ゴマダラカミキリ
| ゴマダラカミキリ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| NOT EVALUATED (IUCN Red List) | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Anoplophora malasiaca (Thomson, 1865) |
ゴマダラカミキリ(胡麻斑髪切 Anoplophora malasiaca)は、コウチュウ目(鞘翅目)、カミキリムシ科に分類される甲虫の一種である。
形態
[編集]成虫の体長は2.5 - 3.5センチメートルほどで、全身が黒い。特に前翅は光沢のある黒色に白い斑点が並目立ち、和名もこれに由来する。前翅以外の部分はあまり光沢がなく、腹側や脚は青白い細かい毛で覆われる。触角は体長の1.5倍ほどで、触角を形作る各節の根もとにも青白い毛があるため、黒と青のしま模様に見える。
- 斑点が良く目立つ
- 触角は長い。前胸部の紋は青い
- 頭部
類似種
[編集]日本で見られる類似種にはオオシマゴマダラカミキリ、オガサワラゴマダラカミキリ、ヨナグニゴマダラカミキリ、ツヤハダゴマダラカミキリなどがいる。ヨナグニとオガサワラは上翅の紋を見ることで区別することができ、ヨナグニは本種に比べて紋が大きく、またオガサワラは微細な紋が混じる。オオシマは紋の大きさは本種とほぼ一緒だが、色が異なり前胸部の紋を含め全体的に黄色っぽい。また、中胸腹板の形状と小たて板の毛の並びも異なる[1]。
ツヤハダは本種に比べて全体に艶のある見た目である。
生態
[編集]食樹は各種広葉樹で幅広いのが特徴で『日本産カミキリムシ食樹総覧』(1960)では著者観察の食樹として、ヤナギ類、センダン、スズカケノキ、オリーブを挙げており、文献調査ではヤナギ科、バラ科、クワ科、ミカン科、ウルシ科など多数を確認できたとしている[2]。なお、本種は生木を食べるタイプのカミキリムシである。成虫も枝を餌としやがて性成熟する。成虫に対し、食樹ではないマツ類の枝を与えると食べるものの性成熟せず、生存率も低い[3]。
成虫は夏に出現する[4]。平地から山地(ブナ帯などの高標高地にも見られる)にかけて幅広く生息する。昼夜の区別なく活動し、食樹の葉や若枝のみずみずしい樹皮を後食する。食樹の樹幹、梢を歩行したり、その周囲を飛翔する姿がみられる。夜間は灯火等の光源に飛来する。
雄は雌から発せられるフェロモンを頼りに、雌を探し当て交尾に至ることが知られている。本種は多くの果樹に対する被害などからこの分野のモデルのカミキリムシとして研究されており、総説論文に辻井(2023)などがある[5]。
交尾を終えたメスは生木の樹皮を大顎で傷つけ、その箇所に産卵する。主に根元付近の樹皮に産卵することが多いと書籍などでは記述されることもあるが、実際には同じ生木を食害するシロスジカミキリなどと同様に根元から1 - 2メートルの高さの幹に産卵することも多い。幼虫(テッポウムシ)は生木の材部を食害し成長する。幼虫は成長すると幹内部を降下し、主として根株の内部を食い荒らす。孵化から羽化までには1年-2年を要する。幼虫が侵入した樹木は幼虫の活動によって坑道が樹皮に達し穿孔され、木屑や樹液が出るようになる。蛹を経て羽化した成虫は木の幹に円形の穴を穿孔し、野外に脱出する。時に産卵痕や脱出痕からは樹液が染み出すことがあり、カナブンやクワガタムシなどの昆虫が集まる様子も観察される。
- 交尾しようとする成虫
分布
[編集]北海道から琉球列島の日本全国に分布する[6]。
人間との関わり
[編集]昆虫採集
[編集]街路樹となるヤナギ類やスズカケノキで繁殖できることの他にも、比較的大型種で体色も目立つこと、成虫は夏に出現することもあって、都市部も含めてカミキリムシとしては最も身近な種類の一つである。子供の昆虫採集や昆虫標本作成の対象としてもよく親しまれている。
農林害虫
[編集]幼虫の食性が広いことから、果樹や緑化用樹木の害虫としてよく知られる。本種の食樹の中にはバラ科(リンゴ、ナシなど)、クワ科(クワ、イチジク)、ミカン科(各種柑橘類)など果樹として重要な樹木を多数含む。
幼虫が材部を掘り進むと直径1 - 2センチメートルほどの坑道ができ、木の強度が弱くなって折れやすくなる他、ダメージを負った樹木は成長不良に陥り、枯死することもある。
