サイクルトレイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
車内に持ち込みされた自転車(一畑電車)

サイクルトレインとは自転車鉄道車両内に、輪行状態ではなく解体せずに持ち込むことができるサービスである。なお路線バスにおける同様のサービスを、サイクルバスという。

概説[編集]

自転車を解体することなく列車内に持ち込むことができるという点で、解体して専用の袋に詰めて持ち込む輪行とは異なる。解体が不可能なシティサイクルなどでも持ち込むことが可能で、出発地から近くの駅まで自転車で移動し、その自転車を持ち込んで列車に乗車し、目的地の近くの駅で下車してすぐに自転車に乗り移動することができる。

日本では近年、地方の中小私鉄が利用促進のために実施している例が増えているが、大手私鉄でも、近畿日本鉄道(当時)の伊賀線養老線(それぞれ伊賀鉄道養老鉄道として分離後も継続)や、名古屋鉄道蒲郡線西尾線の一部で期間を定めて行っていた。

実施日・実施時間が概ね平日の昼間や土日祝日などの利用の少ない日・時間帯に限定されている場合が多い。また実施している路線であっても一部の駅では利用できない場合もある。運賃とは別に持ち込み料を収受する事業者と、持ち込み料を収受しない事業者がある。事前申し込みが必要な場合もある。これらの取扱いは鉄道事業者や路線によってそれぞれ異なっている。

欧州諸国(特にドイツ)では自転車を車内に持ち込むことができる事例が広範にあり、坂道を走るケーブルカーにそのような事例が多い。

以下に挙げている路線・事業者の一覧では、日本国内の事例のみについて記している。

実施している鉄道会社(2014年9月現在)[編集]

常時実施されている路線[編集]

  • 伊予鉄道
    郊外線のみ。土・日・祝日に終日実施。持ち込み料は100円。予約はできず、1列車につき先着10台までとなっている。
  • 伊賀鉄道 伊賀線
    新居駅 - 比土駅間。平日の9時ごろから16時ごろと土・休日の終日で実施。持ち込み料は無料。4人以上のグループで利用する際には事前申し込みが必要。
  • 一畑電車
    終日、全区間にて実施。持ち込み料300円(5枚綴りの回数券あり)。
  • 近江鉄道 本線彦根駅水口石橋駅を除く)、多賀線
    平日の9時から16時と土・休日の終日(年末年始は除く)で実施。持ち込み料は無料。
  • 関東鉄道
    持ち込み料無料。
  • 熊本電気鉄道
    全線。平日・土曜日は9時から15時30分まで、日曜・祝日は終日。ただし、列車に多人数の団体が乗車している場合や悪天候時は利用を断られることもある。持ち込み料は無料。
  • 小湊鉄道
    2010年4月3日より開始。土・休日の対象列車(上下2本ずつ)のみで実施。事前申し込みが必要。持ち込み料は無料。
  • いすみ鉄道
    終日、全区間にて実施。持ち込み料210円。
  • 三岐鉄道 三岐線
    大矢知駅 - 三里駅間では土・休日の終日と春・夏・冬休みの9時から16時、三里駅 - 西藤原駅では終日で実施。持ち込み料は無料。
  • 上信電鉄 上信線
    高崎駅吉井駅上州福島駅上州富岡駅下仁田駅で、指定列車でのみ実施。利用駅への事前連絡が必要。持ち込み料は無料。
  • 上毛電鉄 上毛線
    2004年4月1日より開始。平日の上りが中央前橋駅 8時17分発から終電まで、下りは西桐生駅 8時19分発から終電までで実施。土・休日、春・夏・冬休みは終日全列車で実施。持ち込み料は無料。
  • 秩父鉄道 秩父本線
    2010年、1月から3月の試行期間を経て12月31日まで実施されたのち、2011年1月1日からは通年実施としている。実施区間は平日が波久礼駅 - 三峰口駅間、土・休日は御花畑駅 - 三峰口駅間。ただし多客時期など一部除外日がある。利用できる時間、駅は限られている。利用時間内でも、一部の普通列車、急行列車SL列車西武鉄道との直通列車などは対象外となる。持ち込み料は無料。
  • 豊橋鉄道 渥美線
    2011年9月17日より実施。通年で土・休日のみ終日全線にて利用可。ただし、イベント時など混雑時は除く。持込料は100円[1]
  • 北陸鉄道
    • 石川線 2000年7月25日より開始[2]。全駅で利用可能で実施期間は3月20日から11月30日12月1日から3月19日は除く)。雨天中止。平日は下りが野町駅 9時15分 - 15時32分発、上りは鶴来駅 9時11分 - 15時30分発の列車、土・休日は終日すべての電車で実施・持ち込み料は無料。ただし、自転車の持ち込みは列車の進行方向の2両目となる。
    • 浅野川線 北鉄金沢駅と内灘駅のみ利用可能でこれ以外の駅では乗降できない。3月16日から11月30日(12月1日から3月15日は除く)。雨天中止。平日は下りが北鉄金沢駅 9時01分 - 15時24分発、上りは内灘駅 9時01分 - 15時24分発の列車、土・休日は終日すべての電車で実施・持ち込み料は無料。ただし、自転車の持ち込みは列車の進行方向の2両目となる。
  • 松浦鉄道 西九州線
    伊万里駅 - 佐世保駅間。 土・休日と春・夏・冬休み、ゴールデンウィーク期間の指定列車で実施。フリー切符または往復乗車券を所持している旅客のみ利用可能。
  • 養老鉄道 養老線
    播磨駅 - 揖斐駅間(桑名駅は除く)。平日の9時ごろから15時ごろ、土・休日の終日、春・夏・冬休み期間中の9時ごろから17時ごろで実施。持ち込み料は無料。
  • 水間鉄道 水間線
    貝塚駅 - 水間観音駅間。日曜日の10時から16時の間の列車。ただし、1列車4台まで。予約が必要。持ち込み料は無料。

