ゴンドール
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Gondor ゴンドール | |
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首都 |
ミナス・ティリス オスギリアス |
公用語 | 西方語 |
民族 | ドゥネダイン・人間 |
王政 | |
• 建国 | 第二紀3320年 |
• 北方王国と合同 | 第三紀3019年 |
ゴンドール(英: Gondor)は、J・R・R・トールキンの『指輪物語』および『シルマリルの物語』の中つ国に存在する架空の国の一つ。都を城塞都市ミナス・ティリスに置く人間の国であり、北方のアルノールに対して南の王国、南方王国などとも呼ばれる。
概要[編集]
ヌーメノールの沈没をのがれたイシルドゥア、アナーリオンが中つ国に建国した南方王国。gondは「石」dorは「国」を意味し、「石の国」を意味する。アナーリオンが戦死し、イシルドゥアがアルノールの王位を継ぐため北に旅立った後、アナーリオンの息子メネルディルが王位につき、以後、彼の子孫が代々王位についた。白の木を紋章とし、黒地に白の木を旗とするが、王統が途絶えてからは執政家の白旗のみを使用した。
北方王国アルノールが衰える中、非常に繁栄したが、疫病や王位をめぐる争い、東からの攻撃などによりやがて衰える。本来首都はオスギリアスであったが、徐々に人口が減り荒廃し、タロンドール王は首都をミナス・アノール(後のミナス・ティリス)へ移した。エアルニル王の時にやや持ち直したが、その子エアルヌア王には子がなく、エアルヌアがミナス・モルグルから帰って来なかったことで王の血統は失われ、以後フーリン家世襲の執政により「王帰りまします時まで」国が治められるようになる。
『指輪物語』の時代には、冥王サウロンの支配するモルドールの脅威に、もはや風前の灯火のごとき危機にあった。冥王が滅びた後にイシルドゥアの子孫アラゴルンがアルノールとゴンドールの統一王国の王、エレスサール・テルコンタールとして首都ミナス・ティリスにて王座に着いた。
外交関係[編集]
北方王国[編集]
創設者を同じくする「エレンディルの王国[1]」として、北方王国とは建国以来の連携関係があった。時代が下った後も両国王家の間に一定の精神的連帯感が受け継がれていたであろうことは、アルセダイン王アルヴェドゥイの言葉やゴンドール王エアルニルの行動などから伺うことができる[2]。アルノール王国はやがて小国に分裂するものの、第三紀1940年にゴンドールとアルセダイン(アルノールの実質的な継承国)は同盟関係を再確認している。この連携関係はアルセダイン王国が滅亡するにあたって自然消滅し、以後3019年に両国領域が再統一されるまで回復しなかった。
ローハン[編集]
エオセオド国の青年王エオルがケレブランドの野で窮地に立たされていたゴンドール軍を救援し、返礼に緑豊かなカレナルゾンの地がエオセオドの民に与えられて以降、当地に彼らが建てたローハンとは友好・同盟関係にある。この際、エオルは執政キリオンに対しいわゆるエオルの誓い[3]を立てたが、これが両国の連携の根底を形成している。実際にローハンはこの誓いに基づきたびたびゴンドールに援軍を送っており(指輪戦争時を含む)、南方・東方からの脅威に対しゴンドールが対抗するにあたって多大なる貢献を行っている。またゴンドールもローハンの危急に際し援軍を差し向けており、ローハンが長い冬(2758年)を乗り越えるのを大いに助けた。指輪戦争後も引き続きローハンは独立を維持しつつゴンドールとの連携を国策としており、両国の連合軍は中つ国各所に遠征を行った[4]。
谷間の国、山の下など[編集]
指輪戦争終結後、国が存続する限りゴンドールと友好関係を維持し、ゴンドールの保護のもとにあった。
モルドール[編集]
ドゥネダイン(ヌーメノール人)と冥王サウロンはゴンドールの建国以前から敵対関係にあり、ゴンドール建国後もその関係は引き継がれている。指輪戦争にともなうモルドールの崩壊まで、同国はゴンドールの主敵であり、国境をめぐり常に緊張関係にあった。
ハラド[編集]
ハラドはゴンドールの南方に位置する人間の国であるが、モルドールと連携する国であり基本的にはゴンドールと敵対関係にあった。国境を巡って係争関係にあり、指輪戦争時には南ゴンドールの領有を競っていた。 しかしながら、ゴンドールの盛時には王子をゴンドール王のもとに人質として送るなど、両国関係は状況に応じて変化をみせることもあった。
ウンバール[編集]
