スカー (ディズニー)

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ライオン・キング > スカー (ディズニー)
スカー
Scar
初登場 ライオン・キング
原語版声優 ジェレミー・アイアンズ
日本語版声優 壤晴彦
詳細情報
種族 ライオンバーバリライオン
性別
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スカーScar)は、ディズニーアニメーション長編映画ライオン・キング』(1994年)シリーズに登場するキャラクター。同作のディズニー・ヴィランズである。

概要・容姿[編集]

初登場は1994年の『ライオン・キング』。同作が企画された1988年にキャラクター設定が生み出された[1]。キャラクター造形はウィリアム・シェイクスピアの演劇『ハムレット』から影響を受けている[2][3]

主人公・シンバの父親でプライド・ランド国王のムファサの弟。シンバにとっては叔父にあたる。ムファサの先代の王・アハディとその王妃・ウルの次男とされているが、制作スタッフなどの証言からムファサとは血の繋がりがなかった可能性が示唆されている[4]。本名は「タカ」であるが、ムファサによって後述する左目の傷跡を蔑まれる「スカー」とあだ名をつけられた[5]一人称は「俺」。

家族・親戚にはムファサ(兄)、シンバ(甥)、サラビ(義姉もしくは兄嫁)、ジラ(妻)、ヌカ(第一子の長男)、ビタニ(第二子の長女)、アハディ(父)、ウル(母)とモハツ(母方の祖父)がいる。ジラの第三子の次男とされるキアラの夫でシンバとナラの娘婿であるコブは、スカーの実子ではないが跡取りに指名されており左目にスカーと同じ傷をつけられている。

黒く長いたてがみと痩せた褐色の体、左目の傷が特徴。傷を負った経緯は媒体によって異なっており、統一されていない。瞳の色は緑。モデルはバーバリライオン。なお、たてがみは父親譲りで体の色は母親譲りの配色となっている。超実写版では現実のライオンと同様の配色がなされているが、オリジナルと比べてより禍々しいデザインとなり、情報公開当初は賛否が分かれた[6]

性格・人物[編集]

表向きは紳士的で物腰が柔らかいように見えるが、自尊心が高い策略家で陰険かつ狡猾であり、目的の為ならば手段を選ばない冷酷な性格。「知恵比べでは自信がある」という発言の通り、陰謀で王位をとろうとしたりシンバとの戦いで火の粉を武器として使っていたりするなど頭の切れる描写が目立つ。反面、「力比べではひとかけらの自信もない」と自嘲していたものの、成長したシンバとの戦いでは身体が老いていたにも関わらず後一歩のところまで追い詰めるなど、王座を狙うだけの実力は備えている。

TVシリーズ『ライオン・ガード』の描写では、幼少期から「最も強い者が王になるべき」という考えを持っており、そして当時から「最強のライオンは自分だ」と信じて疑わず、その結果として彼を利用しようとした悪のライオン(正式名不明)に襲撃されて左目に傷を負ってしまった。直後にその悪のライオンを怒りに任せて滅ぼすが、ムファサは敵を倒したことに対して褒めるどころかつけられた傷をなじる「スカー」というあだ名をつけたため、ムファサの王としての器に失望し彼を激しく憎むようになる。この事実は彼が劇中歌の「How I Got my Scar(俺がスカーになった訳)」を通して語っている。

劇中では3匹のハイエナ(シェンジ、エド、バンザイ)を率いている他、『ライオン・ガード』においては別のハイエナ達の一族(ジャンジャ、チーズィ、チュング、ネネ、タノ)をはじめ、コブラのウシャリと彼の部下であるトカゲのシュパル軍団、ワニのキブリ一族、ジャッカルのレイレイ一族、コンドルのムズィンゴ議会など、多くの動物を部下として従えている。またハイエナ達の歌う「Bring Back a Legend」という曲の中で「彼はもういないが、彼の物語はまだ生きている(Though he's long gone, his story lives on)」などと称えられている。ただし、そうした部下は利と力で従えているに過ぎず、王となってからは国民の窮状を顧みないなど、長としての器量は乏しい[7]

悪辣な性格ながら歌を愛する陽気な一面もあり、暗い歌よりも明るい歌を好む。ただし、明るい歌を所望されたザズーが『小さな世界』を歌い出したときは、自身への皮肉に聞こえるのか「よせ、その歌だけは聴きたくない」と不機嫌になり、歌を止めさせている(実際に歌ったのはマーヴ・グリフィンの「I've Got a Lovely Bunch of Coconuts」だった)。