廃止路線での過去の実施例[編集]

以下の会社では自社線での自転車の持ち込みが可能であった。

  • 西大寺鉄道
    戦前から自転車の持ち込み(客車のデッキや気動車の荷台等に積載)が有料で認められており、自転車用の定期券も存在した。
  • 鹿島鉄道
    平日の9時30分から15時まで、土・休日の終日で実施。列車内に自転車を1台まで無料で持ち込むことができた。

期間を設けての実施[編集]

試験的に実施[編集]

イベントに合わせた実施[編集]

沿線で行われるイベントに合わせて列車が設定されるケース。イベントの参加・不参加と列車の利用申し込みは別々。

イベントと一体で実施[編集]

列車の運行がサイクリングイベントと一体となっているケース。イベントの参加と共に利用可能で、サイクルトレインのみの利用はできない。

  • 「秩父サイクルトレイン」においての実施
    埼玉県秩父市で行われるサイクリングイベント。これまで2007年11月18日、2008年5月18日11月16日、2009年11月15日、2010年11月14日、2011年10月22日、2012年10月21日の計7回開催されている。西武鉄道は毎回、秩父鉄道は第5回から臨時列車を運転。両社、各回とも事前申込・定員制で応募が多い場合は抽選[6][7]
    • 西武鉄道
      池袋駅 - 西武秩父駅間で臨時列車を1往復運転。池袋駅からのほか、秋津駅からも乗車可能。以前は練馬高野台駅からの乗車も可能だった。
    • 秩父鉄道
      熊谷駅 - 御花畑駅間で臨時列車を1往復運転。熊谷駅からのみ乗車可能。第6回から羽生駅からの参加が可能となった。第6回は熊谷駅までは定期列車の先頭車両に乗せ熊谷駅到着後係員の誘導で臨時列車に乗り換えた、復路は羽生駅まで運転。第7回は羽生駅から往復運転された(往路の羽生→熊谷間は定期列車として運転)
  • 「東京・南会津サイクルトレイン」においての実施
    2002年に始まり2010年6月までに計14回開催されているイベント。日本で初めて「首都圏からサイクリングフィールドまでサイクルトレインを運転する」というコンセプトで企画された。

実施を予定している鉄道会社[編集]

  • JR東日本 房総地区千葉支社管内)
    2017年冬季より「自転車の旅」をコンセプトにした6両編成の特別な専用列車を、既存車両の改造により導入予定(改造対象形式は南武線209系ナハ53編成より、幕張車両センターに転属したマリJ1編成が使用される予定)

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 豊橋鉄道 渥美線「サイクルトレイン」を通年実施 - 鉄道ホビダス 最新鉄道情報、2011年9月14日
  2. ^ 石川線100周年・浅野川線90周年記念ページ - 北陸鉄道、2017年3月27日閲覧
  3. ^ 鉄道車両内への自転車持ち込みに関するモデル事業調査報告書 - 交通エコロジー・モビリティ財団作成、日本財団図書館収載。
  4. ^ 【アルピコ交通】上高地線電車 平成26年3月15日(土)ダイヤ改正のお知らせ アルピコ交通公式ホームページ
  5. ^ サイクルトレイン運行のお知らせ 高松琴平電気鉄道公式ホームページ
  6. ^ 駿河台大学天野宏司研究室編 (2008年4月1日). “「秩父サイクルトレイン」アンケート結果報告書 (PDF)”. 秩父サイクルトレイン実行委員会. 2016年11月8日閲覧。
  7. ^ 天野宏司サイクルトレインの成立と展開 : 秩父サイクルトレインの分析を通じて」、『駿河台大学論叢』第39号、2009年、 161-182頁。

外部リンク[編集]