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ジャージー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジャージー代官管轄区
Bailiwick of Jersey(英語)
Bailliage de Jersey(フランス語)
イギリスの旗イギリス王室属領
ジャージーの位置
地域の歌:God Save the King 国王陛下万歳(公式)
Ma Normandie 私のノルマンディー
公用語 英語フランス語(その他にジャージー語が地方言語として認められている)
主都 セント・ヘリア
最大の都市 セント・ヘリア
政府
ノルマンディー公 チャールズ3世
副総督英語版 ジェリー・キッド英語版
代官英語版 ティモシー・ル・コック英語版
首席大臣英語版 リンドン・ファーナム英語版
面積
統計 116km2219位
水面積率 0
人口
統計(2021年 103,267[1]人(195位
人口密度 890.2人/km2
GDP(PPP
合計(2008年 51億ドル(167位
1人あたり 60,000ドル
王室領 1204年
通貨 ジャージー・ポンド
UKポンドGBP
時間帯 UTC+0 西ヨーロッパ時間DST:+1 西ヨーロッパ夏時間
ISO 3166-1 JE / JEY
ccTLD .je
国際電話番号 44-1534

ジャージー代官管轄区Bailiwick of Jersey)は、イギリス海峡チャンネル諸島のうち、ジャージー島のほかマンキエ諸島 (the Minquiers) やエクレオ諸島英語版 (the Ecrehous) などにより構成されるイギリス王室属領英語Crown dependencies)である。主都はセント・ヘリア

イギリス国王をその君主とするが、イギリスの国内法上は連合王国 (United Kingdom) には含まれないイギリス王室属領として位置づけられている。そのため、イギリスがその外交および国防に関して責任を負うものの、内政に関してイギリス議会の支配を受けず、独自の議会と政府を持ち、海外領土や植民地と異なり高度の自治権を有している。イギリスが欧州連合(EU)に加盟していた時代も含めてEUには加盟しておらず、したがってイギリスの法律や税制、EUの共通政策は適用されない。

名称

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正式名称は、英語ではBailiwick of Jersey、フランス語ではBailliage de Jersey。BailiwickないしBailliageは代官(bailiffないしbailli)の管轄区の意。 通称は、英語ではJersey、フランス語でもJersey

日本語では公式には「ジャージー代官管轄区」と訳される(脱税の防止のための情報の交換および個人の所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とジャージー政府との間の協定1条1項(b)号)が、単にジャージーなどと呼ばれることが多い。

ジャージー種の原産地であり、また衣類ジャージの語源になったといわれている。アメリカ合衆国ニュージャージー州の州名もこの島に由来する。

歴史

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9世紀から10世紀にかけて、ヴァイキングの活動が活発だった。

933年ノルマンディー公ギヨーム1世(長剣公)はチャンネル諸島を含む領地をブルターニュ公国から奪った。

1066年、ノルマンディー公ギヨーム2世(征服公)はイングランドを征服し、イングランドウィリアム1世として戴冠した。それ以降、イングランドとノルマンディー地方は1つの王室の下に支配されたが、イングランドとノルマンディーは異なる言語、法律、通貨によって別々に統治された。ジャージー島はノルマンディー公領の一部として、ノルマンディーの法律が適用された。

1204年、イングランド王兼ノルマンディー公ジョン(欠地王)はフランスフィリップ2世にノルマンディー地方を剥奪されたが、ジャージー島はイングランド王領に留まった。それ以来、ジャージー島は歴代イギリス王室の直轄地となっている。

1940年5月1日から1945年5月9日まで、ジャージー島はナチス・ドイツに占領された(ナチス・ドイツによるチャンネル諸島占領)。

政治

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副総督

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国家元首はイギリス国王であり、従って2026年現在はチャールズ3世である。通常はイギリス国王に任命された副総督英語版 (Lieutenant Governor) が職務を代行し、また軍隊の総司令官としての役割も担う。副総督はイギリス国王の代理としての象徴的な存在であり、議会に出席し発言する権利はあるが、伝統的に着任と離任の挨拶以外には発言することはない。ただし、イギリス国王の特別な関心事に関わる決定については議会に対する拒否権を持っている。

