シャク (植物)
シャク | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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福島県会津地方 2011年5月
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. subsp. sylvestris | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
本文記載 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シャク(杓) |
シャク(杓、学名:Anthriscus sylvestris)は、セリ科シャク属の多年草。別名、ヤマニンジン、コジャク、ワイルドチャービル。
特徴[編集]
茎は直立し、上部で分枝して、高さは80-140cmになる。葉は互生し、長い柄があり、2回3出羽状複葉となり、小葉は細かく裂ける。
花期は5-6月。茎頂か、分枝した先端に複散形花序をつける。花は5弁花で、花弁は白色、花序の周辺花の外側の2花弁が大きい。萼歯片はない。複散形花序の下にある総苞片は無く、小花序の下にある小総苞片は数個あり、卵形から披針形で下を向く。果実は円柱形で細長く、先端がとがり、無毛で黒色に熟す。分果の隆条は発達せず、油管もない。
分布と生育環境[編集]
日本では、北海道、本州、四国、九州、琉球に分布し、山地の湿った場所に生育する。世界ではカムチャツカからヨーロッパ東部までのユーラシアの中北部に広く分布する。
シノニム[編集]
- Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. subsp. nemorosa auct. non (M.Bieb.) Koso-Pol.
- Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. subsp. aemula (Woronow) Kitam, excl. basion.
- Anthriscus aemula auct. non (Woronow) Schischk.
利用[編集]
花が展開する前の茎、葉は山菜として食用にされる。また、根は、ヤマニンジンと称して食用にされる。
しかし、毒を持つ他の植物との区別は容易ではない。
ムラサキケマンと葉や茎の形が極めて似ていることに加え、生育場所も重複することが多い。実際、シャクの隣にムラサキケマンが生育していることもよく観察することができる。そのため、見た目だけでシャクだと判断し採取するのは危険を伴う。特に花の咲かない若葉の頃に、両者を外見だけで見分けるのは困難である。
両者の違いは以下の通りである。まず、ムラサキケマンにはシャクのような、セリに似た特有の爽やかな香りが無い。よって、匂いで判別するのが最も確実であろう。ムラサキケマンには「悪臭がある」と図鑑などで書かれていることがあるが、実際には無臭の場合も多く、香りの無い場合は食べないほうが良い。また、葉の形も一見よく似ているが、よく見ると違いがある。シャクは先端が尖っているのに対し、ムラサキケマンは先端がやや丸みを帯びていて、葉にうっすらと小さな白い斑点がある。花の形は全く異なるので花の咲く時期になれば容易に判別できる。その時期になれば、シャクは畑など好条件では胸の高さくらいまで成長する一方、ムラサキケマンはそれほど大きく成長しないようである。
北海道などで帰化しているドクニンジンとも間違えられることがある。
下位分類[編集]
- オニジャク Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. subsp. nemorosa (M.Bieb.) Koso-Pol. -果実に上向きの短い刺毛をつける変種。
ギャラリー[編集]
参考文献[編集]
- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類』(1982年)平凡社
- 林弥栄編『山溪カラー名鑑 日本の野草』(1983年)山と溪谷社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)