サマンサ・クリストフォレッティ

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サマンサ・クリストフォレッティ
OMRI
Samantha Cristoforetti official portrait in an EMU spacesuit.jpg
ASI/ESA 宇宙飛行士
国籍 イタリア人
現況 現役
生誕 (1977-04-26) 1977年4月26日(44歳)
ミラノ
出身校 ナポリ大学
宇宙滞在期間 199日16時間42分
選抜試験 2009 ESA Group
ミッション ソユーズTMA-15M (第42次/第43次長期滞在)
記章 Soyuz-TMA-15M-Mission-Patch.png ISS Expedition 42 Patch.svg ISS Expedition 43 Patch.svg
公式サイト samanthacristoforetti.esa.int

サマンサ・クリストフォレッティ(サマンタ・、Samantha Cristoforetti、1977年4月26日-)は、イタリア出身の欧州宇宙機関所属宇宙飛行士イタリア空軍のパイロット、エンジニアである。ヨーロッパ人宇宙飛行士としての宇宙連続滞在時間の記録(199日16時間)を持つ[1][2][3]。また、2017年にペギー・ウィットソン[4][5][6][7]、又その後クリスティーナ・コック[8]に破られるまで、女性の一度の宇宙滞在時間の最長記録を持っていた。彼女は、宇宙を訪れた最初のイタリア人女性であり、2022年には、再び国際宇宙ステーション(ISS)に行くことが予定されている[9]イタリア共和国功労勲章受章者。

生い立ち[編集]

クリストフォレッティは、1977年にミラノで生まれ、子供時代をマレで過ごした。18歳の時、AFS交換留学プログラムでアメリカ合衆国を訪れ、スペースキャンプに参加した[10]

初期のキャリア[編集]

彼女はボルツァーノ及びトレントで学び、ミュンヘン工科大学を卒業して機械工学の学位を取得した。その後、トゥールーズISAE SUPAEROモスクワメンデレーエフ記念ロシア化学技術大学にも通い、ナポリ大学で航空科学を修めた[11]。さらに、ポッツオーリ空軍士官学校に通い、イタリア空軍で女性として初めての中尉、戦闘機パイロットとなった。スペースキャンプの卒業生で軌道を訪れたのは、彼女が2人目だった[12]。訓練の一環として、Euro-NATO Joint Jet Pilotトレーニングを完了した。

SF-260T-37MB-339A、MB-339CD、AM-Xという6機種の軍用機で、500時間以上の飛行経験を持つ。

欧州宇宙機関でのキャリア[編集]

クリストフォレッティは、欧州宇宙機関により、8000人の候補者の中から、2009年に宇宙飛行士に選ばれた[13]

第42/43次長期滞在[編集]

Samantha Cristoforetti in a special sleep bag that stops the person from drifting around in the micro-g environment of ISS.

2012年7月3日、欧州宇宙機関は、クリストフォレッティが2014年に長期間、ISSに滞在するミッションに参加する予定であると発表した[14]

2014年11月23日、クリストフォレッティと他の2人の宇宙飛行士は、カザフスタンバイコヌール宇宙基地より、ソユーズTMA-15Mで打ち上げられた。約6時間後にはISSとのドッキングに成功した[15]。3人は、2015年6月11日に地球に帰還した。宇宙滞在は199日となり、女性として1度のミッションでの宇宙滞在記録を樹立した。それまで、アメリカ航空宇宙局スニータ・ウィリアムス第33次長期滞在で195日間滞在したのが最長であった。この記録は、2017年6月5日に第52次長期滞在のペギー・ウィットソン[4][16]、2019年12月28日に第60次長期滞在のクリスティーナ・コック[17]により更新された。

ISSでの彼女のミッションは、Futuraと呼ばれた。滞在中、また月や火星の軌道への長期滞在を模擬した様々な科学実験を行った。ATV-5から離脱する際には、メインの操縦を行った。2015年2月、8-9歳の児童が、彼女自身が宇宙で行った訓練に9週間のプログラムで挑戦する"Mission X: Train Like an Astronaut"というアウトリーチプログラムを開始した[18]。また、再循環空気の中で光合成を行うスピルリナをどのように食糧にしうるかというアウトリーチも行っている[19]