2000年代以降の副総督 任期
ジョン・チェッシャー英語版2001年1月24日2006年4月7日
アンドリュー・リッジウェイ英語版2006年6月14日2011年6月30日
ジョン・マッコール英語版2011年9月26日2016年11月30日
スティーヴン・ダルトン英語版2017年3月13日2022年6月30日
ジェリー・キッド英語版2022年10月8日〜在任

議会

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議会一院制であり、選挙で選ばれる8人の元老議員 (Senator)、12人の教区長 (Connétable)、29人の代議員 (Deputy)と、選挙で選ばれない代官英語版、副総督、首席司祭英語版 (Dean of Jersey)、司法長官 (Attorney General) および訴務長官英語版 (Solicitor General) の合計54人で構成される。

非民選議員

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代官 (Bailiff) および副代官 (Deputy Bailiff、議員ではない) はイギリス国王によって任命され、通常は70歳になるまでが任期である。任命は島内での協議の後になされる。代官は政府を代表し、議会の議長と王立裁判所の裁判長を兼ねる。

司法長官および訴務長官はイギリス国王によって任命され、法律問題に関する助言を行う。議会に出席し、発言する権利を有するが、議決権はない。慣例により、政治に関わる発言はせず、職務上の問題についてのみ発言する。

首席司祭はジャージーにおけるイギリス国教会の長であり、議会に出席し、発言する権利を有するが、議決権はない。慣例により、教会や道徳に関わる問題についてのみ発言する。

民選議員

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元老議員、代議員、教区長は選挙によって選ばれ、議決権を与えられて議会に出席する。元老議員は全島を1つの選挙区として選出される。1948年に設置された。設置当初の任期は9年であった。1966年から2011年までは、定数12人、任期6年で、半数の6人ずつ、3年ごとの10月に改選された。2011年の選挙では、改選数が4人(総定数10人)に削減されるとともに、この選挙で当選した議員の任期は3年である。2014年10月の選挙では、定数が8人となり、全数が改選され、任期は3年7か月である。2018年以降は5月に選挙が実施され、任期4年となる。2022年の任期満了をもって元老議員は廃止され、定数8は代議員に振り替えられることが決定した[2]

代議員は、1856年に設置され、島内に12ある各教区に置かれた計29の選挙区から選出される。小選挙区制であり、大きな教区には複数の選挙区が置かれる。任期は3年であり、選挙は元老議員選挙の翌月の11月に実施される。2011年および2014年の選挙は、元老議員の選挙と同時に10月に実施される。2014年選出の代議員の任期は3年7か月となる。2018年以降は5月に選挙が実施され、任期4年となる。2022年6月22日実施予定の選挙からは定数37となり、選挙区は全島で9つの中選挙区(定数3~5)に再編される[2]

教区長は各教区で選出され、教区の行政を司るとともに、教区の代表として議会に参加する。任期は3年である。2018年5月以降は任期4年となる。

内閣制

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議会を構成する議員たちは1つないし複数の委員会に所属している。以前は、それらの各委員会の委員長が政府の各部門を統括していた。2005年12月に、政府組織を従来の委員会制から内閣制に改めたため、政府の各部門は議員から選出された大臣によって統括されている。大臣で構成される閣議は首相によって主宰され、行政に関して議会に対する責任を負っている。大臣は10名、副大臣は12名以内である。また20名以内の議員からなる監査委員会が内閣の活動を監査する。

大臣を擁する行政組織は、首相府、経済開発省、教育・スポーツ・文化省、保健・社会福祉省、内務省、住宅省、環境省、社会保障省、運輸・技術省、財務・財源省である。

政党

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長らく議会に政党は存在しなかったが、2005年の内閣制移行を踏まえ、中道左派のジャージー民主同盟英語版と中道右派の中央党英語版が新たに結成されたのを皮切りに、複数の政党が誕生と廃止を繰り返し議会内に議席を獲得している。2026年現在、議会において議席を獲得しているのは改革ジャージー英語版のほか、政党ではなくバリュー・ジャージー英語版と呼ばれる政治運動を支持する議員が存在しているが、大半は無所属議員である[3]

地方行政区分

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12の教区 (parish) に分かれている。

地理

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ジャージー島はコタンタン半島から22 km離れた沖にあり、沿岸および周辺の海域にサンゴ礁巨礫の岩場、干潟砂浜海岸砂利海岸、感潮ラグーン海草藻場などが分布している。多くの無脊椎動物チョウザメタツノオトシゴHippocampus hippocampus英語版タイセイヨウサケハイイロアザラシハンドウイルカ渉禽類などの野鳥が生息しており、ジャージー島南東部の海岸および北西部と東部の干潮時に海面から露出するサンゴ礁がラムサール条約登録地である[4][5][6]

