シャレイア語

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シャレイア語
qilxaléh
発音 IPA: [ðiɾʃale]
創案者 Ziphil Shaleiras
創案時期 2012年1月23日
設定と使用
話者数
目的による分類
人工言語
表記体系 シャレイア文字、ラテン文字
言語コード
ISO 639-3
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シャレイア語 (シャレイア語: qilxaléh , 英語: Shaleian language) は、日本の技術者Ziphil Shaleiras (ジーフィル・シャレイラス) によって作られた、芸術のための人工言語である。2012年に制作が始まり、2018年に出版された書籍『入門 シャレイア語』を以て文法が成立した[1]。2023年現在、作者Ziphilは自己表現の手段として世界を記述するために、この言語の整備を続けている[2]

概要[編集]

2012年1月23日、趣味でRPGを開発していたZiphilは、アルカ (人工言語) に触発され、自作したゲームの中で用いるために架空の言語を作り始めた。2014年、大学に進学したZiphilは現実世界での使用の方が重要であると判断し、架空世界に関する展開を中止した。以降は自己表現として制作し、文法は簡潔に、単語は厳密に定義するようになった[3][4]

言語名 qilxaléh[ðiɾʃale] と発音され、「シャレイア語」を意味する。これは qil「語」と xaléh「シャレイア」の合成語である。この名称はシャレイア語が話されていた架空の国名に由来するとZiphilは述べている[5]

日本言語学オリンピック[編集]

2020年12月開催の日本言語学オリンピック(JOL)にシャレイア語が出題された。個人が作った言語として前例の無い事例である。試験の内容は、シャレイア語の翻訳・作文能力を問うものであった。受験者には、語順がVSO型またはVOS型であること、動詞の接尾辞時制を表すことを示唆する例文が与えられた[6]

2022年11月、QuizKnockは試験に関する動画をYouTubeに投稿した。Ziphil自身も出演している[7]

Avendia (公式サイト)[編集]

シャレイア語に関わる活動は、公式サイト Avendia に記録されている。

造語放送[編集]

Ziphilは制作過程をYouTube Liveで公開している[8]。2023年1月、Ziphilは放送中にシャレイア語の3000個目の単語 kosseklac「映画館」を造語した。

ZpDIC Online[編集]

Ziphilはシャレイア語の単語を管理するための辞書ソフトZpDIC Onlineを開発した。さらに他の人工言語作者でも使えるように公開した。2023年、400人以上が利用している[9]

発音[編集]

母音[編集]

前舌 後舌
i u
e ɔ
a
  • アクセントがある音節は長く発音する。
  • 機能語の内、重母音(/oɐ/, /eɪ/, /aɪ/, /aʊ/)を持つ単語が7つある。
  • 単語間で母音が続く場合、後の単語が固有名詞でなければはじき音 /ɾ/ を挿入して発音する。

子音[編集]

両唇 唇歯 歯音 歯茎 後部歯茎 硬口蓋 軟口蓋 声門
破裂音 p b     t d     k ɡ  
鼻音 m     n        
はじき音       (ɾ)        
摩擦音   f v θ ð s z ʃ ʒ     h
接近音       ɹ   j    
側面接近音       l        
  • 話者の好みで /θ/, /ð/ をそれぞれ 歯茎破擦音 /ts/, /dz/ と発音してよい。
  • /l/ は後ろに母音が続かない場合 /ɾ/ と発音する。
  • /n/ の条件異音として、口蓋垂鼻音 /ɴ/ と発音する単語がある。

文字[編集]

シャレイア文字[編集]

シャレイア文字の一覧

ラテン文字転写[編集]

文字 i, í, î, ì e, é, ê, è a, á, â, à o, ô, ò u, û, ù
発音 i e a ɔ u
文字 p b t d k g m n f v c q s z x j h r y l
発音 p b t d k ɡ m n f v θ ð s z ʃ ʒ h ɹ j l

文法[編集]

原則を3つ挙げる。

「私は赤いペンを持っている」をシャレイア語で kûtat a tel e dev azaf. と言う。発音をカタカナで表すと「クータタ テーレ デーヴァ ザーフ」である。

    kûtat  tel  dev  azaf. 
持っている  は  私  を  ペン  赤い 

この例文は上の3つの原則を満たしている。

脚注[編集]

  1. ^ 『入門 シャレイア語』”. ziphil.com. 2022年10月27日閲覧。
  2. ^ シャレイア語とは”. ziphil.com. 2022年10月28日閲覧。
  3. ^ 文法変遷”. ziphil.com. 2023年5月21日閲覧。
  4. ^ QuizKnockに「ゼロから言語を作っちゃった」人がいる”. quizknock.com. 2023年5月21日閲覧。
  5. ^ 作者のツイート”. twitter.com. 2023年2月5日閲覧。
  6. ^ 過去問・資料まとめ”. iolingjapan.org. 2022年10月11日閲覧。
  7. ^ 言語学オリンピックの問題って暗号解読じゃない?”. youtube.com. 2023年5月21日閲覧。
  8. ^ 造語放送”. youtube.com. 2022年11月2日閲覧。
  9. ^ オンライン辞典”. zpdic.ziphil.com. 2023年5月11日閲覧。

外部リンク[編集]