はるか南方に位置する港湾都市ウンバールは、ヌメノール王アル=ファラゾンが中つ国に上陸した地でもあり、かつてゴンドール領であった時代もあったものの、反乱分子によって奪取されて以降はほぼ継続してゴンドールと敵対関係にあった。海賊の拠点であり、当地より出帆する海賊艦隊はゴンドールの湾岸諸地域にとって非常に大きな脅威であった。
歴史[5][編集]
第二紀[編集]
- 3320年:エレンディルとその息子のイシルドゥア・アナーリオンによって建国される。
- 3429年:モルドール軍による攻撃でミナス・イシルが陥落する。
- 3434年:ダゴルラドの戦いに勝利し、サウロンの本拠地バラド=ドゥアを包囲する。
- 3441年:サウロンを打ち倒す。
第三紀[編集]
- 933年:エアルニル一世、南方の良港ウンバールを攻略しゴンドール領とする。
- 1050年:ヒャルメンダキル王のもとで最盛期を迎える。
- 1432年:王位をめぐって内乱が起こる(1447年まで)。
- 1448年:逃れた叛徒によりウンバールが陥落する。
- 1636年:疫病により王と王子が全員死亡する。
- 1640年:王宮がオスギリアスからミナス・アノールに遷される。
- 1856年:東夷の馬車族の侵攻により、東側領土を喪失する。
- 1900年:ミナス・アノールに白の塔が築かれる。
- 1940年:アルノール(アルセダイン)との間で連携が再確認される。
- 1944年:アルセダイン王アルヴェドゥイによるゴンドール王位請求が無視される。
- 2002年:モルドール軍の攻撃でミナス・イシルがふたたび陥落する。
- 2050年:エアルヌア王が行方不明となり、以降執政による統治が行われる。
- 2475年:はじめてモルドール軍にウルク(大型オーク)族が出現。オスギリアスが戦禍の末に廃墟となる。
- 2510年:エオセオド国の援軍によってケレブランドの戦いに勝利する。カレナルゾンの地がロヒアリム(エオセオド国人)に与えられ、ローハンが建国される。
- 2758年:海賊船団による大襲撃。
- 2852年:白の木が枯れる。
- 2954年:滅びの山が噴火し、イシリエンから全住民が脱出する。
- 3018年:指輪戦争。オスギリアスが攻撃を受ける。
- 3019年:指輪戦争に勝利する。エレスサール・テルコンタール、ゴンドール王となり、北方王国と合同する。
地理[編集]
都市[編集]
- ミナス・ティリス:白い城壁に囲まれた城塞都市で、「守りの塔」の意。ゴンドールの首都。もとはミナス・アノール(日の没りの塔)と呼ばれていた。
- ドル・アムロス:ドル・アムロス大公の居城がある街。ベルファラス湾に面している。
- ペラルギア:第二紀の2350年に建設された、アンドゥインに注ぐシリス川畔の歴史ある港湾都市。「王の船のための中庭」の意。指輪戦争ではウンバールの海賊に襲撃された。
- ハルロンド:南イシリエンに位置する港湾都市。
- カレンベル:キリル川沿いの町。
- リンヒア:ギルライン川やや上流に位置する港町。
- オスギリアス:アンドゥインに跨って建設された、かつて首都であった街。廃墟となっている。
- ミナス・イシル:モルドールを監視する要塞であったが、のちにモルドールに奪われミナス・モルグルとなる。
- ウンバール:南方に位置する港湾都市で、海軍の一大拠点であった。のちに反乱軍およびハラドリムに奪われる。
地名[編集]
- アノリアン:アンドゥイン川と白の山脈に挟まれた地域。ミナス・ティリスが位置する。
- アンファラス:ベルファラス湾に面した沿岸地域。
- イシリエン:アンドゥイン川とモルドールの影の山脈(エフェル・ドゥアス)の間の土地。自然が豊かな風光明媚な場所であり、「ゴンドールの庭」と呼ばれる。
- ベルファラス:南方のベルファラス湾に面した地域。ドル・アムロスがある。
- ラメドン:白の山脈の南山麓にある高地。
- レベンニン:アンドゥインの河口と白の山脈の間の緑なす地。
- ロスサールナッハ:白の山脈南麓にある谷間の地方。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ^ J・R・R・トールキン『指輪物語』追補編(評論社)、2003年版、p.53
- ^ J・R・R・トールキン『指輪物語』追補編(評論社)、2003年版、p.51-53
- ^ 「ゴンドールの大侯の危急に際し、あるいはその呼び出しにすぐ応じる」もの。J・R・R・トールキン『指輪物語』追補編(評論社)、2003年版、p.62 より抜粋
- ^ J・R・R・トールキン『指輪物語』追補編(評論社)、2003年版、p.104
- ^ J・R・R・トールキン『指輪物語』追補編(評論社)、2003年版、p.134-161