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ジョーズ (アトラクション)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジョーズ
アトラクションのエントランスに設置されているジョーズの像(ユニバーサル・スタジオ・フロリダ / 2010年)
ユニバーサル・スタジオ・フロリダ
エリアサンフランシスコ・エリア
状態閉鎖
コスト4,500万ドル
オープン1990年6月7日 (35年前) (1990-06-07)
クローズ2012年1月12日 14年前 (2012-01-12)
置き換え先ハリー・ポッター・とグリンゴッツからの脱出(ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
エリアアミティ・ビレッジ
座標北緯34度39分58.2秒 東経135度25分54.3秒 / 北緯34.666167度 東経135.431750度 / 34.666167; 135.431750
状態営業中
コスト3,500万ドル
オープン2001年3月31日 (25年前) (2001-03-31)
主なデータ
種類 ライド・アトラクション(ボート
設計者 ユニバーサル・クリエイティブ
ライド&ショーエンジニアリング英語版(1990年版)
Totally Fun Company英語版(1993年版)
テーマ ジョーズ
全長 350 m (1,150 ft)
車両種 ボート
両ごとの定員数 48名
列数 8名
列ごとの定員数 6名
所要時間 約7分
製造者 ライド&ショーエンジニアリング英語版(1990年版)
インタミン(1993年版)
MTS Systems Corporation英語版(アメリカ版)
身長制限 122cm以上
付き添い者同伴の場合制限なし
協賛 三井住友カード株式会社
チャイルドスイッチ 利用可能
ウィッグ 着用可能
バリアフリー・アクセス 車椅子に対応

ジョーズ: Jaws)は、映画『ジョーズ』を題材としたボートライド型アトラクションである。現在はユニバーサル・スタジオ・ジャパンでのみ運営されている。

存在するパーク

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ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

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2001年3月31日のパーク開園時に、アミティ・ビレッジ内でオープンした。ユニバーサル・スタジオ・フロリダに存在していた同アトラクションが閉鎖されたことにより、現在は世界で唯一運営されているアトラクションとなっている。

開業当初のスポンサーはANAであったが、現在は三井住友カードがスポンサーを務めている。プラチナカード会員向けには、専用ラウンジの提供などのサービスが行われている[1][2]

2017年10月9日18時頃、ゲスト49人が乗船していたボートの後部エンジン付近から黒煙が発生するトラブルが発生した。全てのゲストは無事に避難し、クルーが消火器を使用して鎮火したため、負傷者は出なかった[3][4]

バイオディーゼル燃料の活用

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2024年11月22日、ボートの燃料を、廃棄食用油から製造されたバイオディーゼル燃料(BDF)を混合した軽油へ切り替えた。園内レストランで使用されたポテトの揚げ油などを再利用し、脱炭素化を推進する取り組みで、廃食用油の活用は同パークで初の試みとなった[5]

同日以降、運航する全8隻のボートに、バイオ燃料を5%混合した軽油が導入された。園内28店舗のレストランで使用される食用油は年間約189トンに上り、このうち不純物を除去した後、一部は洗剤として再利用され、残り約80%がバイオ燃料として活用されている[6]

これらの取り組みにより、二酸化炭素(CO₂)の削減量は年間約17トンに達するとされている[7]

ジョーズ・セレブレーション

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2025年11月19日から2026年1月4日まで、映画『ジョーズ』の日本公開50周年を記念したアニバーサリーイベント『ジョーズ・セレブレーション』が開催された[8][9]

期間中は、「アミティ・ビレッジ」のシンボルであるハンキング・シャークに50周年限定のクリスマスリースが装飾されたほか、「ジョーズ・フォト」では特別デザインのフォトテンプレートが登場した。アトラクションではイベント仕様の特別アナウンスが実施された[10]

また、「アミティ・ランディング・レストラン」はブリトーメニューを中心にフルリニューアルされ、周年デザインの特別ステッカーが「アミティ・ビレッジ」および「アミティ・アイスクリーム」で配布された[11]

過去に存在したパーク

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ユニバーサル・スタジオ・フロリダ

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開業と初期のトラブル

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ユニバーサル・スタジオ・フロリダでは、1990年6月7日のパーク開園と同時に、サンフランシスコ・エリアで「ジョーズ」がオープンした。本アトラクションには、全長約24フィート、重量約3トンのアニマトロニクス製サメが使用され、ボーイング747のエンジンに匹敵するとされる水力を備えた油圧システムにより水中を移動する構造であった[12]。制御には約2,000マイルの電線と7,500トンの鉄材が用いられていたとされる。

