コレラタケ
コレラタケ (ドクアジロガサ) | |||||||||||||||||||||
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画像はありません | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Galerina fasciculata Hongo | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
コレラタケ、ドクアジロガサ |
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コレラタケ(虎列剌茸、学名 Galerina fasciculata)は、フウセンタケ科ケコガサタケ属のキノコ。本郷次雄により発見された当初の和名はドクアジロガサ(毒網代傘)であったが、細菌性感染症のコレラに似た症状を呈し、致死的な毒性を持つことから、社会に対して毒キノコとしての注意を喚起するため、このように改名された[1]。
特徴[編集]
秋のやや遅く(特に10月から11月頃)に、朽木や古いおがくず等に発生する[2]。傘の直径は 2 - 5 cm と小型で、傘の表面とヒダの色はほぼ同じ、湿ったときは暗肉桂色、乾くと中央部から明るい淡黄色となる。柄は細長く中空で、上部の傘の下に不完全なツバがある。
中毒症状[編集]
中毒症状は、その名のように食後概ね10時間(摂食量により、6-24時間)後にコレラの様な激しい下痢が起こり、1日ほどで一度回復する。その後2–7日後に肝臓、腎臓などの著しい機能低下[3]による劇症肝炎[4]や腎不全症状を呈し、最悪の場合死に至る。この症状はタマゴテングタケ、ドクツルタケなどの症状と同じであり、これらと同様アマトキシン類によって引き起こされる。毒成分は、加熱によっても失われない。
治療方法は対症療法のみで、胃内完全洗浄[5]ののち血液透析や血漿交換[4]を行う。
中毒事例[編集]
1959年11月13日に東京都府中市で家族5人の食中毒が発生し、子ども1人(12歳)が亡くなっている[2]。その後、1964年10月に金沢市で3名、同年11月に長野県で6名中2名、1969年11月に神奈川県で6名中1名が亡くなっている[2]。
フウセンタケ科のケコガサタケ属の一種による食中毒とされ、先述のとおり1974年にドクアジロガサと命名されたが、猛毒であることを印象付ける必要があるとして「コレラタケ」に改名された[2]。
類縁種[編集]
同じケコガサタケ属にはヒメアジロガサ (Galerina marginata) などがあり、その多くが猛毒であることが分かっている。
類似の食用キノコ[編集]
センボンイチメガサやナラタケと良く似ている[2]。他にもクリタケ、エノキタケ、ナメコなどと間違えた中毒例がある。
エノキタケ栽培後の廃培地からも発生する本種は、「食用キノコを収穫した後に生えるから大丈夫」と誤解され、食中毒を起こす可能性が高い。また、センボンイチメガサは基本的に黄褐色であり識別は簡単だが、個体によってはコレラタケと同様の茶褐色で、識別が困難な場合もある。
脚注[編集]
- ^ キノコによる食中毒 平成24年 東京都の食中毒概要 東京都福祉保健局 (PDF)
- ^ a b c d e “キノコによる食中毒”. 東京都福祉保健局. 2020年11月2日閲覧。
- ^ 村田宗茂、コレラタケによる食中毒 食品衛生学雑誌 Vol.28 (1987) No.5 P.414-415, doi:10.3358/shokueishi.28.414
- ^ a b 松村謙一郎、田島平一郎、南野毅 ほか、劇症肝炎の経過をたどったアマニタトキシン中毒 (キノコ中毒)の1症例 肝臓 Vol.28 (1987) No.8 P.1123-1127, doi:10.2957/kanzo.28.1123
- ^ 藤野靖久、井上義博、小野寺誠 ほか、コレラタケ中毒が疑われ、発症前から積極的に消化管除染を行い救命した1例 『中毒研究』 27巻3号, p.282-283, 2014-09, ISSN 0914-3777, 岩手大学医学部
外部リンク[編集]
- Aタイプの中毒を起こす猛毒きのこ 滋賀大学教育学部
- 【新発田】きのこによる食中毒の予防について 新発田地域振興局健康福祉環境部 生活衛生課