シミュラクラ現象
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シミュラクラ現象(シミュラクラげんしょう)とは、人間には3つの点が集まった図形を人の顔と見るようにプログラムされている、という脳の働きである。和訳は類像現象。
「シミュラクラ」という言葉は、「人や物を表現または模写した物」(似姿)を意味する英語の"simulacrum"(シミュラクム)の複数形の"simulacra"に由来する。"simulacrum"はラテン語で「似ている物」の意味である[1]。
概要[編集]
人は他人や動物に出会った場合、敵味方を判断したり、相手の行動、感情などを予測したりする目的で本能的にまず、相手の目を見る習性がある。人や動物の目と口は逆三角形に配置されていることから、点や線などが逆三角形に配置されたものを見ると、脳は顔と判断してしまう。心霊写真と呼ばれる現象の多くが、これで説明できるとされている。
現象例[編集]
例として、接地極付きコンセントや鳥が3羽並んだ風景などがある。
英語表記について[編集]
英語で simulacra phenomenon と言っても通じないことには注意されたし。例えばアラン・バディウ[注 1]やジャン・ボートリヤール[注 2]、ジル・ドゥルーズ[注 3]などの現代哲学者が用いているように、simulacra や simulacrum といった言葉は哲学的な単語としての側面が強いからである。「三点が顔に見える」という、特定の心理的現象を示す「シミュラクラ」は日本ならではの表記と考えてもらえればよい。(類像現象と言えば済むが、敢えて横文字を使いつつ誤解を防ぎたいのなら、意味する範囲は広がるものの、パレイドリアと言うのが適切だろう)
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ “Word of the Day”. dictionary.com (2003年5月1日). 2007年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月7日閲覧。
- ^ Badiou, Alain (2001). Ethics - An Essay on the Understanding of Evil. Translated by Peter Hallward. London: Verso. p. 74.
- ^ Deleuze, Gilles (1968). Difference and Repetition. Translated by Paul Patton. Columbia: Columbia University Press. p. 69.