サジー

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サジー
Hippophae rhamnoides-01 (xndr).JPG
Hippophae rhamnoides
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: グミ科 Elaeagnaceae
: ヒッポファエ属 Hippophae L.
和名
サジー(沙棘)など
英名
Sea-buckthorn
Seaberry
下位分類群
  • 本文参照

サジー(英語:saji)は、グミ科ヒッポファエ属(Hippophae)の落葉低木の総称。

概要[編集]

サジーは、日本では自生しておらず、北海道などで試験的に栽培されているだけである。英国圏ではシーバックソーン(Sea buckthorn)やシーベリー(Sea berry)などと呼ばれている。5000年以上前から類いまれな栄養をもつ果物として親しまれ[要出典]、特に海外では化粧品や健康食品の原料にもなり、市場は拡大傾向にある[要出典]。日本国内でも人気があり、日本スーパーフード協会 が発表する「2020年スーパーフードトレンド予測」で4位[1] になるなど、急速に需要が高まっている。

サジーの呼称
言語読み
日本語サジーSaji
英語シーバックソーンSeabuckthorn
シーベリーSeaberry
ロシア名オブレピカOblepikha
フランス名アルゴーサーArgousier
イタリア語オリベロスピノソOlivello Spinoso
フィンランド語ターニTyrni
スウェーデン語ハブトーンHavtorn/Finbar
オランダ語ドゥインドーンDuindoorn
ポーランド語ロキトニクRokitnik
ネパール語タロTora, Chichi,Tara Chuk
ドイツ語サンドーンSanddorn
デンマーク語ティンブドTinved
中国語サージShaji
モンゴル語チャチャルガンYashildoo Chatsargana
チベット語ダーブDhar-bu/star-bu
パキスタン語メルクMilech
ヒンドゥ語ダーチュクDhurchuk
スペイン語エスピノアーマリロEspino Armarillo

性質[編集]

ユーラシア原産のサジーは、標高1200~2000mの鉱山や砂漠、寒暖の差が激しい地域にも自生できる植物。年間降雨量が250mm以下の半砂漠でも、砂状の土壌にしっかりと根を張り育つことができるため、砂漠の緑化、土壌侵食防止、汚染還元などに貢献している[要出典]。サジー属には、6種類、12亜種の品種があり、品種によって直径5mmの大きさの実をつけるものや、1㎝くらいの実をつける品種など様々であるが、どの品種も9月~10月に果実が実る。11月~2月の冬の間もずっとその実を落とすことなく、鳥が食べるのを待ち続ける。鳥に食べられた後、その種子は鳥の体内で急速に成長し、フンとして排出されたその土地でまた新たに芽吹き、その土地を豊かにする[要出典]。厳しい環境の中で自生し繁栄していくため、サジーが身に着けた術である[要出典]

栄養価 [編集]

Hippophae rhamnoidesの果実

サジーはビタミンミネラルアミノ酸ポリフェノール鉄分などを中心に約300種類近くもの栄養素を含んでいる。これらの栄養素は、厳しい環境に順応するために、サジー自ら生成したものと考えられる[要出典]。特に標高が高く、かつ乾燥や寒暖の差が激しい沙漠に自生しているシネンシス系サジーは他の品種よりも栄養価が高いとされている[要出典]

サジーの果実[編集]

ビタミンC抗酸化成分、アミノ酸鉄分などを豊富に含み、その高い栄養価から、健康食品健康飲料としての需要が高い[要出典]。また、果実としては珍しく油脂を含んでおり、オメガ7系パルミトレイン酸カロテノイドが豊富なため、アンチエイジングメタボリックシンドローム、化粧品の色素や潤い成分として幅広く利用されている。[2]

サジーの種子[編集]

種子はゴマをやや太らせたような形状をしており、黒褐色で小さく硬い。このサジーの種子から抽出されるオイルには、オメガ3系α-リノレン酸植物ステロールが豊富に含まれ、希少価値の高い原料として高値で取引されている[要出典]。また、不飽和脂肪酸であるオメガ3系α-リノレン酸は融点が低いために熱に弱く、酸化しやすいことから、超臨界抽出方法などが求められ、その希少性を際立たせている[要出典]

