サルモレッホ

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サルモレッホスペイン語: salmorejo)とは、トマトを主原材料とした冷製のスープである。スペイン南部のコルドバが発祥地とされ、アンダルシア料理英語版に含まれる。日本語ではサルモレホサルモレーホと片仮名転記される場合がある。スペインのカナリア諸島には、似た名称で異なる料理のコネホ・エン・サルモレッホスペイン語版という料理が存在する。

背景[編集]

サルモレッホの調理例。

スペイン南部は、サハラ沙漠方面から地中海を越えて襲来する熱く乾燥した風などの影響により夏に高温になる上に[注釈 1]地中海性気候は夏に乾燥する傾向にある上に、スペインの内陸部は山に囲まれているなどの影響もあって、特にスペイン内陸部の夏は高温で乾燥する[1]。サルモレッホはスペイン南部のアンダルシア州の内陸部に位置するコルドバ県の県都コルドバが発祥の料理とされている[2][3]。そのためか、コルドバでは2009年時点において、コルドバのバールなどでは至る所で提供されているという[4]

ところで、スペインのアンダルシア州などにおいて、夏期に作られることが多いトマトを主原材料とした冷製スープとしては、他にガスパチョが有名である[5][6]。このガスパチョとサルモレッホは似た料理であるとされる[2]。また、スペインでは食用の油脂としてバターはあまり使用せず、対して、オリーブオイルが多用されることが知られる[7]。加えて、ニンニクも多用される食材として知られる[7][注釈 2]。サルモレッホにもガスパチョにも、オリーブオイルとニンニクが組み合わされて使用されている。

特徴[編集]

サルモレッホとガスパチョは、いずれもトマトを主原材料とした冷製のスープである。そして、ガスパチョは比較的濃厚なスープであると言われる[6]。そのガスパチョと比較してサルモレッホは、バゲットのようなパンも材料として使用するので、より腹持ちが良いと言われている[2]

レシピの例[編集]

サルモレッホとガスパチョは同じスペイン南部のアンダルシア州付近の料理であり、互いに似た料理とされているため、両者を比較しながら解説する。

材料[編集]

以下で挙がっている野菜は、全て火を通してない、生の状態である。

サルモレッホとガスパチョの比較
手順材料サルモレッホガスパチョ
1トマト250 g300 g
バゲット100 g (※1)使用しない
赤パプリカ使用しない40 g
キュウリ使用しない20 g (※2)
タマネギ10 g10 g
ニンニク3分の13分の1
2オリーブ油40 g (※3)30 g (※4)
シェリービネガー15 ml5 ml
食塩適量 (※5)適量 (※5)
3オリーブ油少量 (※4)少量 (※4)
刻んだ茹で卵適量(※6)
一口大に切った生ハム適量
※1 - 古くなって硬くなったバゲットで良い。カンパーニュでも可。

※2 - 皮を剥いた状態での分量。
※3 - オリーブオイルであれば良い。
※4 - Extravirginのオリーブオイル指定。
※5 - 少量。飲む者の好みに合わせて増減する。
※6 - 必ず使用するトッピングは決まっていない。例えば、クルトン、一口大に切ったスイカやトマトなどをトッピングする。

以上で作られる[8]

手順[編集]

手順1の材料を、全てミキサーにかけて粉砕し、さらに、濾して口当たりを良くする。手順1によってできたものに、手順2の材料を混合して全体に馴染ませ、それを冷蔵庫などに入れて冷やしておく。手順3は飲む直前に加えられる物である。なお、サルモレッホは代表的なトッピングが決まっており、それが手順3に挙げられている材料である[2][3][9]

その他の似た料理[編集]

アンダルシア地方には、アルドリア(ardoria)や、ほぐしたツナをトッピングしたポーラ・アンテケラーナ英語版など、他にも類似の料理が存在する。

似た名称の別な料理[編集]

カナリア諸島の料理にも、サルモレッホと呼ばれるマリネに似た調理法がある。カナリア諸島のサルモレッホには、塩、ニンニク、パプリカコショウなどが用いられる。島の伝統料理のコネホ・エン・サルモレッホスペイン語版は、サルモレッホに漬け込んだウサギ肉をフライパンで焼いてから、煮詰めたサルモレッホに戻して煮込んで仕上げる。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 参考までに、イベリア半島南岸部、つまり、スペイン南岸部であれば、夏に地中海北岸を沿うように東から吹いてくる涼風の影響も受けられる。サハラ沙漠方面からの熱風の影響を受けて暑いことに変わりはないものの、南岸部であれば夏でも幾分過ごしやすいと言われている。対して、内陸部の夏は暑く乾燥する。
  2. ^ オリーブオイルとニンニクを組み合わせて使用し、サルモレッホと似た食材の組み合わせのスペイン料理としては、例えば、スペイン北東部のカタルーニャ州には、パン・コン・トマテがある。これはスライスしたパンにニンニクとトマトを乗せて、上からオリーブオイルをかけたものである。

出典[編集]

  1. ^ 二宮書店編集部 『Data Book of the World (2012年版)』 p.347 二宮書店 2012年1月10日発行 ISBN 978-4-8176-0358-6
  2. ^ a b c d 誠文堂新光社 編 『ヨーロッパのスープ料理 (フランス、イタリア、ロシア、ドイツ、スペインなど11ヵ国130品)』 p.203 誠文堂新光社 2012年11月30日発行
  3. ^ a b 丸山 久美 『増補新版 家庭で作れるスペイン料理』 p.22 河出書房新社 2017年11月30日発行 ISBN 978-4-309-28649-5
  4. ^ 地球の歩き方編集室 『A20 スペイン 2010~2011年版』 p.290 ダイヤモンド・ビック社 2010年3月5日発行 ISBN 978-4-478-05810-7 (2010~2011年版は、基本的に2009年10月から11月にかけての取材に基づいていると注釈がある。)
  5. ^ 誠文堂新光社 編 『ヨーロッパのスープ料理 (フランス、イタリア、ロシア、ドイツ、スペインなど11ヵ国130品)』 p.200 誠文堂新光社 2012年11月30日発行
  6. ^ a b Carlos Rubio、上田 博人 編 『新スペイン語辞典』 p.827 研究社 1992年6月発行 ISBN 4-7674-9055-3
  7. ^ a b 誠文堂新光社 編 『ヨーロッパのスープ料理 (フランス、イタリア、ロシア、ドイツ、スペインなど11ヵ国130品)』 p.194 誠文堂新光社 2012年11月30日発行
  8. ^ 誠文堂新光社 編 『ヨーロッパのスープ料理 (フランス、イタリア、ロシア、ドイツ、スペインなど11ヵ国130品)』 p.200、p.203 誠文堂新光社 2012年11月30日発行
  9. ^ Teresa Barrenechea, Christopher Hirsheimer, Jeffrey Koehler, (2005), The cuisines of Spain: exploring regional home cooking, New York, Ten Speed Press, ISBN 1580085156, p.67

主要参考文献[編集]

  • 誠文堂新光社 編 『ヨーロッパのスープ料理 (フランス、イタリア、ロシア、ドイツ、スペインなど11ヵ国130品)』 誠文堂新光社 2012年11月30日発行 ISBN 978-4-416-81249-5

関連項目[編集]