ゴクラクハゼ
ゴクラクハゼ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Rhinogobius giurinus (Rutter, 1897)[2] |
ゴクラクハゼ(極楽鯊、学名:Rhinogobius giurinus)は、スズキ目ハゼ科に分類される魚の一種。東アジアの温暖な地域に分布するハゼで、日本では本州中部以南の川の下流域でよく見られる。
形態
[編集]成魚は全長12cmに達するが、6-10cmほどの個体が多い。オスの方がやや大きい。体は淡褐色で、頬に虫食い状の斑点があり、体側に黒褐色の斑が5-6個並ぶ。また全身に青い小斑点が点在する[3]。
眼の後ろまで鱗があること、腹鰭が前後に長い楕円形になること、他種より比較的頭が大きいことなどで、いわゆるヨシノボリ類の中では区別が容易である。標準和名「ゴクラクハゼ」は、田中茂穂の命名による[3]。
分布
[編集]日本・朝鮮半島・台湾・中国・ベトナムに分布する。日本での分布域は、秋田県及び茨城県以南の本州・四国・九州・南西諸島といった暖流に面した地域である[2]。
生態
[編集]川の下流域の砂礫底に生息する。本種の若魚や成魚は純淡水域、もしくは比較的塩分濃度が薄い汽水域に多く、チチブ、テナガエビ類、イシマキガイなどと同所的に見られる。川を遡上する力はなく、流れが速い上流・中流まで達することはまずない。ただし陸封個体群も存在し、海から離れた湖沼やダムの中、およびその流入河川で見つかることがある[2][3]。
水底に腹をつけ、砂礫や小石の間を泳ぎ回る。近寄ると石の下や草の間、砂の中に潜って隠れる。主に水生昆虫や甲殻類など底生小動物を捕食するが、付着藻類も食べるため、動物食を主とした雑食性である[4]。
産卵期は7月から10月で[4]、雄が石の下に雌を誘い、雌は石の天井に産卵する。雄は産卵・受精後も卵のそばに留まり孵化まで卵を保護する[4]。孵化した仔魚は降海して2ヶ月ほど海(陸封個体群は湖沼など)で過ごし、全長2-3cmに成長した若魚は秋に川を遡上する[4][3]。
人間との関係
[編集]本種を特に狙って漁獲し利用することはないが、他の小魚とともに混獲され、佃煮・味噌汁・唐揚げ・卵とじなどで食用にされることがある。水槽での飼育も比較的容易だが、縄張り争いや他魚の捕食が起こる場合がある。シンガポール、中東では国外外来種として定着している[2][5]。
脚注
[編集]- ^ Huckstorf, V. 2012. Rhinogobius giurinus. The IUCN Red List of Threatened Species 2012: e.T166980A1159466. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2012-1.RLTS.T166980A1159466.en. Accessed on 05 February 2024.
- ^ a b c d e 細谷和海 『増補改訂 日本の淡水魚』 山と渓谷社 454~455頁
- ^ a b c d 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編『山渓カラー名鑑 改訂版 日本の淡水魚』(解説 : 辻幸一)ISBN 4635090213
- ^ a b c d 道津喜衛 (1961-01). “ゴクラクハゼの生態・生活史”. 長崎大学水産学部研究報告 ( 長崎大学水産学部) 10: 120-125 2020年11月5日閲覧。.
- ^ 蒲原稔治著・岡村収補『エコロン自然シリーズ 魚』保育社 1966年初版・1996年改訂 ISBN 4586321091