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シミエン国立公園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
世界遺産 シミエン国立公園
(エチオピア)
シミエン山地
シミエン山地
英名 Simien National Park
仏名 Parc National du Simien
面積 13600 ha
登録区分 自然遺産
IUCN分類 国立公園 (II)
登録基準 (7), (10)
登録年 1978年
危機遺産 1996年 - 2017年
公式サイト 世界遺産センター(英語)
地図
シミエン国立公園の位置
使用方法・表示

シミエン国立公園 (英: Simien National Park) は、エチオピア北部、アムハラ州ゴンダール地区にある1969年設立の国立公園。タナ湖の北東約110kmの一帯に広がるシミエン山地(英語版)を対象とする220km2に及ぶ国立公園であり、ユネスコの世界遺産に登録されている。

シミエン山地にはエチオピア最高峰(アフリカ大陸第4位)のラス・ダシェン山(標高4620m)をはじめとする高山が続き、「アフリカの天井」とも呼ばれている。この厳しい自然環境のなかで、独特の動植物たちが生息している。

国立公園指定のきっかけのひとつは、ワリアアイベックス(英語版)を保護することにあった。ワリアアイベックスは、ヨーロッパ大陸のアイベックス(ヤギ亜科)と同系統で、かつてヨーロッパとアフリカが地続きだったときに渡ってきたと考えられている。このほかの哺乳類や鳥類としては、ゲラダヒヒ、アビシニアジャッカル、アヌビスヒヒ、マントヒヒ、クリップスプリンガー、キンイロジャッカル、ブチハイエナ、サバンナダイカー(英語版)、ヒゲワシ、チョウゲンボウ(猛禽類)などが生息している[1]。

植物では、ジャイアントロベリアやヒペリカム(オトギリソウ属)などが見られる。

登録基準

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この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。


登録基準に基づく評価内容は以下の通り。[2]

シミエンのゲラダヒヒ
  • (7) この資産の壮大な景観は、エチオピア高原北端に位置するシミエン山地の一部を成している。ここには、エチオピア最高峰のラス・ダシェンも含まれる。起伏に富むシミエン山地の高原は、数百万年にわたる侵食作用によって削られ、卓越した自然美を持つ切り立った断崖や深い峡谷が形成された。断崖の中には高さ1,500メートルに達するものもあり、北側の断崖壁は約35キロメートルにわたって延びている。山地の北・東・南側は深い谷によって区切られ、その上からは、険しい峡谷状の低地を広く見渡すことができる。シミエン山地の壮大な景観は、アメリカ合衆国のグランド・キャニオンにも匹敵すると評価されている。
  • (10) この資産は、生物多様性保全の観点から世界的に重要である。「アフロアルパイン植物多様性センター」および「東部アフロモンタン生物多様性ホットスポット」の一部を構成し、世界的に絶滅が危惧されている多くの生物種が生息している。公園内の断崖地帯は、絶滅危惧種ワリアアイベックス(Capra walie)の主要な生息地である。この野生のヤギはシミエン山地だけに生息する固有種である。そのほかの代表的な種として、世界で最も希少なイヌ科動物と考えられている絶滅危惧種エチオピアオオカミ(シミエンジャッカル、Canis simensis)や、ゲラダヒヒ(Theropithecus gelada)が挙げられる。いずれもエチオピア高原の固有種であり、アフロアルパイン地域の草原やヒース低木地に依存して生息している。そのほかの大型哺乳類には、アヌビスヒヒ、マントヒヒ、クリップスプリンガー、キンイロジャッカルなどが含まれる。また、この国立公園は重要野鳥生息地でもあり、より広域な「中央エチオピア高原固有鳥類生息地域」の一部を構成している。公園内には合計で20種を超える大型哺乳類と、130種を超える鳥類が生息している。さらに、エリトリアおよび/またはエチオピアに固有の小型哺乳類5種と鳥類16種が生息するほか、希少なヒゲワシの重要な個体群も見られる。ヒゲワシは、印象的な姿を持つ大型のハゲワシ類である。この公園が豊かな種と多様な生息環境を有するのは、標高差、地形、気候がきわめて多様であり、それらがアフロモンタン生態系とアフロアルパイン生態系を形成してきたためである。

危機遺産登録理由

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この山地には、4000m地帯にすら暮らしている人々がいる。彼らは2000年前からこの地で細々と農耕を行ってきたとされるが、その農地拡大が環境の悪化に拍車をかける面が指摘された。また、1993年まで続いたエリトリア独立をめぐる内戦も環境を大きく損ねる原因となった。これらのことから、1996年に危機遺産に登録された。住民の多くは強制移住の対象となったが、対象とならなかった人々は今も山地で暮らしている。

2017年に危機遺産リストから除去された[3]。

脚注

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  1. ↑ “Simien National Park” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年4月26日閲覧。
  2. ↑ Centre, UNESCO World Heritage. “Simien National Park” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2025年2月15日閲覧。
  3. ↑ Ethiopian World Heritage site, Simien National Park no longer in danger (Tuesday, 4 July 2017)(世界遺産センター、2017年7月5日閲覧)

参考文献

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