ゴンゴラ属

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ゴンゴラ属
Gongora arcuata
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
亜科 : セッコク亜科 Epidendroideae
: マキシラリア連 Maxillarieae
亜連 : スタンホペア亜連 Stanhopeinae
: ゴンゴラ属 Gongora
学名
Gongora Ruiz. et Pav.

本文参照

図版(G. atropurpurea)

ゴンゴラ属 Gongora Ruiz. et Pav. は、ラン科植物の1群。長い花茎を下垂し、多数の花をつける。

特徴[編集]

花の構造(G. aromatica)

常緑性の着生植物で、偽鱗茎は長卵形から長円錐形[1]。偽鱗茎の表面には縦に数本の稜があり、先端には葉が2枚付く。葉は大きくて革質でひだが多い。

花茎は偽鱗茎の基部から出る。花穂は長くなって下向きに垂れ、多数の花を付ける。 花は側萼片が外側に巻き、蕊柱が倒立しており、細くて長い蕊柱の先端近くに小型の背萼片と側花弁が着いている[2]。上側にある唇弁は多肉質で細長い袋状をしている。花色は赤褐色、黄褐色から黄白色で紫褐色の斑紋がある。なお花は短命である。

学名はニュー・グラナダのスペイン総督であったゴンゴラ (Cabalero y Gongora, 1740-1818) にちなむ。花が操り人形のように見えることから、イギリスの代表的な大衆人形劇『パンチとジュディ』にちなんで、パンチ・アンド・ジュディ・オーキッドという英名がつけられている[2]

分布と生育環境[編集]

メキシコからボリビアにかけて分布する。低地の樹上に着生する[3]

往々に株元にアリが巣を作り、共生しているとされる[4]

分類[編集]

スタンホペア属 Stanhopea やコリアンテス属 Coryanthes と近縁とされる。

約25種が知られる。代表的なものを以下にあげる。

  • Gongora
    • G. armeniaca
    • G. bufonia
    • G. galeata
    • G. quinquenervis
    • G. truncata

利用[編集]

洋ランとして栽培される。略号は Gga. である。ただし普及はしていない。人工交配も行われていない。栽培そのものは容易で、花茎が長く垂れ下がるので吊り鉢で栽培する[5]

出典[編集]

  1. ^ 以下、主として園芸植物大事典(1994)p.2791
  2. ^ a b 前川(1978),p.2037
  3. ^ 斎藤・唐澤(1997),p.166
  4. ^ 唐澤監修(1996),p.286
  5. ^ 園芸植物大事典(1994)p.2791

参考文献[編集]

  • 前川文夫、「ゴンゴラ」:『朝日百科 植物の世界』、(1978)、朝日新聞社:p.2037-2038
  • 斎藤亀三、唐沢耕司、「スタンホペア」:『朝日百科 植物の世界 9』、(1997)、朝日新聞社:p.165-166
  • 唐澤耕司監修、『蘭 山渓カラー図鑑』(1996)、山と渓谷社
  • 『園芸植物大事典 2』、(1994)、小学館