サバス

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佐賀市内に滞在中のサバス

サバスは、引退した路線バスの車体を活用した移動式サウナである。

経緯[編集]

発案は神姫バスの社員で、コロナ禍で乗客減に歯止めがかからない中、フィンランドにはバスを改造したサウナがあることを知る[1]。退職せずに起業できる出向起業の制度を使い、運営会社「株式会社リバース」を立ち上げた[2]。企画にはサウナ情報サイト「サウナイキタイ」が協力している[3]。2022年2月に改造工事が完成し、同年3月5日に兵庫県神河町のアウトドア施設「グリーンエコー笠形」で行われた体験会は午前・昼・午後の3部制で各8人、24人の定員に対し250人の応募があった[4]。基本的に駐車スペースを持つ温浴施設やレジャー施設に貸し出す形態がとられ[3]、走行中の利用は行われない[5]水風呂については簡易プールが車外に設置されるが、川や湖の近くに停めて、天然の水風呂として利用することも考えられる。

構造[編集]

外観は姫路市周辺で路線バスとして運行されていた当時のデザインをほぼ踏襲し、水をイメージした水色のラインが加えられている。前面の電光掲示板には「蒸37 サウナ」、側面のものには「サウナ→水風呂→外気浴→ととのう」と表示される。正面には神姫バスの社章のイメージを踏襲したオリジナルのエンブレムが取り付けられている。ナンバーは「さ 11-37」を取得した[3]。ベースとなった車両は南4870号車(元明石市交通部)。

車内前方は休憩スペースや手荷物置き場として使用される。後方がサウナ室で、中央の通路の左右に3列の座席と、最後部には寝転んでも利用できる長い椅子が設置されている。タイヤハウスの関係で各座席には高低差があり、蒸気や熱の感じ方の違いを楽しむことができる。座席の木材の角に丸みを持たせた処理や、触れた際に熱さを感じにくいようドアの取っ手や座席のひじ掛けに巻かれた麻紐は、大阪の既存のサウナの優れた点を採り入れた[3]。サウナ室前方には、エストニアに本社のあるtotonoü社の監修・手配により[6]フィンランドのハルビア英語版製の薪ストーブが導入された[3]。車内の降車ボタンはオートロウリュのスイッチになっており、乗車整理券ボックスを再利用したタンクからサウナストーブにアロマ水が注がれる仕掛けになっている[7]。ほかにもつり革を改造した温度計や、エアコンの吹き出し口を照明に改造するなど、バスの部材の再活用がなされている[3]

脚注[編集]

  1. ^ “蒸37系統「サウナ発、水風呂経由、ととのう行き」 出発進行!”. 朝日新聞. (2022年3月7日). https://www.asahi.com/articles/ASQ373T4YQ35PQIP008.html 2022年3月11日閲覧。 
  2. ^ “バス車内で「ととのう」 本場まきストーブの移動サウナ 神河でお披露目”. 神戸新聞兵庫おでかけプラス. (2022年3月4日). https://www.kobe-np.co.jp/news/odekake-plus/news/detail.shtml?news/odekake-plus/news/pickup/202203/15108809 2022年3月11日閲覧。 
  3. ^ a b c d e f 路線バスを改造した移動型サウナ「サバス」できました”. サウナイキタイ (2022年2月19日). 2022年3月12日閲覧。
  4. ^ “行き先は「蒸37 サウナ」、兵庫・サバスの乗り心地は?”. Lmaga.jp. (2022年3月7日). https://www.lmaga.jp/news/2022/03/410585/ 2022年3月12日閲覧。 
  5. ^ “路線バスを改造し移動型サウナバス「サバス」を製作! “つり革”や“降車ボタン”も活用…担当者に聞いた”. FNNプライムオンライン. (2021年11月20日). https://www.fnn.jp/articles/-/267732 2022年3月12日閲覧。 
  6. ^ totonoüが移動型サウナバス「サバス」プロジェクトに参加、サウナストーブ手配・監修を担当”. PR TIMES (2021年11月4日). 2022年3月12日閲覧。
  7. ^ “マジで登場「路線バス改造サウナバス」 降車ボタンで“蒸気降ります” なぜ作った?”. 乗りものニュース. (2022年2月23日). https://trafficnews.jp/post/115826 2022年3月12日閲覧。 

外部リンク[編集]