瀬戸内海の直島では砂防用に植えられたヤシャブシに枯損被害が出ていたが、殺虫剤の地上散布によって被害がだいぶ軽減した。なお、これは下草があまり生えておらず、カミキリは地上移動が主たる移動手段だと分析しての散布だったという[4]。香川県のみかん園における調査では慣行的な殺虫剤散布にもかかわらず最大9割の木で成虫の脱出口が確認され、その多くは地際20センチメートル以内に集中した[7]。
種の保全状況
[編集]国際自然保護連合(IUCN)が作成するレッドリストでは、本種の絶滅の可能性について2025年時点で未評価(Not Evaluated, NE)としている。日本の環境省が作成するレッドリスト、都道府県が作成するレッドリストでも本種を絶滅危惧種等に指定するところはない[10]。
名前
[編集]標準和名は「ゴマダラカミキリ」とされ、『日本産昆虫総目録Ⅰ』(1989)[12]にはこの名前で掲載されている。黒胡麻と白胡麻が混ざったような斑模様が由来である。
種小名はマレーのという意味で分布地に因む。属名 Anoplopharaは「武装しない者」という意味だという[4]。
脚注
[編集]- ↑ 大林延夫, 佐藤正孝, 小島圭三 編 (1993) 『日本産カミキリムシ検索図説』. 東海大学出版会, 神奈川. ISBN 4-486-01181-3 doi:10.11501/13638215(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 小島圭三, 岡部正明 (1960) 『日本産カミキリムシ食樹総覧』. 弘文堂書店, 高知. doi:10.11501/2492600(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 辻井(藤原)直, 安居拓恵, 安田哲也(2019)ゴマダラカミキリメス成虫のクロマツおよびゴヨウマツ枝を餌として与えた場合の造卵性および摂食嗜好性の調査. 樹木医学研究. 23(1), p.1-6. doi:10.18938/treeforesthealth.23.1_1
- 1 2 3 小島圭三, 林匡夫 (1969) 『原色日本昆虫生態図鑑 Ⅰ カミキリ編』. 保育社, 大阪. doi:10.11501/12602137(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 辻井(藤原)直 (2023) カミキリムシをめぐる最新の研究とその応用について. 蚕糸・昆虫バイオテック 92(2), p.55-60. doi:10.11416/konchubiotec.92.2_055
- ↑ “ゴマダラカミキリ”. 北海道立総合研究機構. 2025年8月10日閲覧。
- ↑ 三富誠, 黒田栄治, 岡本秀俊(1990)ゴマダラカミキリの生態に関する研究―I. 香川県下のカンキツ園におけるゴマダラカミキリ成虫の脱出孔の調査―. 日本応用動物昆虫学会誌 34(1), p.7-13. doi:10.1303/jjaez.34.7
- ↑ 柏尾具俊, 氏家武 (1988) キボシカミキリ由来の天敵糸状菌Beauveria tenella のゴマダラカミキリに対する病原性と殺虫効果. 九州病害虫研究会報 34巻 p.190-193. doi:10.4241/kyubyochu.34.190
- ↑ 橋元祥一, 坂口徳光, 柏尾具俊, 行徳裕, 甲斐一平, 楢原稔 (1991) 昆虫病原系状菌 Beauveria brongniartiiの培養担体の検討. 九州病害虫研究会報 37巻 p.170-174. doi:10.4241/kyubyochu.37.170
- ↑ 生物情報収集提供システム いきものログ > レッドリスト・レッドデータブック 環境省生物多様性センター 2025年8月31日閲覧
- ↑ ホーム > 種名検索 日本のレッドデータ検索システム. 2025年8月15日閲覧.
- ↑ 平嶋義宏 監修,九州大学農学部昆虫学教室・日本野生生物研究センター 編 (1989) 『日本産昆虫総目録Ⅰ』. 九州大学農学部昆虫学教室, 福岡. doi:10.11501/13643318(国立国会図書館デジタルコレクション)
関連項目
[編集]- ゼットン:背中のデザインはこの生物をモチーフにしている。