サジーの果皮[編集]

サジーの果皮には、フラボノイドカロテノイド植物ステロールおよびアミノ酸などの活性物質のほか、食物繊維が多量に含まれている。これまで捨てられていた部分ではあるが、近年その栄養価の高さに注目した企業が商品化している[要出典]

産業 [編集]

日本などでは主に健康食品として利用されている。一方で海外では、そうした商業的利用はもちろん、砂漠化対策や貧困対策など産業価値が非常に高い果物として知られている。[3]

食用 [編集]

日本では果実そのものを食用としてきた歴史はないが、インド中国などで古くから、類いまれな栄養価を持つ果物として人々に食されてきた。特にその両国では薬として使用されていたことがある。甘みもあるが酸味と渋みが強いため、近年では、冷凍して渋みを弱めたり、ほかの果物とミックスジュースにしたり、パイジャム果実酒の材料にすることが多い。[4] また、朝青龍がサジーを小さいころから食べていた逸話もある。

健康食品[編集]

サジーの栄養価の高さに注目した国内外の企業が、サジーを原料にした健康食品を開発している。果実を使ったものが主ではあるが、果皮を原料にしている商品もある。日本国内でもサジーを使ったジュースなどが販売されている。また、原料となるサジーは、比較的数が少なく、入手が困難なため、市場は拡大しているものの新規参入が難しい分野でも知られる。[5]

化粧品 [編集]

サジーオイルは美容成分が豊富なため、しばしば化粧品として利用される。海外では元々、ハリウッド女優が使用するなど人気があった。近年、サジーの知名度が上がるとともに、日本国内でも多くの企業が化粧品産業に参入している。[6]

砂漠化対策[編集]

厳しい環境でも育つことができるサジーは、砂漠緑化にしばしば用いられている。サジーの名産地で知られる内モンゴル地区では、日本の企業が主導してサジーの植林を行っている。また、インド政府は国家プロジェクトとして、サジーをヒマラヤ地区におよそ100万ヘクタール植林している。[7] これは東京ドーム21万個分に相当する。

貧困対策[編集]

砂漠地帯に、サジーが植林されていることは前述の通りである。このような地域には産業が定着せず、経済が不安定である。産業価値がとても高いサジーは不安定な経済を安定させ、砂漠地域に雇用を生み出している。サジーの需要が高くなるほど、雇用も拡大していき、地域の経済地盤はより確固たるものになって行くと予想される。インド政府は、前項の国家プロジェクトの中で、積極的にサジーの研究を行っている。そして、様々な効果を正式に証明したことで、インドでのサジーの産業価値は、2001年から2017年にかけて6倍以上に跳ね上がっている。[7]

浸食防止 [編集]

中央ヨーロッパとアジアでは、浸食を防ぎ、川岸を安定化するために使用されている。[8] サジーは空気と土壌中の塩分に耐性があり、乾燥した砂地で成長するため、防砂林として海岸線に植えられるケースも多い。

防風林 [編集]

カナダでは政府主導のもと、農家へ防風林としてサジーを無償提供している。[9]

安全性[編集]

サジーは古くから人々に食されてきた事実があり、その安全性は極めて高い[要出典]。また、世界各国の大学や研究機関の研究でも、重大な副作用が確認された例はない[要出典]。国内に流通している健康食品も同様で、重大な健康被害の実例はない[要出典]。だが、サジーはが強く、胃に負担がかかりやすいため、商品によっては食後に摂取することが推奨されている[要出典]

研究[編集]

サジーの効果を立証しようと、世界各国の大学や研究機関が研究を行っている。それらの研究の多くは、 アメリカ国立衛生研究所アメリカ国立医学図書館が持つデータベース(PubMed)に登録され、ネット上からも閲覧することが可能である。研究によると、アトピー[10]花粉症[11]皮膚炎[10]貧血などといったものや、免疫力を高めるなどといった効果が期待されている。