しかし、オープン初日は悪天候の影響で正常に作動せず運休となり、その後も機械的トラブルが頻発した。しかし、オープン初日は悪天候の影響で正常に作動せず運休となり、その後も機械的トラブルが頻発した。特に、サメがボートを咬んで回転させる演出や、フィナーレの爆破演出は不具合が多く、ゲストの避難誘導が行われる事態も生じた[13]。咬みつき演出では実物のサメの歯が用いられていたため、ボートの損傷を招く要因となり、爆破演出についても作動不良時には船長がアドリブで対応する場面があった[13][14]。演出のリアルさから、実際の事故と誤解したゲストから苦情が寄せられることもあった。

設計見直しと再開

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ガソリンタンクの爆発シーン

これらの問題を受け、ユニバーサルは修理のみでの解決は困難と判断し、開業から約2か月半後にアトラクションを一時閉鎖した。設計を担当した企業との法的措置も取られたが、十分な試験期間を確保しなかった点も批判の対象となった[13]

その後、トータリー・ファン・カンパニー英語版、ITECエンターテインメント、インタミンオーシャニアリング・インターナショナル英語版など複数の専門企業が改修に関与し、問題の多かった演出は再設計された。ボートを咬む演出や爆破演出は、『ジョーズ2』をモチーフとした感電死シーンやガソリンタンク爆発シーンに置き換えられ、新たに導入されたサメは、約12トンの油圧リフトと500馬力相当の出力を備える、信頼性の高い仕様となった。

改修後のアトラクションは1993年春に再開された[14]。ただし、総製作費は約4,000万ドルに達し、運営には年間約200万ドル分の燃料消費や、約500万ガロンの水を使用するラグーンの定期排水が必要とされた。1995年には、排水に含まれる汚染物質について環境当局から指摘を受け、適切な処理が求められた。

また、アトラクション運営の要である船長には、5日間の集中トレーニングが義務付けられ、十分な技能が認められるまで指導が行われた[13]

燃料価格高騰と運営縮小

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2004年のハリケーンシーズン以降、燃料価格の高騰を背景に、アトラクションは2005年1月から12月まで一時閉鎖された[15]。この期間に待ち列エリアの改装やボート・サメの塗装更新が行われ、同年12月に再開したが、以降は繁忙期のみの限定運営となった。

2007年以降、爆発や炎を伴う演出は段階的に削減され、特に炎の演出は2011年までに大幅に弱められ、演出規模は縮小傾向にあった。

クローズと跡地利用

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2011年12月2日、ユニバーサルは「ジョーズ」を含むアミティ・ビレッジ全体を閉鎖し、その跡地に「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」のロンドン/ダイアゴン横丁を建設する計画を発表した[16]。これは、隣接するアイランズ・オブ・アドベンチャーで2010年に開業したホグズミード村が成功を収め、来園者動向の偏りが生じたことを背景としている[16]

これに伴い、「ジョーズ」は2012年1月2日に正式にクローズした。現在もダイアゴン横丁内には、映画の挿入歌「Show Me the Way to Go Home英語版」を用いた装飾や、ショップのショーウィンドウに展示されたサメの歯など、アトラクションの名残が見られる。また、エントランスに設置されていたサメ像は、サンフランシスコ・エリアのフィッシャーマンズワーフに移設され、現存している。

ストーリー

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背景設定

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1974年、港町アミティでは「ジョーズ」として知られる巨大なホホジロザメが出現し、多くの住民や観光客が襲われる事件が発生した。このサメはマーティン・ブロディ、クイント、そしてマット・フーパーによって駆除されたが、事件の記憶は町に深い影を落とした。この出来事は後に『ジョーズ』として映画化され、世界的な知名度を得ることとなる。一方で、事件後のアミティでは観光客が激減し、町は経済的な打撃を受けた。

観光客を呼び戻すため、島の住民で船乗りのジェイク・グランディは、かつてのサメ事件の舞台を巡るボートツアーを企画する。これがアトラクション「ジョーズ」の物語の導入部となっている[17]

