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ショスコム荘

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ショスコム荘
著者 コナン・ドイル
発表年 1927年
出典 シャーロック・ホームズの事件簿
依頼者 ジョン・メイソン
発生年 不明
事件 サー・ロバート・ノーバートンの奇行
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ショスコム荘」(ショスコムそう、The Adventure of Shoscombe Old Place)は、イギリスの小説家、アーサー・コナン・ドイルによる短編小説。シャーロック・ホームズシリーズの一つで、56ある短編小説のうち最後に発表された作品である。イギリスの「ストランド・マガジン」1927年4月号、アメリカの「リバティ」1927年3月5日号に発表。同年発行の第5短編集『シャーロック・ホームズの事件簿』(The Case-Book of Sherlock Holmes) に収録された[1]

ドイルが執筆した最後のホームズ作品となった。

あらすじ

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ジョン・メイソンは、ショスコム荘に住むロバート卿(サー・ロバート・ノーバートン)に雇われている競走馬の主任調教師である。メイソンは、ロバート卿が発狂したと、シャーロック・ホームズに依頼した。

メイソンによると、ロバート卿はダービーに自身の持ち馬であるショスコム・プリンス号を出走させるが、それが勝たないと自身が負う借金のかたに屋敷や厩舎を差し押さえられてしまう。一方でロバート卿は最近、自身の姉妹でショスコム荘の主人でもあるレディ・ビアトリスとのいさかいがあったらしい。レディ・ビアトリスはそれまでロバート卿同様馬好きだったのが、この1週間はまるで馬に興味を示さなくなったという。そしてロバート卿は、レディ・ビアトリスがかわいがっていたスパニエル犬を人に譲ったのだ。また、ロバート卿は病身の姉妹のところに毎晩過ごしていたのが、全く訪れなくなってしまった。

さらに、ロバート卿が夜な夜な納骨堂に出入りしているのが執事に目撃される。納骨堂で見知らぬ男と会い、1000年も昔の死体を掘り出しているらしいという。そして屋敷のの中から、黒こげになった人骨が出てきた。

ホームズとワトスンは釣りのためにショスコムを訪れたように装い、レディ・ビアトリスが飼っていたスパニエルを譲り受けた「緑竜亭」を訪れる。翌朝、「緑竜亭」の主人からスパニエルを借り、レディ・ビアトリスが乗っている馬車に向けてスパニエルを放してみた。犬は主人のもとに向かうが、すぐに怒ってレディ・ビアトリスに噛み付いた。レディ・ビアトリスと思われていた人物は別人だったのだ。

その夜、ホームズとワトスンはメイソンを連れて納骨堂に向かい、そこで調査を開始する。そのとき、ロバート卿が現れ、私の地所で何をしているのかと2人を問いつめる。ホームズは答える代わりに、ロバート卿に事件の真相を突きつけた。そこにあったのは女性の遺体が入っていた棺だった。観念したロバート卿は2人に真相を話す。

実は本物のレディ・ビアトリスは1週間前、病気のため既に亡くなっていた。レディ・ビアトリスは亡き夫から土地収入などの遺産を相続していたが、それは一代限りで死亡した場合はロバート卿ではなく夫の兄弟に相続されることになっていたため、もしレディ・ビアトリスが死んだことが露見すれば多額の借金返済に追われるロバート卿は破滅してしまう。そこで、ショスコム・プリンス号がダービーに出走して賞金を得られるまでのほんの1週間ほど、彼女がまだ生きているように見せかけることにしたのである。ロバート卿はレディ・ビアトリスのメイドの夫と共にレディ・ビアトリスの遺体を納骨堂に運び入れると、夫を彼女に変装させ、対外的には生きているように偽装した。屋敷の炉で見つかった人骨はレディ・ビアトリスの遺体を収めた納骨堂の棺に入っていた死体を焼却した際に出たものであり、スパニエルを「緑竜亭」の主人に譲ったのはスパニエルが変装を見破って吠えかけるため、レディ・ビアトリスの死が露見するのを防ぐためのものだった。

最終的にホームズはこの件を警察に持ち込むが、ロバート卿は譴責程度の軽い処分で済んだ。後日談として、ショスコム・プリンス号はダービーで優勝し、ロバート卿は借金を完済してなお有り余るほどの賞金を得ることが出来たことが語られる。

脚注

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  1. ^ ジャック・トレイシー『シャーロック・ホームズ大百科事典』日暮雅通訳、河出書房新社、2002年、164頁