劇中でのスカー[編集]

『ライオン・キング』[編集]

作品開始時点での王位継承権は兄のムファサに次いで第二位であったが、そのムファサの子にして王子であるシンバが誕生したことによって第三位になってしまった。それに対して自身の不運を呪い、王位を手にするためムファサとシンバを倒そうと画策する。

作品の序盤で幼少のシンバの好奇心を焚き付けて、王国の外れにある僻地(通称「象の墓場」)に向かわせ、そこを縄張りにしているシェンジらハイエナトリオに襲撃させようとするもムファサが駆け付けたことで失敗。その後は自ら彼らの縄張りに乗り込み、ハイエナトリオをはじめとする大勢のハイエナ達に対して「自分の王権奪取及び政権維持に協力する代わりに、今後の食料供給安定を保証する」という条件で自身の配下に置いた。

後日、自身の計画でハイエナトリオが引き起こしたヌーの暴走にシンバを巻き込ませ、シンバの窮地を知らせる振りをしてムファサを谷に誘い出す。シンバ救出後に崖から這い上がろうとしたムファサの前に立ち塞がり、助けを乞う彼の前脚に爪を立てて崖から転落させ、王の抹殺という自身の野望を達成する[8]。そして父を喪い精神的に深く傷ついたシンバを気遣う振りをしながらも自責の念を抱かせ、事実上彼を国外追放し、直後にハイエナトリオにシンバの抹殺を命じる。しかし、ハイエナトリオはシンバが茨の森に落ち延びたことで深追いが厳しいと見做し、また幼少のシンバが生き延びることなどできないと高をくくったことで彼を見逃してしまっている。

サラビら雌ライオン達にムファサとシンバの死を告げ、自身が王位に就くことを宣言。念願の王の地位を手にしたが、王になってからは苛烈な圧政を敷いたため王国は大きく乱れ[9]、ライオン達はおろか、仲間のハイエナらからも不平が高まる一方だった。やがて、この状況を聞きつけて政権奪還を狙い王国に戻ってきたシンバの姿を目にし驚愕する[10]。ムファサの死の真相を知らぬサラビ達に真実を話すよう強要し、シンバが「自分のせいで(自分を庇ったがために)父が死んだ」ことを告白した途端、彼を父殺しの悪党と一方的にこじつけ、ハイエナ達とともにプライド・ロックの頂上に追い詰める。転落寸前のシンバにかつて自身が手をかけたムファサの姿を重ね、慢心から不用意にも彼に「自分がムファサを殺した」ことを喋ってしまう。真実を知り激昂したシンバに形勢を逆転され、周囲に自身がムファサが抹殺したことを告白する。もはや王国支配の正当性を失ったスカーは、何としても王位を維持するためにハイエナ軍団を率い再び戦いを仕掛けた。最初はシンバと互角の勝負を繰り広げたが、次第に劣勢になると「真の敵はハイエナだ」と矛先をそらそうとしたり、降参したふりをして不意打ちを食らわせるなど悪知恵も駆使するが、最後は兄と同じように崖から投げ落とされて敗北。ムファサと違い転落死は免れたものの、先程の掌返しを聞いていた無数のハイエナ達に取り囲まれてしまう。彼らを「友よ」と呼んで助けを乞うが、協力の見返りとして生活を保証するという約束を守らなかったばかりか、自分たちに罪を擦り付けようとした裏切者として完全に見限られ、怒りが頂点に達した大勢のハイエナ達にそのまま襲われ貪り喰われるという無惨な最期を遂げた。

ライオン・キング2 シンバズ・プライド[編集]

第1作目で亡くなったため本編には登場しないが、上述の妻のジラ、実子のヌカとビタニ、養子でスカーが自ら跡取りに指名したコブが登場する。 ジラ達スカー派のライオンはシンバによってプライド・ランドを追われ、「アウト・ランド」と呼ばれる僻地での生活を余儀なくされていた[11]。しかし、ジラ達はシンバへの復讐を画策しており、復讐の成功とコブの王位簒奪こそがスカーの無念を晴らすことに繋がると考えていた。

シンバの悪夢の中に登場し、ムファサを助けようとしたシンバに爪を立て救助を妨害、さらにそのシルエットはコブに変わり、彼をヌーの谷底に突き落とすところでシンバの目が覚める。また、激昂したジラによって傷を負ったコブを見て多くの者がスカーを連想する、ライオン以外の動物からもプライド・ランドを荒廃させた暴君として忌み嫌われるなど、死してなお強い影響力を持っていた。