彼女は1回、最大3回の宇宙遊泳が予定されていたが[20]、2014年10月にシグナス CRS Orb-3の打上げが失敗し[21]、必要な機材が届かなかったため、行われなかった。

彼女は、『銀河ヒッチハイク・ガイド』のシャツを着て、『生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え』のシャツを着た同僚のアントン・シュカプレロフと一緒に写真を撮った[22]第42次長期滞在のブログには、"(作中の「銀河ヒッチハイクガイド」の表紙に書いてあるとされる言葉である)"don't panic"という特別セクションがある[23]。2015年4月、ドラゴンは、無重力で動作する初のエスプレッソマシンであるISSpressoを運んできた。彼女はこれを設置し、5月3日に宇宙で最初の一杯を抽出し[24]スタートレックに登場する宇宙艦隊スターフリートのユニフォームを着た自身の写真に、ブラックコーヒーが好物の『スタートレック:ヴォイジャー』の主人公キャスリン・ジェインウェイの言葉をもじった"'There's coffee in that nebula'... ehm, I mean... in that #Dragon"という文章を添えて、Twitterに投稿した[25][23] [26]。スタートレックでスポックを演じているレナード・ニモイの死去の翌日に当たる2月28日、キューポラにて、シャツにスターフリートのピンを付けて、ヴァルカン・サリュートをする自身の写真を撮影した[27]。ロシアの2機のロケットの打上げが失敗し、地球への期間が1カ月延びたことで、ヨーロッパ人として、また女性としての宇宙滞在記録を更新することとなった[28]

2015年7月16日には、国で最高の名誉である[29]イタリア共和国功労勲章を受章した。授与した大統領のセルジョ・マッタレッラは、「彼女は全てのイタリア人から優しさと愛情を持ってフォローされてきた」と語った[30]

NEEMO 23[編集]

クリストフォレッティは、2019年6月10日から22日に行われたNEEMO 23のミッションを率いた[31]。このミッションでは、海底で、新宇宙探査や月探査のための技術や装置を試験した。

2度目の宇宙飛行[編集]

2022年春には、ISSへの2度目の飛行が予定されている[32]。これは、スターライナーまたはクルードラゴンを用いたNASAにとって4度目の商業乗員輸送プログラムとなる[33]

私生活[編集]

イタリア語、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語を話すことができ、現在、中国語を勉強している[34]

2016年11月、ドイツのケルンで女の子を出産した[35]。イタリア紙によると、子どもの父親は、フランス人の宇宙飛行士インストラクターと言われている[36]

著書[編集]

  • Diary of an Apprentice Astronaut - by Samantha Cristoforetti - 2020 - 978-0-2413-7138-1

