ストック (スキー)

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ストック
クローチング姿勢をとるスキーヤー

ストック: Skistock)は、スキーで滑走する際にバランスを保持したり、加速したりするために用いるドイツ語: Stock、シュトック、は「杖」を意味する。スキーストックともいう。近年では英語での呼称であるポールスキーポールといった語が日本語でも使われるようになっている。

構造[編集]

ストックは2本で1対となっており、それぞれの手に1本ずつ持つ。握り(グリップ)の部分にはストラップ(手革)がついており、これに手首を通してストックを握る。ストラップのないものもあり、ウイングロックなどと呼ばれるガードのようなもので手首に固定するものもある。ストックの先端付近にはバスケットあるいはリング(雪輪)と呼ばれる円盤状のものがついており、これによってストックが雪の中に沈み込むのを防いでいる。深雪を滑走することを主としたストックは大きなリングが使用される。グリップとリングの間の部分をシャフトと呼び、先端にはアイスバーンなど硬い雪面でも刺さるように石突きとよばれる金属製のパーツが付く。近年はシャフトが2重構造になっていて上部のシャフトの中に下部のシャフトが収納でき、長さを調節できるタイプも増えている。

素材[編集]

素材としてはレース用では高張力アルミが使用され、一般・デモ用のストックではカーボンが使用されることが多い。1980年代まではアルミ製とグラスファイバー製が主流であり、重い重量と耐久性に欠点があった。1990年代中盤に、釣り具メーカーのダイワ精工(現グローブライド)より世界で初めて高密度カーボン製のストックが発売されると、その軽さと曲がりにくい耐久性により世界中のメーカーが追随し、普及が加速した。カーボンはアルミと比べて軽量で細く成型しやすい一方で、レースなどハードな使用には向かないと思われていた。しかし、細く空気抵抗が少なく振り出しやすいため、高速系のアルペン競技や基礎スキー大会に使う選手が多数出てきた。転倒などで衝撃を受けた際にはアルミは折れにくいが曲がり易く、カーボンは曲がることはないが折れやすいといった相反する特性がある。長さを調節できる2重構造タイプのものでは上部がアルミ、下部がカーボン製のものなどもある。日本国内の大まかな実勢価格としては、安価で重いアルミストックでは3000円程度、レース用の最高級品では3万円を超えることもある。

種類[編集]

ストックはスキーの滑走目的や競技内容などによってその長さや形状が異なる。

アルペンスキーの基礎スキーで一般に適切とされるストックの長さは、平面な床に素足で立った時にストックのリングから石突きまでの部分を持って、グリップを手の真下の床に垂直に突いた時、腕が直角になっている状態の長さが良いとされている。ただし、後述する伸縮可能なストックを使い、状況に合わせて長さを変える事もある。

シャフトが伸縮可能なストックもあり、山スキーテレマークスキーでは携帯する目的で以前からよく使われているが、最近ではアルペンスキーの基礎スキーでも使われるようになってきていて、子どもの成長に合わせた長さ調節、滑走姿勢の矯正(後傾姿勢を前傾姿勢に修正するなど)、整地斜面と不整地(コブ)斜面でストックの長さを使い分けるなどの目的で使われている。

コブのある斜面を滑降するモーグルでは、コブの頂点と溝という高低差のあるところを滑るため、溝に入ったときコブの頂点についたストックを谷側にスムーズに反せるように特に短くなっている。

アルペンスキーの競技ではスタート時のスケーティングなどでストックを突きながら助走・加速するのに使われるので、多少長めのものが使用される。その中で滑降(ダウンヒル/Downhill)やスーパー大回転(スーパージャイアントスラローム/Super Giant Slalom, Super G)のように高速滑走が行われるスキー競技では、前方にかがみこんでストックのシャフトを体に沿わせ、石突きを後方に突き出すクローチング姿勢をとるため、脇に抱えやすいように体型に合わせてシャフトが屈曲したストックが用いられる。一方で回転(スラローム/Slalom)では手やシャフトでポールを倒すので、グリップにプロテクタ(ナックルガード)を取り付けたストックを使用する。

クロスカントリースキーでは平らな雪面を突きながら進むため、背中などへの負担を軽くするために長いストックが使われる。

スキージャンプスキーボードではストックは使用しない。

脚注[編集]

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