サワアザミ

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サワアザミ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
: アザミ属 Cirsium
: サワアザミ C. yezoense
学名
Cirsium yezoense (Maxim.) Makino (1905)[1]
和名
サワアザミ(沢薊)

サワアザミ(沢薊[2]・鶏頂草[3]学名: Cirsium yezoense)はキク科アザミ属多年草。やわらかい茎や葉は食用できる。

分布と生育環境[編集]

アザミ属は、分布域が比較的広いものと極端に狭い地域固有種がある。サワアザミの分布域は比較的広く、北海道南部、本州の中部地方以北の北陸側、中部、奥羽地方にかけて分布する[2]。山沿いの平地から山間の盆地で、主に日本海側の山地に分布する[2]。山地の沢沿いの林縁や川そばなどの、湿り気のある場所に見られ、大小の集団を作って群生する[2]

形態・生態[編集]

多年生の草本[2]。茎は直立して、高さは1メートル (m) ほどになり[2]、まれに3 mに達するものもある。茎にはくも毛があり、茎につくは広楕円形で羽状に中裂するが[2]、とげはさほど鋭くなく、葉の表面はざらつき、他のアザミより大きい。葉質は薄くてやわらかい[2]

花期は秋(9 - 10月)[2]。枝の先に横から下向きに淡紅色の大型の花を10数個つける[2]。花(頭状花序)は筒状花のみで構成されている。総苞の基部にある4-6枚の苞葉が特長で、花の下から立ち上がる。総苞にクモ毛があり粘らない。総苞片の先に刺針はない。

食用[編集]

食べられる野草としても知られ、茎の柔らかい部分と葉を食用にする[2]。採取時期は5 - 6月ごろで、高山などでは7月ごろが適期とされる[2]。爽やかな芳香があり、茎は皮を剥き、葉はそのままで天ぷら油炒め、甘い味付けの煮付け、汁の実などとする[2]。また茹でておひたし和え物にもできる[2]

脚注[編集]

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cirsium yezoense (Maxim.) Makino サワアザミ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 高橋秀男監修 2003, p. 160.
  3. ^ 中山泰昌 編『難訓辞典』東京堂、1956年。 

参考文献[編集]

  • 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、160頁。ISBN 4-05-401881-5 
  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎ほか編『日本の野生植物 草本Ⅲ 合弁花類』平凡社、1981年。

関連項目[編集]