ジャック・オッフェンバック
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ジャック・オッフェンバック Jacques Offenbach | |
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基本情報 | |
出生名 |
ヤーコプ・レヴィ・エーベルスト Jakob Levy Eberst |
生誕 |
1819年6月20日![]() |
死没 |
1880年10月5日(61歳没)![]() |
ジャンル |
クラシック音楽 オペレッタ |
職業 |
作曲家 チェリスト |
担当楽器 | チェロ |
活動期間 | 1847年 - 1880年 |
ジャック・オッフェンバック(Jacques Offenbach, 1819年6月20日 - 1880年10月5日)は、ドイツに生まれフランスで活躍(後に帰化)した作曲家、チェリストである。ジャック・オッフェンバックは父親の出身地(ドイツ・フランクフルト近郊のオッフェンバッハ・アム・マイン)からとったペンネームで、本名はヤーコプ・レヴィ・エーベルスト(Jakob Levy Eberst)。オペレッタの原型を作ったといわれ、音楽と喜劇との融合を果たした作曲家である。なお、ドイツ語読みでオッフェンバッハと呼ばれることもある。
生涯[編集]
ジャック・オッフェンバックは1819年、ユダヤ系の音楽家の息子としてプロイセン王国のラインラント州ケルンに生まれ、幼少時は父から音楽の手ほどきを受けた。1833年に、チェロを学ぶためフランスのパリへ出る。1848年二月革命を避けドイツに一時帰国するが、まもなく戻り、その後は終生パリに住んでいる。演奏の傍ら作曲活動を続け、1850年にテアトル・フランセの指揮者になる。後の1855年には、自らブフ・パリジャン座という劇場を開き、いくつものオペレッタを上演、人気を博す。美しいメロディーを次々と生み出すことから、ロッシーニはオッフェンバックを“シャンゼリゼのモーツァルト”と評した。1880年に没するまでに幾度もの上演が行われた。爆発的な人気と反比例するかのように、痛烈な風刺、退廃的な快楽主義は知識人からの批判も多かった。エミール・ゾラは「オペレッタとは、邪悪な獣のように駆逐されるべき存在」とまで書いているが、今日では第二帝政期フランスを代表する文化のひとつとして歴史的評価も作品的評価も高い。
晩年はフランスでは一時の人気を失い、オペラ『ホフマン物語』に新生を懸けていた。死後には、各作品は彼自身が監修したウィーン版に源を発するドイツ語上演が、フランスに代わって主流を占める(有名なオペレッタ『天国と地獄』の序曲はウィーン版のためのオリジナルである)。特に戦後は東ベルリンでのフェルゼンシュタイン演出による『青ひげ』や『ホフマン物語』が歴史的な成功を収めた。近年は、マルク・ミンコフスキらによるオーセンティックなフランス語上演も急速に盛り返し、もともと上演の盛んだったドイツ圏とあわせ活況を呈している。目下はフランスのリヨン国立オペラなどが上演に意欲的である[1]。
作品[編集]
主なオペレッタ[編集]
- オペラ・コミック『床の間』(L'alcôve 、1847年)
- 『ペピト』(Pépito 、1853年)
- 『白夜』(Une Nuit blanche 、1855年)
- 『二人の盲人』(Les Deux Aveugles 、1855年)
- 『バイオリン弾き』(Le Violoneux 1855年)
- 『バタクラン』(Ba-ta-clan 、1855年)
- 『66』(Le 66、1856年)
- 『サンフルールの薔薇』(La Rose de Saint-Flour、1856年)
- 『二人の漁師』(Les Deux Pêcheurs、1857年)
- 『ランタン灯りでの結婚式』(Le Mariage aux lanternes 、1857年)
- 『宝くじの女の子』(Une demoiselle en loterie、1857年)
- 『夜の風または恐るべき宴』(Vent du soir, ou L'horrible festi、1857年)
- オペラ・コミック『人間の女に変身した牝猫』La Chatte métamorphosée en femme 、1858年)
- オペラ・ブッフ『地獄のオルフェ(天国と地獄)』(Orphée aux Enfers 、1858年)
- 『市場の婦人がた』(Mesdames de la Halle 、1858年)
- 『追い出された亭主』(Un Mari à la porte 、1859年)
- 『ブラバントのジュヌヴィエーヴ』(Geneviève de Brabant 、1859年)
- 『ダフニスとクロエ』(Daphnis et Chloé 、1860年)
- オペラ・ブッフ『バルクフ』(Barkouf 、1860年)
- 『ため息橋』(Le Pont des soupirs 、1861年)
- オペラ・コミック『フォルチュニオの歌』(La Chanson de Fortunio 、1861年)
- 『滑稽な小説』 (Le Roman comique 、1861年)
