ジュドゥーンの襲来

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジュドゥーンの襲来
Fugitive of the Judoon
ドクター・フー』のエピソード
撮影が行われたグロスター大聖堂
話数シーズン12
第5話
監督ニダ・マンズール
脚本ヴィネー・パテル英語版
クリス・チブナル
制作ニッキー・ウィルソン英語版
音楽セーガン・アキノラ英語版
初放送日イギリスの旗 イギリス 2020年1月26日
エピソード前次回
← 前回
ニコラ・テスラと恐怖の夜
次回 →
宇宙からの病原体
ドクター・フーのエピソード一覧

ジュドゥーンの襲来」(ジュドゥーンのしゅうらい、原題 : "Fugitive of the Judoon")は、イギリスSFドラマドクター・フー』の第12シリーズ第5話。脚本はヴィネー・パテル英語版クリス・チブナル、監督はニダ・マンズールが担当し、2020年1月26日に BBC One で初放送された。視聴者数は557万人で、批評家からは主に肯定的なレビューを受けた。

あらすじ[編集]

マスターの行方を追っていた13代目ドクター(演:ジョディ・ウィテカー)は、ジュドゥーングロスタシャーで執行フィールドを展開して逃亡犯の捜索を開始していることに気付く。民間人に莫大な死傷者が出うる状況を目にし、ドクターはジュドゥーンが刑を執行する前に調査を始め、寝室に地球外由来の物体があったツアーガイドの女性ルース・クレイトン(演:ジョー・マーティン英語版)と協力して状況の打開を試みる。一方でドクターのコンパニオンたちは執行フィールドの影響で次々にジャック・ハークネス(演:ジョン・バロウマン)の下へ転送される。

撮影が行われた西ウスク灯台英語版

ジュドゥーンの包囲網を脱出したドクターとルースは、ルースが暮らしていた灯台へ向かう。灯台の近くの地面からターディスが出土したこと、さらにカメレオン・アーチを開いてルースがタイムロードの記憶を取り戻したことで、ルースとドクターは同一人物であることが明らかになる。ドクターにはルースの記憶がなかったが、ルースの知るガリフレイはタイム・ウォーやマスターによる滅亡を経ておらず、ルースはドクターの知らない過去の姿であることが示唆される。

一方でジャックは誤って呼び出したグレアム・オブライエン(演:ブラッドリー・ウォルシュ英語版)たちを地球へ戻すと同時にドクターへの伝言を依頼する。それは"孤高のサイバーマンの望みを叶えるな"というものであった。

製作[編集]

脚本[編集]

「ジュドゥーンの襲来」は第11シリーズ「パンジャブの悪魔」を執筆したヴィネー・パテル英語版エグゼクティブ・プロデューサークリス・チブナルが脚本を担当した[1][2]

配役[編集]

「ジュドゥーンの襲来」にはドクターの知らない過去の姿であるルース役でジョー・マーティン英語版が出演し、ジャック・ハークネス役のジョン・バロウマンも10年ぶりに復帰した。

ジョー・マーティン英語版が演じたルース・クレイトン[2][3]は、後にドクターの未知の過去の姿であることが明かされた。マーティンは2005年以降の新ドクター役俳優と同様にドクター役として"導入"[注 1]される形でクレジットされた[4]ネイル・スターク英語版ジュドゥーン役で出演した[5][2]。他のゲスト出演者は2020年1月上旬に Doctor Who Magazine 第547号で報じられた[2]

本作ではジャック・ハークネス役のジョン・バロウマンも「時の終わり」パート2(2010年)から10年ぶりに再出演した。バロウマンは過去にも「ドクターの戦争」(2011年)にてジャック役で再出演する構想があったものの、当時製作中であった『秘密情報部トーチウッド』第4シリーズの撮影があったため出演できずにいた[6]。彼の出演は放送まで伏せられていた。なお、ジュドゥーンとジャックの製作者として、2005年から2010年までエグゼクティブ・プロデューサーと筆頭脚本家を担当していたラッセル・T・デイヴィスの名前もクレジットされた[注 2][4]

撮影[編集]

前話「ニコラ・テスラと恐怖の夜」と本作は共に第3製作ブロックを構成しており、ニダ・マンズールが監督した[7][2]。グロスタシャーでの撮影は2019年5月22日と23日に行われた。グロスタシャーでは以前にも「もうひとりのドクター」(2008年)の撮影が行われていた[8]。ジャック・ハークネスの宇宙船の内装のシーンはブリストルクリフトン大聖堂英語版で撮影された[9][10]

プロモーション[編集]

第12シリーズで「スミスとジョーンズ」(2007年)以降初めてジュドゥーンが中心に扱われるエピソードがあること、そしてそのエピソードでグロスタシャーが舞台になることは、2019年5月21日にBBCが発表した[11]。同年12月10日にはロンドン・ヴィクトリア駅に3体のジュドゥーンが姿を現わして駅の内外を行進し第12シリーズを宣伝するイベントがあった。当日は写真撮影に応じたり子どもと戯れたりするジュドゥーンの姿が確認された[12][13]