組織[編集]

EU諸国や中国、ロシアなどが中心となった組織「EAN-Seabuck」は、持続可能な作物と消費者製品の開発を促進するため、欧州委員会から資金提供を受けている[要出典]。モンゴルには、サジーの耕作者と生産者の活発な全国協会も存在する[要出典]。サジーに関する国際研修研究センター(ICRTS)は、1988年にサジーに関する中国研修センター、黄河水委員会のシーバックソーン事務所、および陝西サジー開発事務所が共同で設立したものである[要出典] 。ICRTSは、1995年から研究ジャーナルHippophaeを発行している。日本には 日本サジー協会 が設立しており、日本国内で流通しているサジー商品の中でも、特に優れたものに認定マークを授与している。

歴史[編集]

サジーの歴史はとても古く、ギリシャ神話古典医学書にも登場する。

アーユルヴェーダ[編集]

アーユルヴェーダとは、5000年近い歴史を持つインド伝統医学である。その伝統医学がサジーを薬草療法として認めていた。インドでは医師協会のジャーナルに登場するほど、今なおサジーは重宝され続ける果物である。[12]

ギリシャ神話[編集]

紀元前15世紀頃のギリシャ神話にて、サジーが関連する逸話が残されている。サジーの学術名[Hippophae]は、[輝く馬]という意味である。これは、レースのために食事制限をしている馬にサジーを与えたところ、馬が輝く毛並みを手に入れたことに由来する。さらに、ペガサスの好物であったことも伝説として語り継がれている[要出典]

チベット医学[編集]

チベット医学は、4000年の歴史を持つ伝統医学である。約1200年前の『四部医典』というチベット医学書をもとに作られた『四部医典タンカ全集』にサジーは薬草として記されている。[12]

中国四大美人[編集]

紀元前1世紀頃、中国四大美人のひとりである王昭君は、美を保つためにサジーを用いていたという逸話が残っている。[13]王昭君は、悲劇の美女として知られているが、どんな状況でもその美貌は変わらなかったのだという。

チンギスハン[編集]

モンゴルの征服者チンギスハンは、13世紀最大の帝国を築いたことで知られている。様々な遠征や戦闘を繰り返す中で、チンギスハンの部隊の馬は傷つき、退いていった。その後、しばらくして再会した馬たちは、美しい毛並みとたくましい体に戻っていた。それは馬たちがサジーを食べていたためだったと伝えられている。[14] 以来、チンギスハンはサジーを重宝し、必ず持ち歩くようになったという。

宇宙食[編集]

1960年代、ソビエト連邦(以下ソ連)がサジーを宇宙食として使い始めたという記録[15] が残っている。宇宙開発で優位に立ちたいソ連は、サジーを国家機密扱いにするほどだった。宇宙飛行士に対する様々な効果を期待したと考えられるが、実際の研究で、サジーがストレス軽減[16]放射線保護[17] の役割があることが判明している。

チェルノブイリ原発事故[編集]

1986年、世界最悪の原子力事故とも評されたチェルノブイリ原子力発電所事故が起こった。多数の被害者が出たが、サジーは治療の初期段階から医療現場で火傷[18] の治療薬として使用されていたことが記録[15] されている。

五輪の公式飲料[編集]

1988年のソウル五輪や2008年の北京五輪において、サジーは中国代表団の公式飲料として選手をサポートしていた。[19] サジーは自然由来であるため、ドーピング規定に影響されず、安心して栄養を補うことができるの貴重な果実である。

脚注・出典[編集]

