シャルバット (飲料)
シャルバット(ペルシア語: شربت、;Sharbat、shorbot、šerbet、şerbet、sherbet とも表記)は、果物や花びらから作られる飲み物である[1]。
概要
[編集]甘いリキュールのような飲み物で、通常は冷やして提供される。濃縮した状態でスプーンですくって食べることもあれば、水で薄めて飲み物として楽しむこともある。
一般的なシャルバットは、バジルの種子、ローズウォーター、新鮮なバラの花びら、白檀、ベール、ハイビスカス、レモン、オレンジ、マンゴー、パイナップル、ブドウ、ファルサ(Grewia asiatica)、チアシードなどのうち、1つまたは複数を使用して作られる。
イラン、アルメニア、トルコ、ボスニア、アラブ諸国、アフガニスタン、パキスタン、バングラデシュ、インドの家庭で広く親しまれている。また、ラマダーン月の断食を解く際、イスラム教徒の間でも人気がある[2][3]。また地域ごとに様々な種類がある。
語源
[編集]砂糖と水で作った飲み物を意味するペルシア語の「シャルバト(شربت)」に由来する[4]。これはさらに、アラビア語の「シャリバ(shariba)」、「飲む」という意味の語に由来する[5]。 中世後期までに、アラビア語の「シャラブ(شراب)」は「アルコール飲料」を意味するようになり、その異形である「シャルバート(شربات)」およびそのペルシア語・トルコ語の変種である「シャルバト(شربت)」と「シェルベット」は、それぞれ甘味のあるノンアルコール飲料を意味するようになった[6]。
歴史
[編集]イラン(ペルシャ)が発祥であると考えられている[6][7][8][9][10][11]。 11世紀にペルシャの学者イブン・シーナーが著した『医学典範』には、いくつかのシロップが記載されている[12]。 12世紀のペルシャの書物『ザヒレイエ・ホラズムシャーヒ』において、ゴルガニは、グーレ、アナール、セカンジェビンなど、イランにおける様々な種類のシャルバットについて記述している。
西洋におけるシャルバットの最初の言及は、トルコ人が飲むものについてのイタリアの記述である。この言葉はイタリア語で「ソルベット(sorbetto)」となり、フランス語では「ソルベ(sorbet)」となった。17世紀、イギリスでは乾燥した果物や花に砂糖を混ぜた「シャーベットパウダー」の輸入が始まった。現代においても、シャーベットパウダーは英国で依然として人気がある。中東を旅した当時の英国人作家は、「様々なシャーベット……砂糖とレモンで作られたもの、スミレで作られたものなど」と記している。ヨーロッパ人がシャーベットの凍結方法を編み出すと、凍らせたシンプルシロップのベースに果汁や香料を加えてソルベットを作り始めた。米国ではシャーベットは一般的にアイスミルクを意味したが、初期のソーダファウンテンマニュアルのレシピには、ゼラチン、泡立てた卵白、クリーム、または牛乳といった材料が含まれている[6]。
伝統的にはサトウキビの汁で作られていたが、現代では家庭で砂糖と水を使って作られることが一般的である。シャルバットの食感や風味を良くするために、ライムが加えられることもあり[13]、甘味料として蜂蜜がよく使われいる。シャルバットには、レモン、ザクロ、マルメロ、イチゴ、サクランボ、オレンジ、バラ、オレンジの花、タマリンド、クワ、スミレなど、さまざまな風味がある。フリードリヒ・ウンガーによる19世紀の料理書に記録されているシャーバートのひとつは、「gülgülü tiryaki şerbet」と呼ばれており、これは「ピンクのアヘン中毒者のシャーベット」を意味している。
脚注
[編集]- ↑ Molavi, Afshin (2002). Persian pilgrimages : journeys across Iran. Internet Archive. New York : Norton. ISBN 978-0-393-05119-3
- ↑ Nizamoglu, Cem (2006年2月27日). “The World’s First Soft Drink”. Muslim Heritage. 2026年3月26日閲覧。
- ↑ “Organic Rose Sharbat in Merdzavan, Armenia”. 2026年3月26日閲覧。
- ↑ “sherbet”. 2026年3月26日閲覧。
- ↑ Wain, Harry (1958) (英語). The Story Behind the Word: Some Interesting Origins of Medical Terms. Thomas. ISBN 978-0-398-02001-9
- 1 2 3 “sherbet”. 2026年3月26日閲覧。
- ↑ Marks, Gil (2010-11-17) (英語). Encyclopedia of Jewish Food. HMH. ISBN 978-0-544-18631-6
- ↑ “The Unknown Origins of Ice Cream in Ancient Iran”. 2026年3月26日閲覧。
- ↑ Cousineau, Phil (2012-09-11) (英語). The Painted Word: A Treasure Chest of Remarkable Words and Their Origins. Simon and Schuster. ISBN 978-1-936740-25-3
- ↑ Thakrar, Shamil; Thakrar, Kavi; Nasir, Naved (2019-09-05) (英語). Dishoom: The first ever cookbook from the much-loved Indian restaurant. Bloomsbury Publishing. ISBN 978-1-4088-9066-0
- ↑ Davidson, Alan (1981-01-01) (英語). National & Regional Styles of Cookery: Proceedings : Oxford Symposium 1981. Oxford Symposium. ISBN 978-0-907325-07-9
- ↑ “100 farklı Osmanlı şerbeti bir kitapta toplandı” (トルコ語). www.trthaber.com (2017年5月26日). 2026年3月26日閲覧。
- ↑ “Sharbat(शरबत)”. 2026年3月26日閲覧。