経済

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主要産業は金融業、観光業、農業である。

島内には50の銀行があり、GDPの約60%が金融業によるものである(2005年現在)。租税回避地として世界的に知られている。所得税の税率は一律20%である。2008年5月6日に消費税が税率3%で導入された。2011年6月1日に消費税率は5%に変更された。2011年には、英国のシンクタンクにより、世界第21位の金融センターと評価されている[7]

主要な農産物は、ジャージー牛による乳製品ジャージー・ロイヤル・ポテトと呼ばれるジャガイモ、商品作物および花卉である。乳製品はイギリスやEU諸国へ輸出されている。

交通

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空港

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ジャージー空港

島には、ジャージー空港という国際空港がセントピーター英語: Saint Peter, Jerseyにあり、ロンドンへの1日9便を含む、英国および国際的な多くの目的地への直行便が年間を通じてある[8]

1937年に空港が開港する以前は、航空輸送は水上飛行機でセント・ヘリアのウェストパークに着陸していた。1912年8月、ジャージーに着陸した最初の飛行機はホセ・ルイス・サンチェス・ベサ。最初の乗客の飛行は147年前に気球を介して行われたと記録されている[9]

道路

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島内の公共交通機関はバスのみである。道路交通はイギリス同様の左側通行である。

鉄道

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旧ジャージー鉄道路線の地図

かつて島には2つの鉄道会社が提供する鉄道があった。現在、これらの鉄道の跡はほとんど残っていない。

住民

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住民は主に、イギリス系の住民とブルターニュ系のフランス人である。

宗教

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宗教は英国国教会が62%でカトリックが23%。

文化

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絶滅の危機に瀕している動物を繁殖させ元の生息地に返す、というコンセプトを持つジャージー動物園がある。

スポーツ

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クリケットが盛んである。ジャージーにおけるクリケットの最も古い記録によると、1860年代以降にプレーされている[10]。ジャージー島クリケットクラブは1922年に設立された[10]。ジャージークリケット理事会が設立され、2005年に国際クリケット評議会に加盟した。ジャージーは様々な年齢層の世界及びヨーロッパの大会に参加し、ICCトーナメントも主催している[10]。これまでの最大の功績の一つとして、2015年にICCヨーロッパディビジョン1で優勝したことが挙げられる[10]

国歌

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国歌は「マ・ノルマンディー」である。フランス語英語歌詞がある。

祝祭日

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日付日本語表記英語表記備考
5月9日解放記念日Liberation Dayナチス・ドイツからの解放を記念する

フィクション

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ジャージー島を舞台とした小説(フィクション)に、ローレンス・ノーフォーク (Lawrence Norfolk) 著の「ジョン・ランプリエールの辞書」 (Lemprière's Dictionary, 1991) がある。1992年度のサマセット・モーム賞を受賞した同作品の発端は、ジョージ3世治世の1786年のジャージー本島、ブーリー湾付近に設定されている。

脚注

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  1. Population characteristics (PDF) (英語). ジャージー政府. 2022年8月4日閲覧。
  2. 1 2 Express, Bailiwick. "Historic day" as huge voting reforms approved (英語). Bailiwick Express. 2021年8月29日閲覧。
  3. “Jersey Election 2026: Results”. BBC. 2026年6月10日. 2026年6月18日閲覧.
  4. South East Coast of Jersey, Channel Islands | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2000年11月10日). 2023年4月6日閲覧。
  5. Les Pierres de Lecq | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2005年2月2日). 2023年4月6日閲覧。
  6. Les Écrehous & Les Dirouilles, Jersey | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2005年2月2日). 2023年4月6日閲覧。
  7. The Global Financial Centres Index 10
  8. Destinations we fly to at a glance (英語). www.jerseyairport.com. 2020年12月12日閲覧。
  9. Aviation in Jersey - theislandwiki”. www.theislandwiki.org. 2020年12月12日閲覧。
  10. 1 2 3 4 Jersey Cricket Board 国際クリケット評議会 2023年9月29日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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