シラバブ

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シラバブ

シラバブ(Syllabub)とは、イギリスデザート飲料である。16世紀から19世紀にかけて人気があった飲み物であり[1]、今日ではこれを元にしたデザートが食べられている。

現代のデザートであるシラバブは脂肪分の高い生クリーム(ダブルクリーム)に砂糖、アルコール類、レモンを加えたものが主流であり、フルーツを加えたアレンジがされることもある[2]

歴史[編集]

シラバブの語源は判明しておらず、"Sillabub"、"Sillebub"、と綴られることもあった[2]。一説にはフランスシャンパーニュ地方を指す"Sill"、"Sille"と泡立った飲み物を意味する"bub"をつなげたものと言われている[2]

17世紀から18世紀にかけての時期には3種類のシラバブが存在していた[3]。搾りたての温かい牛乳を香辛料を加えたシードル(リンゴ酒)やエール (ビール)に入れ、表面に浮かんだ軽い凝乳(カード)とその下の乳清(ホエイ)がシラバブとして飲まれていた[2]。この飲み物はイングランド王チャールズ2世の好物であり、セント・ジェームズ・パークにはシラバブ用の牛が飼われていたという[4]

牛乳の代わりにクリームを用いる泡立てたシラバブ(Whipped Syllabub)は、入念に泡立てた上で一晩置いたクリームをアルコール類が注がれたグラスに載せて供された[3]。このシラバブは富裕層に好まれシードルやエールといった安価な酒に代えてワインシェリー酒に似たサックという酒が使われていた[3]。18世紀にハナー・グラスが刊行した料理書"The Art of Cookery made Plain and Easy"の中には泡立てたシラバブのレシピが収録されており、「1クォートのクリーム、2分の1パイントのサック、セビーリャのオレンジ、レモンから作ったジュース、レモンの皮、砂糖」が材料として記されている[5]

その後エヴァーラスティング・シラバブ(Everlasting Syllabub)という液体と固体の中間の性質の飲料が考案され、これが今日食べられているデザートのシラバブの原型となった[2]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Alan Davidson (21 August 2014). The Oxford Companion to Food. OUP Oxford. pp. 800–. ISBN 978-0-19-104072-6. https://books.google.com/books?id=bIIeBQAAQBAJ&pg=PA800 
  2. ^ a b c d e 羽根則子『イギリス菓子図鑑』誠文堂新光社、2015年、190-191頁。ISBN 978-4-416-61519-5
  3. ^ a b c シラバブ”. 英国ニュースダイジェスト (2018年7月). 2018年11月閲覧。
  4. ^ <イギリス菓子・レシピ> シラバブ【Syllabub】”. イギリスの食、イギリスの料理&菓子 (2009年2月). 2018年11月閲覧。
  5. ^ Glasse, Hannah (1774) (英語). The Art of Cookery, Made Plain and Easy: Which Far Exceeds Any Thing of the Kind Yet Published .... W. Strahan, J. and F. Rivington, J. Hinton. https://books.google.com/books?id=xJdAAAAAIAAJ&printsec=frontcover&dq=hannah+glasse+the+art+of+cookery&hl=en&sa=X&ved=0ahUKEwjGrfGog9TaAhWFzVMKHcrZAzkQ6AEIKTAA#v=onepage&q=syllabub&f=false