ゴーゼ

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ゴーゼドイツ語: Gose)は、ビールスタイルゴーゼビールと記述することもある。

ドイツハルツ地方クラフトビールであり、ゴスラーが発祥とされる[1]。大量のコリアンダーでフレーバーをつけるのが最大の特徴[1]

概要[編集]

ゴーゼは、大麦麦芽ホップの他に小麦麦芽も用いて、コリアンダーなどの薬草や大量の塩が加えられる[2]。伝統的なゴーゼにはオート麦が使われることもある[3]上面発酵であるが、乳酸菌による発酵も行われる[2]

乳酸菌を含むため、容器の中でも発酵が持続しており、泡立ちが豊か[3]。また、浮遊する酵母のために著しく濁っている[3]

『ビアスタイル・ガイドライン1208』ではライプツィヒスタイル・ゴーゼとして以下のように定義している[3]

歴史[編集]

ゴーゼの発祥は、10世紀頃のゴスラーだと言われている。ゴスラーの近郊にはランメルスベルク鉱山があり、ローマ時代から採掘が行われていた。多量に汗をかく鉱山労働者にとって必要な、塩分ミネラル分水分を補うためにゴーゼが開発されたのではないかと言われている[2]

ゴーゼは乳酸菌を含むため、飲みなれていない者には下痢を引き起こしていたようで、18世紀に刊行されたドイツビールの博物誌にはその旨の注意書きがある[2]

上記のようにゴーゼは副原料を使用しているためビール純粋令に反する[1]。このためゴーゼはゴスラーにおいて公には醸造することができなかったが、東西ドイツ分割時代には、東ドイツ領だったライプツィヒがビール純粋令適用外の地域だったので醸造技術を受け継ぐことができた[1][2]

東西ドイツ統一後は旧東ドイツ領にもビール純粋令が適用されるようになり、表立ってゴーゼの販売できなくなったが、1993年欧州共同体(EC)発足に際して、ビール純粋令が非関税障壁と判断され効力を失ったため、ライプツィヒを中心に、いくつかの醸造所でゴーゼは醸造、販売されるようになった[2]

関連[編集]

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b c d 江藤詩文 (2014年12月1日). “魔女たちが集まる!? 伝説の山岳リゾート ドイツ(3)”. 世界美食紀行. 朝日新聞. 2017年2月21日閲覧。
  2. ^ a b c d e f コウゴ アヤコ (2014年10月17日). “旧東ドイツの塩ビール”. ドイツニュースダイジェスト. 2017年2月21日閲覧。
  3. ^ a b c d ビアスタイル・ガイドライン 1208” (PDF). 日本地ビール協会. 2017年2月16日閲覧。