サボテンの花 (曲)

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サボテンの花』(サボテンのはな)は、チューリップの曲。最初のシングルは1975年2月5日に発売された(通算8枚目)。作詞・作曲は財津和夫で、財津のソロによるセルフカバーでも知られる。

楽曲解説[編集]

財津によると、福岡の実家に帰ったときに母親が育てていたサボテンの花に感動したのが本曲の原点で、歌詞は前年の1974年にヒットした山本コウタローとウィークエンドの『岬めぐり』を参考にして「アンサーソングのつもり」で作詞した[1][2]

本曲はまた、財津自身の失恋体験が元になっており、当時付き合っていた女性が財津の家で靴下などを洗濯していたことなど、その時の光景を思い出して作ったが、この曲の歌詞全てが実話ではないという[3]。この曲の最後を「ラララ…」という形にしたのは、失恋の曲の中にあっても希望を残すためであり、「恋人に去られてしまっても、春が来たら自分も再生し、自分も再び歩き出す」という意味を付けるため、広い空をイメージしたものだと述べている[4]

レコーディングの際、1番の歌詞「窓に溶けてゆく」を「窓に降りそそぐ」と間違って歌ってしまったが、その間違いに関係者の誰も気づかないままレコーディングが終わり、そのまま発売されたという逸話がある。財津は「歌詞カードがおかしいと思ったら、自分が間違っていた」と後になってから気づいたという[3]

「ひとつ屋根の下」主題歌[編集]

本曲は、フジテレビ系ドラマ『ひとつ屋根の下』の主題歌に使用され、シングル発売から18年が経った1993年にリバイバルヒットした(1975年当時もオリコンTOP20にはランクインしている)。もっとも、ドラマではオリジナルの「サボテンの花」は使われておらず、財津のソロ名義によるセルフカバーが「サボテンの花〜ひとつ屋根の下より〜」のタイトルで主題歌として使用されている。ドラマ放映時には、まず1993年4月21日日本コロムビアから財津のセルフカバー・アルバム『Z氏の悪い趣味くせ』からのシングルカット盤が発売され、同年4月28日パイオニアLDCからドラマ用にリメイクした『サボテンの花〜ひとつ屋根の下より〜』のシングルが、同年5月7日東芝EMIからオリジナルの『サボテンの花』が次々と発売され、3つのレコード会社から別々の音源で同じ曲のシングルが相次いで発売される事態となった[5]

1997年放送のドラマ続編『ひとつ屋根の下2』ではチューリップの「サボテンの花」が主題歌となっているが、こちらもオリジナルではなく、同年のチューリップ再結成時に再録音されたものである。

チューリップのシングル[編集]

1975年盤シングル(オリジナル)[編集]

サボテンの花
チューリップシングル
初出アルバム『無限軌道
B面 なくした言葉
リリース
規格 7インチレコード
ジャンル ロック
レーベル 東芝EMI / EXPRESS
作詞・作曲 財津和夫
チャート最高順位
チューリップ シングル 年表
ぼくがつくった
愛のうた

(1974年)
サボテンの花
(1975年)
悲しき
レイン・トレイン

(1975年)
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1975年2月5日に、チューリップの通算8枚目のシングルとして発売された。同年4月5日発表のアルバム『無限軌道』からの先行シングルである。B面は、1974年のアルバム『ぼくがつくった愛のうた』からのシングルカットである。

収録曲(1975年盤)[編集]

  1. サボテンの花
    作詞・作曲:財津和夫、編曲:チューリップ
  2. なくした言葉
    作詞:財津和夫、作曲:姫野達也、編曲:青木望・チューリップ

1997年盤シングル[編集]

サボテンの花
チューリップシングル
初出アルバム『We believe in Magic
B面 サボテンの花(オリジナル・カラオケ)
リリース
規格 8cmCD
ジャンル ロック
レーベル ビクター エンタテインメント
作詞・作曲 財津和夫
チューリップ シングル 年表
ストロベリー・スマイル
(1989年)
サボテンの花
(1997年)
We believe in Magic
(1997年)
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1997年の再結成時のタイミングとテレビドラマ『ひとつ屋根の下2』の放映時期が重なり、チューリップによるセルフカバー・バージョンが主題歌として採用された。

チューリップとしては初めての8センチCDであり、セルフカバー・アルバム『We believe in Magic』からの先行シングルとして同年4月9日に発売された。

収録曲(1997年盤)[編集]

全作詞・作曲:財津和夫、編曲:チューリップ

  1. サボテンの花
  2. サボテンの花(オリジナル・カラオケ)

財津和夫のセルフカバー[編集]

財津和夫は本曲をたびたびセルフカバーしている。ディスク収録されたものには以下が挙げられる。

1987年録音・1993年シングルカット盤[編集]

サボテンの花
財津和夫シングル
初出アルバム『Z氏の悪い趣味くせ
A面 サボテンの花 ('87 Version)
B面 青春の影 ('90 Version)
リリース
規格 8cmCD
ジャンル J-POP
レーベル 日本コロムビア / TRIAD
作詞・作曲 財津和夫
チャート最高順位
財津和夫 シングル 年表
-サボテンの花
(1993年)
-
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シングル『サボテンの花〜ひとつ屋根の下より〜』より1週間先駆けてリリースされ、セルフカバーアルバム『Z氏の悪い趣味くせ』のバージョンが収録されている。