待ち列

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ツアー開始前、ゲストは待ち列エリアでアミティの港町の雰囲気を体験する。エリア内には釣り用品や海産物などが展示され、地域の生活感が再現されている。また、アミティのローカルテレビ局「WJWS13: The Station That BITES」の放送映像が流れ、トークショー、子供向け番組、ニュース、地元企業の広告などを通して、町の日常や過去の出来事が紹介される。これにより、ゲストはツアー前から物語世界への没入感を高める構成となっている。

ライド

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ゲストはジェイクのツアーボートに乗り込み、船長の案内のもと、1974年のサメ事件の舞台となった場所を巡る航行に出発する。船長はボートに武装が備えられていることを説明しつつも、事件以来サメは目撃されていないとして、当初は楽観的な態度を示す。

ツアーは順調に進むが、途中で別のツアーボート「アミティ・スリー」からの遭難信号が入る。現場に向かったゲストのボートは、その残骸を発見し、直後に水中からジョーズが姿を現す。サメはボートを執拗に襲い、船長は応戦しながら一時的にボートハウスへ退避するが、ジョーズは壁を突き破って侵入する。

脱出後も追撃は続き、船長は救援を待つ余裕はないと判断し、自らジョーズを倒す決意を固める。戦闘の最中、誤ってガソリンタンクを撃ってしまい、周囲は炎に包まれるが、ボートは間一髪で脱出する。

最終局面では、高電圧ケーブルが張られた古い桟橋付近にジョーズを誘導し、サメが誤って水中ケーブルに噛みついたことで感電死する。ツアー終了後、ゲストは「アミティの平和を取り戻した」と称えられるが、船長はこの出来事を秘密にするよう求め、ボートは港へと戻る。

日本版

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開業当初はフロリダ版とほぼ同一のシナリオで構成されており、無線音声は英語、船長の台詞も現在とは異なっていた[18]。2002年頃にシナリオが刷新され、現在の日本版独自の演出が導入された。

日本版では、基本的なストーリーラインはフロリダ版を踏襲しつつ、細部に独自設定が加えられている。アトラクション名は「アミティー・ハーバー・ツアー」とされ、演出や台詞は日本の来場者向けに調整されている。

待ち列エリアでは、日本版独自の映像演出として、観光案内番組『Amity Tourism Bureau』が放映される。映像では「ミス・アミティ」として登場するマリリー・クロフォードが、メジャー・ヴォーン市長とともに町の見どころを紹介する[19]。また、待ち列内の小道具や装飾もフロリダ版とは異なる内容となっており、日本独自の演出によって港町アミティの世界観が表現されている[20]

製作

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アニマトロニクスホオジロザメ

「ジョーズ」アトラクションの起源は、1964年に開業したユニバーサル・スタジオ・ハリウッドの「スタジオ・ツアー」に遡る。1976年、映画『ジョーズ』の公開翌年に、同ツアー内へホホジロザメがゲストを襲う演出が追加された。このシーンはアニマトロニクスによって再現され、後に同パークを象徴する演出の一つとなった。

この成功を受け、ウォルト・ディズニー・カンパニー最高経営責任者であったマイケル・アイズナーは、ディズニーパークに類似のスタジオ型アトラクションを導入する構想を立て、フロリダに建設予定であったディズニー・ハリウッド・スタジオへの設置を決定した[21]

これに対抗する形で、ユニバーサルはフロリダにユニバーサル・オーランド・リゾートの建設を計画した。ディズニー近隣にテーマパークを開設することで、観光客の流動を取り込む狙いがあったとされる。1985年にディズニー・ハリウッド・スタジオの建設が始まると[21]、、ディズニーが「スタジオ・バックロット・ツアー」を計画していることが明らかとなり、ユニバーサル側は強く反発した。

この結果、ユニバーサルはユニバーサル・スタジオ・フロリダに「スタジオ・ツアー」を全面的に導入する構想を断念し、ツアー内で特に人気の高かった演出を独立したアトラクションとして展開する方針へと転換した。その代表例として開発されたのが「ジョーズ」である。

アトラクションのデザインを担当したピーター・アレキサンダーは、当初はウォーターライド形式でクライマックスのみにサメを登場させる案を構想していた[21]。しかし、映画の物語性を重視する方針へ変更され、シリーズの監督であるスティーヴン・スピルバーグも制作に関与することとなった。特殊効果とサメのリアリティ向上のため、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドのスタジオ・ツアーで同演出を手がけたライド&ショーエンジニアリング英語版が再び起用された。

