サクラ (おとり)

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サクラとは、公演主催者や販売店に雇われて客の中に紛れ込み、特定の場面や公演全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を作り出したりする者を指す隠語当て字偽客とも書く。

語義の由来[編集]

本来は、江戸時代芝居小屋歌舞伎を無料で見させてもらうかわりに、芝居の見せ場で役者掛声を掛けたりしてその場を盛り上げること、またはそれを行う者のことを『サクラ』といった。花見はそもそもタダ見であること、そしてその場限りの盛り上がりを『桜がパッと咲いてサッと散ること』にかけたものだという。

これが明治時代に入ると、露天商的屋などの売り子とつるんで客の中に入り込み、冷やかしたり、率先して商品を買ったり、わざと高値で買ったりするような仕込み客のことも隠語でサクラと呼ぶようになった。サクラを「偽客」と書くようになったのはこの露天商などが用いた当て字が一般に広まったものである。

今日では、マーケットリサーチ世論調査などにおいても、良好な調査結果をもたらすために主催者側によって動員されたりあらかじめモニターや調査対象者の中に送り込まれた回し者のことを、サクラと呼ぶこともある。

具体例[編集]

行列商法において、「客の行列を恣意的に生成する手段」として、サクラが動員されたり、消費者生成メディアにおけるステルスマーケティングの一例として、ウェブサイトへのサクラを用いた書き込みが行われたりしている[1]

新発売キャンペーンの一環としてのサクラ
クォーターパウンダー販売開始時に日本マクドナルド大阪市心斎橋にある店舗に3000人近くの行列ができたが、その殆どが「短期アルバイトによる水増しだった」という疑いがある(「日本におけるクォーターパウンダー」を参照)。
出会い系サイトの女性利用客を装ったサクラ
男性ユーザーに、期待できる女性利用客が多数いるよう勘違いをさせるため、出会い系サイト提供者側にサクラが雇われる。その殆どが、女性ではなく女性に成りすました男性ユーザーといわれる。写真はキャバ嬢を撮ったものや、他のウェブサイトからの流用など様々だが、いずれも無断流用である。
タウンミーティングにおけるサクラ[2]
小泉内閣が行ったタウンミーティングで、一部の市民活動家や市民団体など都合の悪い人物を抽選で落とし、県・市職員を大量動員したり、謝礼を払って賛成派を参加させたりしていた疑いがある(「タウンミーティング 小泉内閣の国民対話」を参照)。
プロレスリング興行におけるサクラ
2006年、当時(後に「暗黒時代」「暗黒期」と呼ばれる)人気が低迷していた新日本プロレスは、客席を盛り上がっているように見せるために、他スポーツ(野球サッカー)の応援経験者を複数会場内に配置し、応援リーダーとして会場の雰囲気を作り出そうとした(読売ジャイアンツの応援団#G-FREAKSを参照)[3]。親会社が変更された2016年4月現在でも、これらの応援リーダーが会場に配置されている。
パチンコにおけるサクラ
パチンコ店(ホール)に雇われて、店が繁盛していることや店の出玉が良いことを錯覚させたり、高設定台を一般客に打たせないことを任務として、パチンコパチスロの台を打つ人を指す。そのため店の関係者がやることが多い。台を打つための費用は雇い主の負担だが、利益の大半も雇い主のものとなるのが一般的である。インターネットスパム雑誌などで、この種のサクラを募集していることも多いが、これはカモ(募集に応じた者)に登録料を数十万円払わせるなど、すべて詐欺と考えてよい。

法的評価[編集]

サクラを使い、顧客に価値判断を誤らせて商品を販売すると、詐欺罪が成立するというのが確立した判例である[4]

出典[編集]

  1. ^ 「虚の時代[2] ― サクラ操り やらせ広告」『朝日新聞』2009年5月1日付朝刊、第13版、第34面。
  2. ^ 2006年11月18日、読売新聞
  3. ^ 日刊スポーツ2006年4月15日(archive)
  4. ^ 大判昭和6年11月26日・刑集10巻627頁。前田雅英『刑法各論講義』278頁。

関連項目[編集]