  1. ^ 2020年上半期トレンド予測 スーパーフードランキング TOP10”. 日本スーパーフード協会 (2019年12月20日). 2020年7月3日閲覧。
  2. ^ Li TSC (2002). Product development of sea buckthorn. ASHS Press, Alexandria, VA. pp. 393–8. http://www.hort.purdue.edu/newcrop/ncnu02/pdf/li.pdf 2014年5月16日閲覧。 
  3. ^ Li TSC (2002). Product development of sea buckthorn. ASHS Press, Alexandria, VA. pp. 393–8. http://www.hort.purdue.edu/newcrop/ncnu02/pdf/li.pdf 2014年5月16日閲覧。 
  4. ^ Li TSC (2002). Product development of sea buckthorn. ASHS Press, Alexandria, VA. pp. 393–8. http://www.hort.purdue.edu/newcrop/ncnu02/pdf/li.pdf 2014年5月16日閲覧。 
  5. ^ Li TSC (2002). Product development of sea buckthorn. ASHS Press, Alexandria, VA. pp. 393–8. http://www.hort.purdue.edu/newcrop/ncnu02/pdf/li.pdf 2014年5月16日閲覧。 
  6. ^ Li TSC (2002). Product development of sea buckthorn. ASHS Press, Alexandria, VA. pp. 393–8. http://www.hort.purdue.edu/newcrop/ncnu02/pdf/li.pdf 2014年5月16日閲覧。 
  7. ^ a b Seabuckthorn: A multipurpose shrubs species in Ladakh cold desert”. JOURNAL OF ENTOMOLOGY AND ZOOLOGY STUDIES (2018年3月25日). 2020年7月3日閲覧。
  8. ^ Li TSC (2002). Product development of sea buckthorn. ASHS Press, Alexandria, VA. pp. 393–8. http://www.hort.purdue.edu/newcrop/ncnu02/pdf/li.pdf 2014年5月16日閲覧。 
  9. ^ Prairie Shelterbelt Program:Application for Trees”. Agriculture and Agri-Food Canada (2008年). 2013年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月16日閲覧。
  10. ^ a b Yang, B; Kalimo, KO; Mattila, LM; Kallio, SE; Katajisto, JK; Peltola, OJ; Kallio, HP (1999). Effects of dietary supplementation with sea buckthorn (Hippophaë rhamnoides) seed and pulp oils on atopic dermatitis.. J Nutr Biochem. pp. 622-630 
  11. ^ 王, ジュエ (2007). サジー種子抽出物  . 日本国特許庁 
  12. ^ a b 古典医学書の中のサジー  ”. 宇航人ジャパン株式会社. 2020年7月3日閲覧。
  13. ^ 中国四大美人「王昭君」が愛したサジー  ”. 日本サジー協会 (2020年2月28日). 2020年7月3日閲覧。
  14. ^ 成吉思汗和沙棘果的传说  ”. 捜狐 (2017年6月26日). 2020年7月3日閲覧。
  15. ^ a b 依, 柏州; 秋山, 邦裕 (2015). 中国東北地区におけるサジーの流通実態分析 : 遼寧省を事例として. 鹿兒島大學農學部學術報告. pp. 7-12 
  16. ^ Hou, Diandong; Gu, Feng; Liang, Zaifu; Timothy, Helland; Fu, Weixin; Cai, Liping (2015). Sea buckthorn (Hippophae rhamnoides L.) oil protects against chronic stress-induced inhibitory function of natural killer cells in rats. Int J Immunopathol Pharmacol. pp. 76-83 
  17. ^ Angara V.S., Sureshbabu; Tapan, Kumar Barik; I, Namita; I, Prem Kumar (2008). Radioprotective properties of Hippophae rhamnoides (sea buckthorn) extract in vitro. Int J Health Sci. pp. 45-62 
  18. ^ Upadhyay, NK; Kumar, R ; Mandotra, SK; Meena, RN; Siddiqui, MS; Sawhney, RC; Gupta, A (2009). Safety and healing efficacy of Sea buckthorn (Hippophae rhamnoides L.) seed oil on burn wounds in rats.. Food Chem Toxicol. pp. 1146-1153 
  19. ^ 1988年からサジーが五輪代表選手団の公式飲料に  ”. 日本サジー協会 (2020年2月7日). 2020年7月3日閲覧。

外部リンク[編集]