放送と反応[編集]

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
The A.V. ClubB+[14]
エンターテインメント・ウィークリーA–[15]
ラジオ・タイムズ5/5stars[16]
インデペンデント3/5stars[17]
デイリー・テレグラフ5/5stars[4]

「ジュドゥーンの襲来」はイギリスでは2020年1月26日に放送された。デイリー・テレグラフによると、本作の内容の漏洩の可能性を極限まで小さくしたかったBBCは放送数時間前まで本作のプレスプレビューを差し控えていた[4]日本では2020年7月22日にHuluにて字幕版・吹替版共に配信が開始された[18]

「ジュドゥーンの襲来」のその晩の視聴者数は421万人で、その日イギリスで放送された番組の中では6番目に多く視聴された[19]。Audience Appreciation Index は83であった[20]。タイムシフト視聴者を加えた合計視聴者数は537万人に達した[20]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ "introducing"
  2. ^ ただし、ジャックの初登場エピソード「空っぽの少年」「ドクターは踊る」(2005年)の脚本を執筆したのは2010年から2017年まで番組製作総指揮を執ったスティーヴン・モファットであった。

出典[編集]

  1. ^ Doctor Who Series 12: writers announced”. CultBox (2019年11月13日). 2019年11月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e Laford, Andrea (2020年1月9日). “Doctor Who Series 12: new episode titles, writers and descriptions”. Cult Box. 2020年1月9日閲覧。
  3. ^ Doctor Who films scenes in Gloucester”. BBC News (2019年5月22日). 2021年1月10日閲覧。
  4. ^ a b c d Hogan, Michael (2020年1月26日). “Doctor Who: Fugitive of the Judoon, recap: the best episode of the series, with surprise returns and killer twists”. デイリー・テレグラフ. https://www.telegraph.co.uk/tv/2020/01/26/doctor-whofugitive-judoon-recap-best-episode-series-surprise/ 2020年1月26日閲覧。 
  5. ^ The Judoon return in Series 12”. DWTV (2019年5月21日). 2019年5月21日閲覧。
  6. ^ Sperling, Daniel (2011年7月29日). “'Doctor Who' Steven Moffat: 'The Doctor will never star in Torchwood'”. Digital Spy. 2011年8月1日閲覧。
  7. ^ Laford, Andrea (2019年11月22日). “Goran Višnjić and Robert Glenister to appear in Doctor Who series 12 episode”. Cultbox. 2019年11月27日閲覧。
  8. ^ Norris, Phil (2020年1月21日). “Doctor Who in Gloucester: This is probably the strangest thing you'll ever see in a cafe”. Gloucester Live. 2020年1月27日閲覧。
  9. ^ Cathedral, Clifton (2020年1月27日). “Twitter feed”. Twitter. 2020年3月7日閲覧。
  10. ^ Bristol City Council (2020年1月27日). “Know Your Place”. Twitter. 2020年3月7日閲覧。
  11. ^ Doctor Who Series 12: Judoon Returning”. BBC (2019年5月21日). 2020年11月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月11日閲覧。
  12. ^ The Judoon invaded London Victoria station this weekend, ahead of Doctor Who's return on New Year's Day!”. Facebook. ドクター・フー (2019年12月10日). 2021年1月11日閲覧。
  13. ^ The Judoon Invade London!. BBC. 13 December 2019. 2021年1月10日閲覧 {{cite AV media}}: 名無し引数「Doctor Who: Series 12 DVD & Blu-Ray」は無視されます。 (説明)
  14. ^ Siede, Caroline (2020年1月26日). “Whoa, tonight's Doctor Who is a game-changer”. The A.V. Club. 2020年1月27日閲覧。
  15. ^ Coggan, Devan (2020年1月26日). “Doctor Who recap: Season 12, episode 5: 'Fugitive of the Judoon'”. エンターテインメント・ウィークリー. 2020年1月27日閲覧。
  16. ^ Mulkern, Patrick (2020年1月26日). “Doctor Who Fugitive of the Judoon review: Chris Chibnall majestically blows a hole in the Time Lord's mythology and I'm loving it”. ラジオ・タイムズ. 2020年1月26日閲覧。
  17. ^ “Doctor Who review, Fugitive of the Judoon: Latest episode echoes vintage Moffat, but surely fans are exhausted of plot twists by now?”. (2020年1月27日). https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/tv/reviews/doctor-who-review-jodie-whittaker-bbc-steven-moffat-watch-a9302636.html 
  18. ^ Huluプレミア『ドクター・フー シーズン12』6・24から独占配信”. TV LIFE web (2020年6月2日). 2020年1月9日閲覧。
  19. ^ Marcus (2020年1月27日). “Judoon - Overnight Viewing Figures”. Doctor Who News. 2020年1月27日閲覧。
  20. ^ a b Marcus (2020年2月3日). “Fugitive of the Judoon - Official Ratings”. Doctor Who News. 2020年2月3日閲覧。

外部リンク[編集]