サイクリング

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サイクリング(英:cycling)は自転車に乗ること、自転車の利用全般をいう言葉である。英語のCyclingや諸言語でこれに相当する単語の多くは自転車競技をも意味する。日本語では特にレクリエーションスポーツとして自転車に乗り陸上を移動することを指し、本項ではこれについて詳述する。

サイクリングの形態[編集]

サイクリングには次のような形態がある[1]

身近な場所までピクニック程度に自転車の走行を楽しむ形態[1]。街中での食べ歩きや名所・旧跡巡りを楽しむ「散歩」的なサイクリングを特に散走やポタリングと呼ぶことがある。
  • ファストラン(快速走行)
サイクリングコースやサイクリングロードなど整備された道を自転車に乗って軽快に走行する形態[1]
ユースホステルや国民宿舎等の宿泊施設を利用しながら数日から十数日の日程で自転車旅行を楽しむ形態[1]
  • アドベンチャーサイクリング
自転車を利用して山への登頂や砂漠の走破、世界一周などにチャレンジする形態[1]

また、サイクリングは様々な野外活動やスポーツとも結びつき、キャンプと結びついたサイクルキャンピングや、オリエンテーリングと結びついたサイクルオリエンテーリングもある[1]

サイクリングの形態によりさまざまなタイプの自転車が考案されており、道具を選び、道具を楽しむという側面もある。

歴史[編集]

1878年にはイギリスで世界最初のサイクリング同好者によるサイクリングクラブが誕生[1]1898年にはヨーロッパの17か国が参加する国際組織が設立された[1]

日本でも1886年に結成された帝国大学の教員による「自転車会」を嚆矢として自転車クラブが設立されるようになるなど、世界的にサイクリングが普及していった。

日本では、自転車が当初富裕層の娯楽として受け入れられ、大正期に普及が本格化すると業務や家庭の実用に供された。1935年に本格的なスポーツ車が作られ始めるが、戦争によりこの流れはいったん途絶える。第二次世界大戦後、1950年代頃からサイクリングが野外での健康的なスポーツとして認識され始め、全国各地に同好クラブが設立されるようになった。特に1954年、荷物を載せるための運搬車ではなく人が乗るだけの軽快車ディレーラーを備えたスポーツ車が現れるようになり、サイクリングが流行した。これを受けて、ベテランサイクリストらにより、日本サイクリング協会が結成され、ボランティアの普及活動が始まった。サイクリング向きの自転車は生産量がまだ十分でなく高価であったため貸自転車の利用が中心であり、また指導者が不足したことなどから短期間のブームに終わった(「第1次サイクリングブーム」)。

1961年スポーツ振興法の制定により、自転車旅行・サイクリングは国民の健全なスポーツとして国が奨励するものとなった。1964年東京オリンピック開催に向けスポーツ自転車の研究が進み、第2次サイクリングブームが起こった。また1964年には財団法人日本サイクリング協会(Japan Cycling Association, JCA)が発足した。1966年にはスポーツ車の需要急増に伴い、生産が大幅に増加した。第1回の体育の日となったこの年の10月10日、国鉄大阪鉄道局が大阪駅相生駅間で初のサイクリング専用電車(サイクルトレイン)を運行した。その後東京でも同様の列車が運行された。翌1967年10月10日には、日本で初めてのサイクリング用道路、神奈川県青少年サイクリングコース(金目川サイクリングコース)が開通した。

1970年自転車道の整備等に関する法律が成立し、自治体と河川管理者などの協力によってサイクリングロードが建設されるようになり、太平洋岸自転車道のような長大な自転車道も構想された。この頃日本の自転車産業ではランドナースポルティーフキャンピング車といった自転車旅行(ツーリング)向きの自転車の生産が盛んで、またブリヂストン・ロードマンに代表される「サイクリング車」が好評を博した。また1974年から1982年まで、自転車で日本一周に挑戦する少年を主人公とする漫画『サイクル野郎』が連載された。

イベント[編集]

サイクリングイベントでの応援
サイクリングイベントのスタート地点

日本で「サイクリング」の名を冠して行われるイベントは、一般には初心者からベテランの愛好家まで多様な参加者が集まるために、ほとんどが総走行距離50キロメートルを下回る。例えば首都圏最大の大会である「東京シティサイクリング」はエクステンションを含めて35キロメートルである。

主に長距離の公道を時間を競わず制限時間内に完走することを目指すイベントでは、最高100マイルを走るホノルル・センチュリーライドをはじめとしたセンチュリーライド(センチュリーラン)が知られる。さらには最低200キロメートルから始まりパリブレスト往復の1200キロメートルを走破するパリ・ブレスト・パリを頂点とするブルベのようなラリー風のものも行われている。

サイクリングと観光[編集]

サイクリングロードとの連携を企業活動や観光に利用する場合がある。岐阜県養老鉄道では沿線にサイクリングロードが多数存在することもあり、サイクルトレインを実施し、サイクリングコースについての情報提供も行っている。

自転車通勤[編集]

自転車による通勤は、自動車による通勤と比較して仕事中のストレスを軽減し、作業効率を改善していることが報告されている[2]

出典[編集]

  • 佐野裕二 『自転車の文化史 : 市民権のない5,500万台』 文一総合出版、1985年ISBN 4829911077
  • 『自転車実用便覧』 自転車産業振興協会編集、自転車産業振興協会、1993年、第5版[改訂版]。NCID BN10009754
  • 『自振協の30年』 自転車産業振興協会、自転車産業振興協会、1994年NCID BA87061857
  • 『自転車』 日本自転車普及協会企画製作、東京ジャーナルセンター編集、科学技術教育協会〈身近な科学 ; 1〉、1995年

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h 江橋慎四郎、池田勝 『レクリエーションハンドブック』、1990年、115頁。
  2. ^ 『NEW RESEARCH: Feeling stressed? 』Bike to work - A Concordia study shows how a pedal-powered commute can set you up for the whole day 2017年6月24日閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]