製作費は当時の金額で約3,000万ドルに上り、現在の価値では約5,300万ドル相当とされている。

脚注

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  1. USJ内の「三井住友カード ラウンジ」の内部を公開!人気アトラクション「JAWS」に優先搭乗できるほか、無料のドリンクを飲みながら休憩&スマホ充電も可能”. クレジットカードおすすめ最新ニュース[2020年]. 2020年3月29日閲覧。
  2. 「三井住友プラチナカード」の会員だけが利用できるUSJの特別ラウンジを紹介! 人気アトラクションの「ジョーズ」の中に新規オープンしたラウンジとは?”. クレジットカードおすすめ最新ニュース[2020年]. 2020年3月29日閲覧。
  3. USJ:「ジョーズ」から黒煙 けが人なし、エンジン焼く”. 毎日新聞. 2020年3月29日閲覧。
  4. USJの「ジョーズ」、ボートから黒煙 乗客は全員避難:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2020年3月29日閲覧。
  5. USJ「ジョーズ」にバイオディーゼル船 パークも脱炭素”. 日本経済新聞 (2024年11月22日). 2024年12月25日閲覧。
  6. 産経新聞 (2024年12月5日). USJの「ジョーズ」バイオ燃料で運航 園内の廃食油活用し、年17トンのCO2削減へ”. 産経新聞:産経ニュース. 2024年12月25日閲覧。
  7. USJの「ジョーズ」や航空機にも 使途広がる廃食用油”. 毎日新聞. 2024年12月25日閲覧。
  8. author (2025年10月16日). 人気の『アミティ・ビレッジ』が祝祭感に包まれる!ユニバーサル・スタジオ・ジャパン「ジョーズ・セレブレーション」”. Dtimes. 2026年1月2日閲覧。
  9. USJ、「アミティ・ビレッジ」エリアがお祝いムードに 『ジョーズ』公開50周年記念イベント【概要】:山陽新聞デジタル|さんデジ”. 山陽新聞デジタル|さんデジ. 2026年1月2日閲覧。
  10. USJで映画「ジョーズ」日本公開50周年イベント開催 アミティ・ビレッジで特別な催し続々”. 女子旅プレス (2025年10月16日). 2026年1月2日閲覧。
  11. 株式会社インプレス (2025年11月18日). USJ「ジョーズ」50周年イベントがスタート! レストランの新メニューを初日に食べてきた”. トラベル Watch. 2026年1月2日閲覧。
  12. Geryak, Cole (2019年1月31日). Extinct Attractions: Jaws: The Ride (英語). LaughingPlace.com. 2020年3月29日閲覧。
  13. 1 2 3 4 We'll Be Shark Bait in Ten Minutes! A Brief History of Jaws, the Ride (英語). WanderWisdom. 2020年3月29日閲覧。
  14. 1 2 Jaws: The Ride (英語). theStudioTour.com. 2020年3月29日閲覧。
  15. We'll Be Shark Bait in Ten Minutes! A Brief History of Jaws, the Ride (英語). WanderWisdom. 2020年3月29日閲覧。
  16. 1 2 Jaws: The Ride (英語). theStudioTour.com. 2020年3月29日閲覧。
  17. ジョーズ|アトラクション|ユニバーサル・スタジオ・ジャパン|USJ”. USJ. 2020年3月29日閲覧。
  18. 9418 Productions (2023-03-11), JAWS Ride - Universal Studios Japan - Opening Day March 2001 2025年1月17日閲覧。
  19. USJ情報局 L.C.A.STUDIOS (2023-11-25), USJ『ジョーズ』 待ち列ビデオ(Part1) 2025年1月17日閲覧。
  20. Final Look at Jaws The Ride Universal Studios Orlando Florida Complete Attraction On-Ride HD POV - YouTube”. www.youtube.com. 2021年2月16日閲覧。
  21. 1 2 3 Geryak, Cole (2019年1月31日). Extinct Attractions: Jaws: The Ride (英語). LaughingPlace.com. 2020年3月29日閲覧。

外部リンク

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  • ジョーズ - ユニバーサル・スタジオ・ジャパン