ザ・フォトグラファー (グラス)

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ザ・フォトグラファー (The Photographer)は、アメリカ合衆国作曲家フィリップ・グラスが作曲した劇音楽。リブレットは19世紀の写真家エドワード・マイブリッジの生涯に基づいている。

作品は1982年にアムステルダムにあるアムステルダム王宮英語版で初演された。

作品の主題[編集]

ザ・フォトグラファーのジャケットに用いられたマイブリッジの「動く馬

エドワード・マイブリッジはアメリカ西部で活躍した写真家で、初期の写真技術のパイオニアでもあった。彼はヨセミテ国立公園の風景を撮影し、写真における美術と技術の境界を広げたことで知られている。

彼とリーランド・スタンフォードの初期の連続写真である「動く馬」は、最も早い時期における動く写真となった。

1874年、マイブリッジは妻の愛人と疑われていたハリー・ラーキンス少佐を殺害するも、正当防衛を理由に無罪となった。またその際、弁護側は馬車事故で負った頭の傷が彼の人格を変えたと主張した。

編成[編集]

フルートソプラノ・サックスアルト・サックスバリトン・サックスホルン2、トランペット2、トロンボーン2、ピアノシンセサイザー電子オルガン合唱、独奏ヴァイオリン弦楽合奏

配役[編集]

  • エドワード・マイブリッジ
  • フローラ (マイブリッジの妻)
  • ハリー・ラーキンス
  • ヴィクトリア朝の衣装を着た傍聴人

あらすじ[編集]

作品は3幕からなるダンス付きの劇音楽で、上演の際、マイブリッジの作品がスライドショーとして用いられる。演奏時間は90分。

第1幕[編集]

第1幕ではマイブリッジのラーキンス殺害の裁判が描かれる。劇中では3つの付随音楽がある。

付随音楽「A Gentleman's Honor」では、実際の裁判記録から引用した言葉や解説、マイブリッジの手紙などが収録されている。

第1幕ではフローラがマイブリッジの息子のフロラドにラーキンスの肖像画を送り、ラーキンスが父親かもしれないとほのめかした事件、傍聴人たちのコメント、マイブリッジの馬車事故や、その後の連続写真の研究にも言及している。

第2幕[編集]

第2幕は独奏ヴァイオリンによる演奏が続く。

劇中、暗室にいるマイブリッジを象徴する人物を背景に、あるいはマイブリッジによる画像のスライドショーが映し出される。

第3幕[編集]

第3幕では、第1幕の登場人物(マイブリッジ、フローラ、ラーキンズ、傍観者など)が再び登場し、ダンスを披露する。

外部リンク[編集]