スキャンレーション

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スキャンレーション (Scanlation) とは、日本国外の漫画ファンが、漫画のオリジナル版、もしくは海賊版を入手し、台詞を彼らの母語に書き換えたうえ、配布する活動である。

オリジナル漫画をスキャン (Scan) し、セリフを翻訳 (Translate) することから、Scanlationという名がついている。対象言語は英語をはじめ独・仏・スペイン語・韓国語・中国語・タイ語・ポルトガル語など多岐にわたる。スキャンレーションを行う行為はスキャンレート (Scanlate) 、スキャンレーションを行う者はスキャンレーター (Scanlator) と呼ばれる。アニメーションを翻訳・公開する同様の行為はファンサブと呼ばれる。

スキャンレーションは多くの場合、原本を調達する者(Raw provider)、翻訳者(Translator)、スキャン担当者(Scanner)、写植担当者(Typesetter)、画像処理ソフトを使用して体裁を整える編集者(Editor)など、主に漫画ファンの閲覧する電子掲示板等で集められた専門技能を持つ者が数人単位のグループを組んで作業にあたる。翻訳者には日本語を学習した英語話者のほか、英語に堪能な日本人も参加していることがあるが、無償で活動する素人集団であるため作業の質は玉石混交で明らかな誤訳もある。完成した作品はスキャンレーター自身のウェブサイトや、スキャンレーション情報を扱うサイトを通じ、ダウンロードやストリーミングBitTorrentなどのPtoPソフトを介して一般に配布される。

法的な問題[編集]

スキャンレーションは出版社作者など著作権者に無断で行われる著作権侵害行為である。スキャンレーターはほとんどの場合自らの行為が違法であることを認識しているが、以下の理由から、スキャンレーションは日本国外における漫画の普及、および読者獲得に貢献していると主張している。

  • 欧米のファンに向けたその漫画の紹介となる。
  • スキャンレーターの多くは翻訳本が出版後公開を中止し、その漫画を買うようファンに勧めるなど、漫画の売上向上に努めている。
  • 翻訳出版の望めないマイナーな作品、話者数の少ない言語の国家や漫画本の入手が困難・不可能な地域では、スキャンレーション以外に漫画を入手する方法がない。スキャンレーションはそれらの国に漫画を広める唯一の手段であり、漫画文化の拡大に貢献している。

かつてスキャンレーションは翻訳出版社(TOKYOPOPVIZなど)が正式に出版ライセンスを獲得した時点でネット上の公開を停止することを暗黙のルールとしていた。しかし近年、翻訳出版権が取得された作品についてもネット上で公開が続けられる作品が増加し、大半が小規模で法的対策をとる資金力に欠ける日本国外の翻訳出版社や、日本の著作権保有企業、ひいては漫画・アニメ産業全体に対する深刻な打撃が顕在化しつつある。スキャンレーションが規模を拡大し、一方で正規の著作権者または出版権者である日本の出版社や日本国外の翻訳出版企業の業績が悪化するに伴い、スキャンレーター側の主張にも関わらず、著作権者はスキャンレーションを漫画事業の日本国外展開に対する重大な妨害行為と見なすようになっている。2010年6月8日、日米の出版社42社が合同で、ネット上でスキャンレーション情報を提供している約30のサイトに対し法的措置を取ることを宣言するに至った[1]

通常、日本の漫画の翻訳版が日本国外で出版される際は、各国の倫理基準による判断をした上で日本の出版社と契約して発行されるが、何の配慮もなく日本国外に流出させた場合、深刻な事態を引き起こし、それが漫画の表現規制に繋がるおそれもある。ゆえに成年コミックなどの性描写を伴う物は危険であると告知する出版社もある[2]

2010年7月、スキャンレーション配布サイト最大手の「OneManga」が違法コンテンツの全面削除を発表した[3]

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]