- オペラ・コミック『薬剤師とかつら屋』 (Apothicaire et perruquier 、1861年)
- 『シュフルリ氏はご在宅』(Monsieur Choufleuri Restera Chez Lui Le...、1861年)
- 『ドゥニ夫妻』(Monsieur et Madame Denis 、1862年)
- オペラ・ブッフ『おしゃべり屋たち』(Les bavards 、1863年)
- 『ファゴット氏』 (Il signor Fagotto 、1863年)
- オペラ・ブッフ『美しきエレーヌ』(La belle Hélène 、1864年)
- 『グルジアの女たち』 (Les Géorgiennes 、1864年)
- オペラ・コミック『魔法使いの兵士』(Le Fifre enchanté, ou Le Soldat magicien、1864年)
- 『コスコレット』(Coscoletto, ou Le lazzarone、1865年)
- オペラ・ブッフ『青ひげ』(Barbe-bleue、1866年)
- オペラ・ブッフ『パリの生活』(La Vie parisienne、1866年)
- オペラ・コミック『羊飼い』(Les Bergers 、1866年)
- オペラ・コミック『ロビンソン・クルーソー』(Robinson Crusoé 、1867年)
- 『ジェロルスタン女大公殿下』(ブン大将)(La Grande-Duchesse de Gérolstein 、1867年)
- 『10時間の外出許可』(La Permission de dix heures 、1867年)
- オペラ・ブッフ『ラ・ペリコール』(La Périchole 、1868年)
- 『チュリパタン島』(L'île de Tulipatan 、1868年)
- 『トトの城』(Le Château à Toto 、1868年)
- 『盗賊』(Les Brigands 、1869年)
- 『ヴェル=ヴェル』(緑のオウム、「カカドゥ」)(Vert-Vert 、1869年)
- オペラ・ブッフ『歌姫』(La Diva 、1869年)
- オペラ・ブッフ『トレビゾンド姫』(La Princesse de Trébizonde 、1869年)
- オペラ・コミック『ファンタジオ』(Fantasio 、1872年)
- 『ニンジンの王』(Le Roi Carotte 、1872年)
- 『雪だるま』(Boule de Neige 、1872年)
- 『赤いりんご』(ポムダピ、Pomme d'Api 、1873年)
- オペラ・コミック『可愛い香水屋』(La Jolie parfumeuse 、1873年)
- オペラ・ブッフ『密猟者』(Les Braconniers 、1873年)
- オペラ・ブッフ『オーストリア皇太子妃』(Madame l’Archiduc 、1874年)
- オペラ・ブッフ『ウィティントン』(Whittington、1874年)
- オペラ・コミック『西インド諸島の女』(La Créole 、1875年)
- 童話オペラ『月世界旅行』(Le Voyage dans la Lune 、1875年)
- 『パン屋の女将はお金持ち』(La Boulangère a des écus 、1875年)
- 『牛乳箱』(La Boîte au lait、1876年)
- 『オックス博士』(Le Docteur Ox 、1877年)
- 『ペロニラ先生』(Maître Péronilla 、1878年)
- オペラ・コミック『ファヴァール夫人』(Madame Favart、1878年)
- オペラ・コミック『鼓手長の娘』(La Fille du Tambour-major 、1879年)
- 『美しきリュレット』(Belle Lurette 、1880年)
オペラ[編集]
バレエ音楽[編集]
- 『パリの喜び』(Gaîté Parisienne)
- マニュエル・ロザンタルがオッフェンバックのオペレッタやオペラの中から有名曲を抜粋しつなぎ合わせた作品である。
- 『パピヨン』
- 振付はマリー・タリオーニ、台本はヴェルノワ・ド・サン・ジョルジュ。
チェロのための楽曲[編集]
- チェロと管弦楽のための大協奏曲「軍隊風」
- チェロと管弦楽のための序奏、祈りとボレロ Op.22
- チェロ二重奏曲 Op. 49–54
- チェロと管弦楽のための幻想曲「ロッシーニへのオマージュ」
- チェロと管弦楽のためのエレジー「天上の二つの魂」
歌曲[編集]
- 『寓話詩』(Fables de La Fontaine、1842年)
- ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの詩に基づく6曲の歌曲集。
- 『花の言葉』(Le Langage des fleurs、1847年)
- エドゥアール・プルヴィエの詩に基づく6曲の歌曲集。
- 『神秘的な声』(Les Voix mystérieuses、1858年)
- 6曲の歌曲集。
脚注[編集]
参考書籍[編集]
- 『オッフェンバックと大衆芸術 ― パリジャンが愛した夢幻オペレッタ』 森佳子著、早稲田大学出版部、2014年 ISBN 9784657147035