スカートめくり

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スカートめくりスカートまくりとは着用中のスカートを不意・計画的にめくり上げて下着や下半身を露出させる行為である。他人のものをめくり上げた場合は迷惑防止条例違反、自分のものをめくり上げた場合は公然わいせつ罪となることがある。犯罪行為となりうるが1960年代から1980年代にかけて、幼稚園児から高校生までの児童生徒、もしくは3歳から18歳までの少年が主に少女を狙って流行した。

スカートめくりを行う心理としては、性的欲求、気になる相手への悪戯心、果ては特定の個人に対するいじめなどが挙げられる。

経緯[編集]

古くは、大阪ことばで「おいどまくりご法度」(「おいどまくりはやった」)と称した着物の裾めくりが存在した。この、文句を唱えながら相手の着物の裾をたくし上げる児戯は、明治末まで流行ったとされる[1]。のちに昭和の子供がスカートめくりとなったのも、着物からスカートを着衣する風習がかわっただけで根本的には同様のものだと指摘される[2]

昭和初期[編集]

昭和初期から第二次世界大戦前は、建前上は性抑制英語版が標榜された時代であったが、それでも子供は親の目を盗んで「お医者さんごっこ」なり「スカートまくり」を行っていたと、第二次世界大戦後の書籍に書かれている[3]。戦後まもない生まれの人間も、幼少時代に「スカートまくり」は行われていたと、往時を振り返って証言している[4]

1970年に流行[編集]

1969年丸善石油(現コスモ石油)のテレビCMで、突風で小川ローザのスカートが舞い上がり、「オー!!モーレツ」と叫んで小川がそれを押さえるシーンが登場し、これと重なる時期に永井豪の漫画『ハレンチ学園』がヒットしたことで、「モーレツごっこ」と称するスカートめくりが1970年頃に小中学校で流行した[5][6]。1971年には、小学生のスカートめくりは下火になったと報告されているが[7]、撲滅されたわけではなく、今日まで嫌がらせ、あるいはいじめの一環として小・中・高校生のあいだにあり続けており、世情調査もいくつか発表されている(以下参照)。

平成以降[編集]

1998年科学警察研究所で刊行された調査では、高・大学生の問い合わせでは28.8%が「ズボン・パンツを脱がされた/スカートめくり」を体験したと回答している[注 1][8]。同時に、高・大学生に対して各種の性的いやがらせの許容度(いかなる場合も許されないの回答率)を問うたところ、「スカートめくり」(74.3%)との結果で、これは「抱きつく」(70.7%)、「キス」(70.2%)、「いやらしい目つき」(69.8%)と同等水準だった[9]

同年の民間の出版物では、中・高校生のこうした行為を性的いやがらせのうち「身体的ないやがらせ」に数え統計を出しているが[注 2]、小学生による「スカートめくり」の場合は、世論としていたずらとして看過されがちだと指摘している[10]

2017年には現職教員と大学教員のアンケート調査(ただしこちらは見たり聞いたりしたことがあるかの調査)も発表されており、全員に近い人数がズボンおろしやスカートめくりを勤務校や、周囲の生徒に発生した事実と認識した[11]

スカートめくりの風[編集]

マリリン・モンロー

マリリン・モンローのスカートが地下鉄の風圧で舞い上がるシーン(『七年目の浮気』1955年)が有名であるが[12]、上述の1969年の「モーレツ」のCMは、そのパロディではないかとの推察がある[13]

また「スカートめくりの風」と、この映画の強風を形容していることが1977年にこの女優が出演する別の映画の8ミリ映画版販売広告に確認できるが[14][注 3]、1951年の『キネマ旬報』の掲載されたモンローが出演しない映画の批評に、似たような表現もみられる[16]

自身のスカートめくり[編集]

スカートを着衣した人間が自分のスカートをめくって露出をおこなうことも可能である。芸能人が話題性のために公衆の面前で故意に行う事もある[17]。また、女装した男性がそのスカートを自分でめくって露出する事件が、新聞掲載されている[18][19]

スカートめくりを取り扱った作品[編集]

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めくって見せる例

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 調査では「被害」という表現は避け、「体験」とした。
  2. ^ 結果のうち、身体的ないやがらせを受けたか、の回答は、女子の65%、男子の43%。
  3. ^ 映画の設定とは異なるが、米国では高層ビルの側面を吹き降ろす風によって通行人のスカートがめくれ上がる現象は「モンロー効果」と命名されている。1970年3月23日、米国のノースウェスタン大学で開催されたシンポジウムのことで、同大学のリチャード・パーメリー准教授 Richard Parmelee 准教授が名付け親である[15]モンロー/ノイマン効果とは別。

出典[編集]

