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ゴクラクハゼ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゴクラクハゼ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ハゼ亜目 Gobioidei
: ハゼ科 Gobiidae
亜科 : ゴビオネルス亜科 Gobionellinae
: ヨシノボリ属 Rhinogobius
: ゴクラクハゼ R. giurinus[2]
学名
Rhinogobius giurinus
(Rutter, 1897)[2]

ゴクラクハゼ(極楽鯊、学名:Rhinogobius giurinus)は、スズキ目ハゼ科に分類される魚の一種。東アジアの温暖な地域に分布するハゼで、日本では本州中部以南の川の下流域でよく見られる。

形態

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成魚は全長12cmに達するが、6-10cmほどの個体が多い。オスの方がやや大きい。体は淡褐色で、頬に虫食い状の斑点があり、体側に黒褐色の斑が5-6個並ぶ。また全身に青い小斑点が点在する[3]

眼の後ろまでがあること、腹鰭が前後に長い楕円形になること、他種より比較的頭が大きいことなどで、いわゆるヨシノボリ類の中では区別が容易である。標準和名「ゴクラクハゼ」は、田中茂穂の命名による[3]

分布

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日本朝鮮半島台湾中国ベトナムに分布する。日本での分布域は、秋田県及び茨城県以南の本州四国九州南西諸島といった暖流に面した地域である[2]

生態

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川の下流域の砂礫底に生息する。本種の若魚や成魚は純淡水域、もしくは比較的塩分濃度が薄い汽水域に多く、チチブテナガエビ類、イシマキガイなどと同所的に見られる。川を遡上する力はなく、流れが速い上流・中流まで達することはまずない。ただし陸封個体群も存在し、海から離れた湖沼やダムの中、およびその流入河川で見つかることがある[2][3]

水底に腹をつけ、砂礫や小石の間を泳ぎ回る。近寄ると石の下や草の間、砂の中に潜って隠れる。主に水生昆虫や甲殻類など底生小動物を捕食するが、付着藻類も食べるため、動物食を主とした雑食性である[4]

産卵期は7月から10月で[4]、雄が石の下に雌を誘い、雌は石の天井に産卵する。雄は産卵・受精後も卵のそばに留まり孵化まで卵を保護する[4]。孵化した仔魚は降海して2ヶ月ほど海(陸封個体群は湖沼など)で過ごし、全長2-3cmに成長した若魚は秋に川を遡上する[4][3]

人間との関係

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本種を特に狙って漁獲し利用することはないが、他の小魚とともに混獲され、佃煮味噌汁唐揚げ卵とじなどで食用にされることがある。水槽での飼育も比較的容易だが、縄張り争いや他魚の捕食が起こる場合がある。シンガポール中東では国外外来種として定着している[2][5]

脚注

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  1. ^ Huckstorf, V. 2012. Rhinogobius giurinus. The IUCN Red List of Threatened Species 2012: e.T166980A1159466. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2012-1.RLTS.T166980A1159466.en. Accessed on 05 February 2024.
  2. ^ a b c d e 細谷和海 『増補改訂 日本の淡水魚』 山と渓谷社 454~455頁
  3. ^ a b c d 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編『山渓カラー名鑑 改訂版 日本の淡水魚』(解説 : 辻幸一)ISBN 4635090213
  4. ^ a b c d 道津喜衛 (1961-01). “ゴクラクハゼの生態・生活史”.  長崎大学水産学部研究報告 ( 長崎大学水産学部) 10: 120-125. https://hdl.handle.net/10069/31713 2020年11月5日閲覧。. 
  5. ^ 蒲原稔治著・岡村収補『エコロン自然シリーズ 魚』保育社 1966年初版・1996年改訂 ISBN 4586321091