利用し、スゴー・カレン語については受動的にしか理解できない。ミャンマーでもヤンゴン周辺のスゴー・カレンの間ではビルマ語への移行が進んでいる[9]。
出典
[編集]- ^ Keyes, Charles (September 2011). The Study of Ethnicity in the Greater Mekong Subregion. Faculty of Liberal Arts, Ubon Ratchathani University. p. 18
- ^ “Hilltribes in Thailand”. 2015年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月7日閲覧。
- ^ a b c 加藤 2011a.
- ^ 加藤 2003.
- ^ Kerbs 2025, p. 10.
- ^ Kato 2019.
- ^ 加藤 2011a, pp. 131–132.
- ^ 池田 2009.
- ^ Kerbs 2025, pp. 13–14.
参考文献
[編集]- 池田一人「ビルマ植民地期末期における仏教徒カレンの歴史叙述 : 『カイン王統史』と『クゥイン御年代記』の主張と論理」『東洋文化研究所紀要』第156巻、2009年12月14日、359–430頁、doi:10.15083/00026923。
- 伊東利勝 編『ミャンマー概説』めこん、2011年。ISBN 9784839602406。
- 加藤昌彦「言語・文学・歌謡」、269-287頁。
- 加藤昌彦「カレン系言語の状況」『国立民族学博物館調査報告 = Senri Ethnological Reports』第39巻、国立民族学博物館、2003年6月30日、115–125頁、doi:10.15021/00001911、ISSN 1340-6787。
- Kato, Atsuhiko (2019). “Pwo Karen”. In Vittrant, Alice; Watkins, Justin. The Mainland Southeast Asia Linguistic Area. De Gruyter. pp. 131-175. doi:10.1515/9783110401981. ISBN 978-3-11-040198-1
- Kerbs, Rudolph Henric Richard (2025). A descriptive grammar of Sgaw Karen (Doctor of Philosophy thesis). Helsinki: University of Helsinki.
{{cite thesis}}: CS1メンテナンス: デフォルトと同じref (カテゴリ)