『ライオン・ガード』[編集]

スカーを支持する派閥の筆頭格だったジャンジャとウシャリが自らを囮とした作戦で、カイオンに火山で雄叫びを使わせたことにより、炎の霊魂として復活を遂げる。そしてアウトランドに棲んでいる悪の動物達を集め、ライオンガードに対抗すべく総勢23体もの構成員が集結した「スカー軍(Army of Scar)」を結成。協力してガードを倒し、プライドランドを自分達のものにする計画を立てた。

しかし個性的なメンバーが多いスカー軍の足並みはなかなか揃わず、しまいにはジャンジャとレイレイとムズィンゴとキブリの間でリーダー争いが起きる。そして完全に仲間割れをしたジャンジャと彼が率いるハイエナ一族は彼らのもとを離れ、あろうことかガードの側についてしまう。これがきっかけで主力を失った軍は大幅に弱体化し、最終的にはウシャリと彼の部下であるシュパル軍団を除いた全ての構成員が倒されるか降伏するに至った。

最終決戦ではウシャリの一撃でカイオンに傷をつけることに成功させたものの致命傷にまでは至らず、直後にカイオンに雨降らしの効果を持った雄叫びを受けて消滅した。最後まで忠誠を誓っていたウシャリはそれでもスカーを守ろうとカイオンに襲いかかるがバンガに妨害され、勢い余って燃え盛る溶岩の中に落ちて死んだ。

キャラクターソング[編集]

  • Be Prepared(準備をしておけ)[12]
  • I have a plan(俺の計画)
  • How I got my Scar(俺がスカーになった訳)

エピソード[編集]

初期案ではニシキヘビをペットにしているという設定が存在したが、本編では採用されなかった[13][14]

ヘラクレス』では、彼にそっくりなライオンの毛皮が登場している。なお、『ライオン・キング』本編でザズーから「あれは良い敷物になる」と皮肉を言われる場面がある。

モバイルゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』に登場するレオナ・キングスカラーは、デザイン・設定ともにスカーをモチーフにしている。

脚注[編集]

  1. ^ Geirland, John (2011). Digital Babylon. New York City: Skyhorse Publishing Inc.. ISBN 9781611456417. https://books.google.com/books?id=Y8doGEvWTLEC&pg=PT27 
  2. ^ THE ORIGINS OF 'THE LION KING'”. James Cummins Bookseller. James Cummins Bookseller. 2014年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月12日閲覧。
  3. ^ Roger Allers & Rob Minkoff Interview”. Movie Muser. Muser Media. 2015年11月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月11日閲覧。
  4. ^ 『ライオン・キング』ムファサとスカー、実は兄弟じゃなかった ― 裏設定をプロデューサーが暴露”. THE RIVER (2017年8月21日). 2021年11月23日閲覧。
  5. ^ 「スカー(Scar)」とは英語で「傷」を意味する。また、「タカ」とはスワヒリ語で「汚れ」「欲望」という意味がある
  6. ^ 思ってたのと違う?実写版『ライオン・キング』をめぐって議論勃発”. BuzzFeed_Japan (2019年4月27日). 2021年11月21日閲覧。
  7. ^ 事実、彼が従えていた動物達は彼が本当の窮地に陥った時にはウシャリを除いて誰も彼を助けなかった。
  8. ^ このとき、目撃者になる可能性のあったザズーは気絶させられていた。
  9. ^ 小説版ではプライドランドが旱魃に見舞われたことも重なっている。
  10. ^ この時、成長したシンバを一瞬だがムファサと誤認した。同時に、ハイエナトリオがシンバを見逃していたことを悟り、彼らを睨み付けた。
  11. ^ 枯れた土地のアウト・ランドには獲物となる草食動物がおらず、彼女らはシロアリを食べて飢えを凌いでいた。
  12. ^ このとき、歌唱を担当していたジェレミー・アイアンズが一時的に喉をつぶしてしまったため、ジム・カミングスがアイアンズの声を真似て最後の3割を担当した。
  13. ^ Roy, Gitanjali (2014年6月24日). “Do You Know These 20 Things About The Lion King? Be Prepared”. NDTV. New Delhi, India: NDTV Convergence Limited. 2014年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月25日閲覧。
  14. ^ 10 Unknown Facts About The Lion King”. Dope & Famous. Dope and Famous (2014年5月2日). 2014年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月28日閲覧。

外部リンク[編集]