カップリング曲の「青春の影 ('90 Version)」は、1990年に発売されたシングル「Dream With You」に収録されているバージョンである。

収録曲(1987/1993年盤)[編集]

全作詞・作曲:財津和夫

  1. サボテンの花 ('87 Version)
    編曲:京田誠一
  2. 青春の影 ('90 Version)
    編曲:笹路正徳(リズム・アレンジ)、椎名和夫(オーケストラル・アレンジ)

サボテンの花〜ひとつ屋根の下より〜(1993年)[編集]

サボテンの花〜ひとつ屋根の下より〜
財津和夫シングル
初出アルバム『MINI BEST from TV
B面 しわくちゃのスーツ
リリース
規格 8cmCD
ジャンル J-POP
時間
レーベル パイオニアLDC
作詞・作曲 財津和夫
チャート最高順位
  • 週間7位(オリコン
  • 1993年度年間47位(オリコン)
財津和夫 シングル 年表
誰が許すの 君のわがままを
(1992年)
サボテンの花〜ひとつ屋根の下より〜
(1993年)
メルティング
(1993年)
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シングル『サボテンの花〜ひとつ屋根の下より〜』(サボテンのはな ひとつやねのしたより)は、1993年4月28日に発売された。財津の通算11枚目のシングル(前述のシングルカットは含まない)である。 

本シングル収録バージョンは、先行して発表されたアルバム収録のいずれのバージョンともアレンジが異なっている。どちらかというと、1975年に発売されたオリジナルのアレンジに近い。

フジテレビ系ドラマ『ひとつ屋根の下』主題歌に使用され、ドラマが高視聴率だったこともあり、60万枚以上の売り上げを記録した。財津のソロとしては、「Wake Up」(1979年)以来のヒット曲である。

収録曲(ひとつ屋根の下より)[編集]

全作詞・作曲・編曲:財津和夫

  1. サボテンの花〜ひとつ屋根の下より〜
  2. しわくちゃのスーツ
  3. サボテンの花〜ひとつ屋根の下より〜(オリジナル・カラオケ)

1996年盤シングル[編集]

サボテンの花
財津和夫シングル
リリース
規格 8cmCD
ジャンル J-POP
レーベル パイオニアLDC
作詞・作曲 財津和夫
財津和夫 シングル 年表
Everlasting
(1995年)
サボテンの花
(1996年)
ひまわりの家
(1997年)
テンプレートを表示

宝焼酎「純レジェンド」のTV-CFイメージソングに選ばれ、それに合わせて発売されたバージョンである。CMには財津が原田知世と共に出演していた。

イントロなしのアカペラで楽曲が始まるなど、3年前のリバイバルヒット時のバージョンとは若干異なる。カップリング「Weekday love woman」共々オリジナル・アルバムには未収録となっている。

なお、このシングルを最後に、財津はパイオニアLDCを離れた。

収録曲(1996年盤)[編集]

全作詞・作曲・編曲:財津和夫

  1. サボテンの花
  2. Weekday love woman
  3. サボテンの花(Original Karaoke)
  4. Weekday love woman(Original Karaoke)

CMでの使用[編集]

前述の他、「ひとつ屋根の下より」バージョンが後年、以下のCMで使用されている。

  • 2013年、トヨタCM「実写版ドラえもん」(のび太の籠屋篇)にタイアップされた。
  • 2019年9月3日より、テレビCMのサントリー・カフェ・ド・ボス「老舗」篇[6]のCMソングに採用された。

その他の主なカバー[編集]

備考[編集]

西鉄宮地岳線(現・貝塚線)では、香椎花園前駅貝塚駅などに到着する際、車内メロディとして「心の旅」とともにオルゴール版で使用されていた。旧宮地岳線西鉄新宮駅以北廃線後は同駅終着時にも使われていた。

脚注[編集]

  1. ^ 『月刊現代』2007年11月号 「財津和夫×山本コウタロー スペシャル対談」 講談社
  2. ^ 『家の履歴書』梶山寿子、光文社、2012年、p105、108
  3. ^ a b 東京新聞』2015年5月26日夕刊掲載「この道 財津和夫」
  4. ^ 『東京新聞』2015年5月27日夕刊掲載「この道 財津和夫」
  5. ^ 「『チューリップ』ブーム開く!? 主題歌CD、3社が“競作”」『朝日新聞』1993年4月22日付夕刊、19頁。
  6. ^ カフェ・ド・ボス「老舗」篇
  7. ^ (日本語) 江蕙 -幸福的小站 HSIANG FU DE HSIAO CHAN(Official Music Video), https://www.youtube.com/watch?v=lE9qFb2oPos 2021年7月28日閲覧。 
  8. ^ 豊崎愛生くつろぎカバー集でユーミン、はっぴいえんど、大滝、RCの名曲歌う”. 音楽ナタリー (2018年9月19日). 2018年10月11日閲覧。