受章[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Spaceflight, Irene Klotz 2015-06-09T19:54:36Z Human. “Space Station Crew Returning to Earth After Delay” (英語). Space.com. 2019年12月7日閲覧。
  2. ^ Record-breaking astronaut becomes internet sensation” (英語). ABC News (2015年7月8日). 2019年12月7日閲覧。
  3. ^ Astronaut Biography: Samantha Cristoforetti”. www.spacefacts.de. 2019年12月7日閲覧。
  4. ^ a b Astronaut Biography: Peggy Whitson”. www.spacefacts.de. 2019年12月7日閲覧。
  5. ^ Dutch astronaut loses space record to Italy's Cristoforetti Archived June 5, 2015, at the Wayback Machine., Nltimes.nl; accessed 24 June 2015.
  6. ^ “3 Space Station Astronauts Safely Return to Earth”. The New York Times. (2015年6月11日). ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/aponline/2015/06/11/science/ap-sci-space-station.html 2015年6月24日閲覧。 
  7. ^ Samantha beats ESA astronaut single-duration record - Outpost 42”. Outpost 42. 2015年9月26日閲覧。
  8. ^ Christina Koch Completes 328-Day Mission in Space - Space Station” (英語). blogs.nasa.gov. 2020年2月12日閲覧。
  9. ^ ESA biography
  10. ^ Space Camp Alumni Newsletter”. Spacecampalumni.com. Space and Rocket Center. 2015年1月15日閲覧。
  11. ^ Samantha Cristoforetti”. A.S.I. - Agenzia Spaziale Italiana. 2015年9月26日閲覧。
  12. ^ Space Camp Alumni Newsletter”. Spacecampalumni.com/. Space and Rocket Center. 2015年1月15日閲覧。
  13. ^ Samantha Cristoforetti”. ESA website. 2020年9月17日閲覧。
  14. ^ ESA astronaut Samantha Cristoforetti set for Space Station in 2014”. ESA website (2012年7月3日). 2015年6月24日閲覧。
  15. ^ Crew docks at International Space Station”. USA Today (2014年11月23日). 2015年6月24日閲覧。
  16. ^ Astronaut Peggy Whitson Ends Record-Breaking Space Mission with Smooth Landing”. space.com. 2017年11月29日閲覧。
  17. ^ Smith, Yvette (2019年12月27日). “Astronaut Christina Koch Poised to Make History Again”. NASA. 2020年2月12日閲覧。
  18. ^ Mission X - Training like an Astronaut”. Web Portal of the European Space Agency (ESA). European Space Agency (ESA). 2016年2月8日閲覧。
  19. ^ Futura Mission”. ESA website (2015年10月7日). 2018年4月2日閲覧。
  20. ^ AJ-26 Engine Turbopump likely Suspect in Antares Launch Failure”. Spaceflight101 website (2014年11月5日). 2016年8月6日閲覧。
  21. ^ NASA'S RESPONSE TO ORBITAL'S OCTOBER 2014 LAUNCH FAILURE: IMPACTS ON COMMERCIAL RESUPPLY OF THE INTERNATIONAL SPACE STATION” (2015年9月17日). 2016年8月6日閲覧。
  22. ^ Sam Cristoforetti on Flicker, A Dragon is coming!#DontPanic”. flicker. 2015年1月12日閲覧。
  23. ^ a b Don't panic | Outpost 42”. Outpost42.esa.int. 2016年2月17日閲覧。
  24. ^ Espresso Coffee Conquers Space” (2015年5月3日). 2020年11月5日閲覧。
  25. ^ To boldly brew: Italian astronaut makes first espresso in space”. the Guardian. 2015年9月26日閲覧。
  26. ^ Sam Cristoforetti on Twitter”. Twitter. 2015年9月26日閲覧。
  27. ^ Sam Cristoforetti on Flickr, Of all the souls I have encountered.. his was the most human.”. flickr. 2017年3月27日閲覧。
  28. ^ “Samantha overtakes Sunita as holder of longest spaceflight for women”. ESA. http://outpost42.esa.int/blog/samantha-overtakes-sunita-williams-as-holder-of-longest-spaceflight-for-women/ 2015年7月23日閲覧。 
  29. ^ Sainty, Guy Stair World Orders of Knighthood and Merit (pp.1233-4) Buckingham: Burke's Peerage and Gentry, 2006
  30. ^ Samantha Cristoforetti becomes Cavaliere di Gran Croce”. Italoamericano.org. 2015年7月21日閲覧。
  31. ^ Emily Toomey (2019年7月29日). “NASA Scientists and Astronauts Practice for Space Missions on the Seafloor”. Smithsonian magazine. 2021年6月8日閲覧。
  32. ^ “Samantha Cristoforetti will fly to the International Space Station in 2022” (プレスリリース), ESA, (2021年3月3日), https://www.esa.int/Newsroom/Press_Releases/Samantha_Cristoforetti_will_fly_to_the_International_Space_Station_in_2022 
  33. ^ Second spaceflight for Samantha Cristoforetti, Media Event. ESA. 4 March 2021. 該当時間: 28:47.
  34. ^ Samantha Cristoforetti - Futura Mission Archived December 21, 2014, at the Wayback Machine. (2014), European Space Agency, esa.int; accessed 24 June 2015.
  35. ^ “Samantha Cristoforetti gives birth to Kelsey Amal”. ANSA. (2017年1月3日). http://www.ansa.it/english/news/2017/01/03/samantha-cristoforetti-gives-birth-to-kelsey-amal_570740d1-2a24-49f4-80e9-f2177437c6fd.html 2018年12月20日閲覧。 
  36. ^ Chi e Lionel Ferra? Il Fidanzato di Samantha Cristoforetti”. 2018年12月22日閲覧。
  37. ^ a b Cristoforetti Cap. Samantha decorated”. The official website of the Presidency of the Italian Republic. 2016年12月11日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]