コンテンツにスキップ

スキッド (兵器)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スキッド
種類 対潜迫撃砲
原開発国 イギリスの旗 イギリス
運用史
配備期間 1943年1977年
開発史
開発者 諸兵器研究部(DMWD)
開発期間 1942年
諸元
重量 10 トン

砲弾 440 lb (200 kg)
口径 12 in (305 mm)
銃砲身 3連装
初速 沈降速度:13.3 m/s
有効射程 250 m (275 yds)
弾頭 マイノール
炸薬量 207 lb (94 kg)
信管 時限信管
テンプレートを表示

スキッド英語: Squid)は、第二次世界大戦期にイギリスで開発された対潜迫撃砲システムの一つ。名称はイカ(Squid [skwid]「スクウィド」)の意。

概要

[編集]

スキッドの開発は1942年から始まり、1943年5月には海上公試が開始された。

先行の対潜迫撃砲であるヘッジホッグは小口径のスピガット・モーターを多連装に配していたのに対し、スキッドは陸戦で一般的に使われていたストークス・モーター式の大口径迫撃砲を、水平方向に安定化された砲架に3連装で搭載している。

スキッドは艦に搭載されたソナーによる管制を受け、ソナーが捕らえた目標が射程に入ると自動的に発射される。ヘッジホッグの弾体が潜水艦への接触で起爆し、同時発射した弾もまとめて誘爆させる方式だったのに対して、スキッドの砲弾は水圧信管を使用し、目標が航行する水深で爆発するように自動で調定された。撃ち出された砲弾は艦の前方250mに一辺40m程度の三角形を作って着水し、至近距離(約7m)での爆発による圧力波で潜水艦にダメージを与える。2基のスキッドを搭載した艦の場合、両方のスキッドが一斉に発射され、砲弾は六角形のパターンを作って着水する。

当初は水中目標のみを対象に開発・運用されていたが、後に浮上潜水艦を攻撃できるようにレーダーとも連携をとることができる改良型が開発・配備された。

初の戦果は、1944年7月31日イギリス海軍の「ロック・キリン英語版」によるもので、ドイツ海軍UボートU-333」を撃沈した。前任者のヘッジホッグ連合諸国の海軍に幅広く採用されたのに対し、スキッドの採用はイギリス連邦諸国を中心として、比較的限定的なものであったが、評価は高かった。日本海上自衛隊も、あやなみ型護衛艦(30DD)の設計段階において、アメリカ製のウェポン・アルファとともに装備を検討したものの、実現しなかった[1]

1950年代後半より、発展型のリンボーが就役しはじめたことから順次に退役し、1977年までに運用を終了した。

搭載艦

[編集]

ギャラリー

[編集]

参考文献

[編集]
  • Brown, David K. (2008). Atlantic Escorts: Ships, Weapons and Tactics in World War II. Annapolis: Naval Institute Press. ISBN 978-1-59114-012-2 
  • Hague, Arnold (2000). The Allied Convoy System 1939-1945:Its Organization,Defence and Operation. Annapolis: Naval Institute Press. ISBN 1-55750-019-3 
  1. ^ 香田洋二「国産護衛艦建造の歩み 第5回」『世界の艦船』第778号、海人社、2013年5月、146-153頁。