  1. ^ 前田勇 『上方語源辞典』 東京堂、1965 、58頁https://books.google.com/books?id=JxJFAQAAIAAJ&q=%22おいどまくり%22 
  2. ^ 田辺聖子 『大阪弁おもしろ草子』 講談社、1985年、102頁https://books.google.com/books?id=9psmAAAAMAAJ&q=%22おいどまくり%22 
  3. ^ 読売新聞社, 電通PRセンター編 『昭和の横顔: 数字でたのしむ50年』 読売新聞社、1975年、142頁。ASIN B00DNVNS02https://books.google.com/books?id=xxIgAAAAMAAJ&dq=%22スカートまくり%22 
  4. ^ ねじめ正一 (1999), "スカートめくり"%22 “スカートめくり Skirtlifting”, 昭和少年図鑑 (白泉社): p. 50, https://books.google.com/books?id=n2oyAQAAIAAJ&q=%22昭和+"スカートめくり"%22 
  5. ^ 藤島宇策 『戦後マンガ民俗史』 河合出版、1990年、137–138頁。ISBN 4879990248https://books.google.com/books?id=V_S_AAAAIAAJ&q=%22モーレツごっこ%22 
  6. ^ みちくさ学会 『みちくさ学会 研究報告第3集 近代歴史(昭和)』 インプレス、2013年。ASIN B00DNVNS02https://books.google.com/books?id=Okhi4BqhKB4C&pg=PT278 
  7. ^ 黒川義和 「男女両性教育に関する基礎的研究(VI) 小学生の性成熟と性意識、性成熟の前傾に対処する教育条件」 『大阪府科学教育センター研究報告集』 64号、1971年。 ; 論集 第2巻, 82頁。
  8. ^ 加門博子; 及川里子; 内山絢子絢子 「高校生・大学生の性被害の経験」 『科学警察研究所報告: 防犯少年編』 39巻1号 科学警察研究所、34頁、1998年8月https://books.google.com/books?id=g3pqC9YzsxkC&q=%22スカートめくり%22 
  9. ^ 内山絢子絢子; 及川里子; 加門博子 「高校生・大学生の性被害に対する社会的態度」 『科学警察研究所報告: 防犯少年編』 39巻1号 科学警察研究所、45頁、1998年8月https://books.google.com/books?id=g3pqC9YzsxkC&q=%22許されない%22 
  10. ^ 佐伯胖 (1998), "スカートめくり"+"いたずら"%22 岩波講座現代の教育, 黒崎勲, 佐藤学, 田中孝彦, 浜田寿美男, 藤田英典, 岩波書店, p. 58, https://books.google.com/books?id=mSAqAQAAIAAJ&dq=%22"スカートめくり"+"いたずら"%22 
  11. ^ 葛西真記子; 吉田亜里咲 「中高生の性的いじめの現状 : 教員と学生へのインタビュー調査から」 『鳴門教育大学研究紀要』 32巻 科学警察研究所、226–236頁、1998年8月https://naruto.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=27982&item_no=1&page_id=13&block_id=33 
  12. ^ 「愛のむきだし (評)」 『キネマ旬報』 1525号、144頁、2009年https://books.google.com/books?id=-L5NAQAAIAAJ&q=%22マリリン%22 
  13. ^ 中川正之 「マリリン・モンローの驚き」 『月刊言語』 34巻11号、43頁、2005年11月https://books.google.com/books?hl=ja&id=YuYpAQAAIAAJ&dq=%22モーレツ+マリリン%22 
  14. ^ 富士映像システム(株)、8ミリ映画『紳士は金髪がお好き』の宣伝、『キネマ旬報』699~702 号、1977年。"アメリカのパルメル教授から例のスカートめくりの風に「モンロー効果」という新学術名まで奉られた永遠の恋人モンロー"とある。
  15. ^ Hughes, Patrick (July 1971), “When the Wind Blows”, NOAA (National Oceanic and Atmospheric Administration) 1 (3): 38, https://books.google.com/books?id=CIHoSJ0pAdQC&pg=RA2-PA38 
  16. ^ 飯島正 (1951-04), “外國映画批評 奧様は魔女”, キネマ旬報 (12): 64, https://books.google.com/books?id=bJA2AAAAMAAJ&q=%22%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A2%E3%83%88%22+%22%E3%81%BE%E3%81%8F%E3%82%8B%22 
  17. ^ 川村りか、セクシーな超ミニスカワンピで登場 自らのスカートめくりに周りは仰天”. シネマトゥデイ (2010年3月14日). 2020年1月24日閲覧。
  18. ^ 「女装して露出する男!」静岡新聞 SBS』 、2018年7月18日https://www.at-s.com/news/article/anan/mail/516829.html 
  19. ^ 「スカートめくり下半身露出の女装男を逮捕」産経新聞』 、2018年11月20日。 オリジナルの2018年11月20日時点によるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20181120083554/https://www.sankei.com/affairs/news/181120/afr1811200032-n1.html 
  20. ^ 『笑えるけど超ヤバい! テレビ放送事故&ハプニング』廣済堂出版、2007年7月28日、p.135。ISBN 978-4-331-51243-22011年5月20日閲覧。
  21. ^ 「おいでシャンプー」振り付け変更についてのお知らせ”. 乃木坂46公式サイト. 乃木坂46運営委員会 (2012年4月16日). 2013年7月22日閲覧。

関連項目[編集]