シン・ムバリット
| シン・ムバリット Sin-Muballit | |
|---|---|
| バビロン王 | |
| 在位 | 紀元前1812年 - 紀元前1793年 |
| 継承者 | ハンムラビ |
| 子女 | ハンムラビ |
| 王朝 | バビロン第1王朝 |
| 父親 | アピル・シン |
シン・ムバリットまたはシン・ムバッリト(Sin-Muballit)は、古代メソポタミアの都市国家・バビロン第1王朝の王。
シン・ムバリットはバビロニア第1王朝5代目のアムル人の王。中年代説によると、紀元前1812年から1793年(低年代説によると紀元前1748年頃から1729年頃)まで統治していた。治世初期はバビロンを中心とする小規模な領域国家の王に過ぎなかったが、バビロン王を宣言した後にその勢力を南部へと拡大した。シン・ムバリットの息子・ハンムラビはバビロニア王国をバビロニア帝国へと大きく拡大させた[1]。
略歴
[編集]シン・ムバリットは父アピル・シンの後を継いだが、どちらの王の碑文も見つかっておらず、治世の詳細についてはよくわかっていない[2]。彼の治世初期は北方のエシュヌンナ王国が強勢を誇っていたため、シン・ムバリットは領土拡大の野心を南方へ向けたとされる[3]。
治世初期は国内の統治に勤しんだとされ、インフラ整備や宗教的活動の記録が残されている。治世2年と8年にはシッパル近郊に運河の建設を行った。治世3年にはシャマシュ神とシェルニダ神にエンブレムを奉納した記録も見つかっている。この時期からシッパルが町として急速に発展していき、バビロン第一王朝の経済を支える重要な拠点の一つとなっていくことになる[4]。
治世中盤以降はイシンやラルサなど南部地域への軍事遠征を行い、領土拡大を行った。治世11年にはラルサの通信施設があったムルム(Murum)を奪取し、バビロニアの要塞化を行い、ラルサに対して大きな打撃を与えた。治世12年にはイシンからも町を奪取した。治世13年には、バビロンと頻繁に衝突していたラルサの軍隊を撃退した[3][5]。治世の17年には、イシンに対して急襲を行い、イシンを掌握した。イシン領内に多くの町を建設して要塞化したものの、イシン王であるダミク・イリシュの廃位には至らず、彼の治世中にイシン第一王朝の完全な駆逐は達成されなかった。
彼が大国ラルサとの戦いにおいて優勢を維持できたことには2つの理由が存在する。1点目が河川の水をせき止めるなど、水資源の操作を行ったことである。バビロンより下流のラルサは水資源を上流の環境に依存していたため、大きな効果を発揮した。2点目が、ウルクのアナム王(Anam)と同盟関係を結び、協力してラルサへ対抗したことである[3]。ウルクの書簡の中には、援軍として派遣されたバビロニア軍が窮地に陥ったことを謝罪する内容が記されているものが存在する。
シン・ムバリットは健康を害して退位した[6]が、彼が治世中に行った外交や軍事政策はハンムラビによるメソポタミア統一の大きな基盤となった。
最初の王朝の出来事の日付については意見の相違がある。この記事で使用されている低年代説は、学者によって今日最も一般的に使用されているものだが、中年代説は最近まで好まれていた年表であり、ここで述べられている年表よりも64年も前の出来事を配置している。また、ここで与えられたよりも120年前の出来事を配置する長い年表が存在する。詳細については、古代近東の年表を参照。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ↑ A history of Babylonia and Assyria, Volume 1, Robert William Rogers, Eaton & Mains, 1900. pp. 387-388.
- ↑ Old Babylonian period (1894-1595 BC), Douglas Frayne, University of Toronto Press, 1990. p. 330-331.
- 1 2 3 Boivin, Odette. (2022). "The Kingdom of Babylon and the Kingdom of the Sealand." In The Oxford History of the Ancient Near East, Volume II: From the End of the Third Millennium BC to the Fall of Babylon, edited by Karen Radner, Nadine Moeller, and D. T. Potts. New York: Oxford University Press. pp. 566–655
- ↑ Harris, Rivkah. (1975). Ancient Sippar A Demographic Study of an Old-Babylonian City (1894-1595 B.C.). Istanbul: Nederlands Historisch-Archaeologisch Instituut
- ↑ 'Sin-Muballit Year Names' https://cdli.ucla.edu/tools/yearnames/HTML/T12K5.htm
- ↑ Babylonian legal and business documents: from the time of the first dynasty of Babylon, chiefly from Nippur, Arno Poebel, Dept. of Archaeology, University of Pennsylvania, 1909. p. 113.