コルト・パイソン

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コルト・パイソン
コルト・パイソン(4インチモデル)
コルト・パイソン(4インチモデル)
概要
種類 回転式拳銃
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計・製造 コルト
性能
口径 .357口径(約9mm)
銃身長 102mm
使用弾薬 .357マグナム弾
.38スペシャル弾
装弾数 6発
作動方式 ダブルアクション
シングルアクション
全長 241mm
重量 1,092g
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コルト・パイソン: Colt Python)は、1955年コルト社が開発した回転式拳銃である。パイソンは英語でニシキヘビを意味する。コブラキングコブラダイアモンドバックアナコンダと並び、商品名にの名前を冠するシリーズの1つ。

開発[編集]

コルト・パイソンは、1955年コルト社が「.357マグナム弾を発射できる」高級リボルバーとして発表した。初めに6インチ、次に2.5インチと4インチの銃身を持つものが発売され、後に8インチの「パイソンハンター」も作られた。また、コンバットパイソンと呼ばれる3インチモデルも存在する。

手作業での調整箇所が多く、生産しにくい構造ながら、その関係で仕上げも念入りに施されていたため[1]、ライバルメーカーのS&W社などの製品と比較すると高価格となっており、1970年代半ばの値段だと同社のコルト・ディテクティブスペシャルのおよそ倍だったとされ、「リボルバーのロールス・ロイス」とも呼ばれた。

高価格ながら、各種の特徴を支持するユーザーも現れ、コルト社は廉価版として使用弾薬.38スペシャル弾.22LR弾に変更した「コルト・ダイアモンドバック」という一回り小さいフレームを使用したリボルバーを発売した。また、.22LR弾や.41マグナム弾、.44口径のパイソンも試作されたと言われるが、製品化には至っていない。

コルト社は1999年10月、販売減少と製造費高騰を理由として同モデルの生産を停止する発表をしている。

特徴[編集]

バレル上のPYTHON 357の刻印

フレームのサイズはIフレーム弾薬は、.357マグナム弾を撃つことができ、.38スペシャル弾も使用可能。発砲の反動による銃口の跳ね上がりを抑える重量物として、銃口部まで延長されたエジェクターロッドハウジング[2]、ピン止めされた交換可能なランプタイプの照星と上下微調整可能な照門などの外観を持ち、精度向上のために熟練工が1丁1丁調整を行っている。銃身上部にはベンチレーテッドリブ(放熱板)と呼ばれる梁状の構造を持ち、銃身加熱による陽炎を防ぐための実用的な構造であるといわれているが、実際は「放熱の効果はないだろうが、あった方が銃の見栄えが良くなる」とする見解もある[1]スコープを装備するモデルでは、ベンチレーテッドリブがスコープをマウントする取り付け台として利用されている。ベンチレーテッドリブの上面とフレームトップは反射を抑えるべく、マットフィニッシュになっており、トリガーはセレーションが入れられ、シングル・アクションでの射撃に適している。グリップは美しいRを描く木製のサードタイプのチェッカードオーバーサイズグリップ(4インチモデル、6インチモデル)、もしくは小型なチェッカードグリップ(2.5インチモデル)である。

又、極初期のモデルはフロントサイトがやや低く、レッドインサートが入っており、リアサイトも面がフラットなAccroタイプである。グリップも全面にチェッカリングの入ったフルチェッカードグリップとなっている。

初期の仕上げは「コルトロイヤルブルーフィニッシュ」と呼ばれ、スチールフレームの表面に腐食を防ぐ目的で黒錆を発生させる「ガンブルー」という表面処理が施された深みのある青を帯びた黒色だったと言われている。外観だけではなく内部も入念に仕上げられており、コルト社の他のリボルバーよりも引き金の感触が良いとされている。この仕上げはコルトの熟練工が引退するにつれ、仕上げが荒くなり品質が落ちていったと言われており、仕上げの状態が良い個体や、熟練工在籍時の初期生産品はコレクターの間で高値で取引される。又、通常はフレームの素材はスチールだが、同じく錆に強いステンレス製のフレームも存在。

コルト社の採用している引き金の機構はS&W社のものと比較して扱いにくいため、S&W M19S&W M586のフレームにパイソンの銃身を組み合わせた「スマイソン」や「スモルト(米国では"Davis Smolt"とも)」と呼ばれるカスタムモデルが第三者の手で製作されたこともある。また、非常に珍しいコルト社公認モデルとして、キングコブラのフレームにパイソンのバレルを組み合わせた「コルト グリズリー(Grizzly)」があり、刻印も"Colt Grizzly"に変更されている。これ以外にも、パイソンの銃身に別のフレームをつけるというカスタムモデルがいくつか存在する。

バリエーション[編集]

コルト・パイソンハンター(上)
コルト・パイソン 6インチモデル(下)
コルト・パイソンハンター
1980年に登場したパイソンの8インチ銃身モデルで、製グリップを標準装着していた従来のモデルとは違ってラバーグリップを標準装着し、LEOPOLD製ピストルスコープがベンチレーテッドリブに搭載され、アルミアタッシュケースに入った状態で限定販売された。通常の8インチモデルは銃身の刻印が他モデルと同じ"PYTHON 357"だが、スコープ付モデルのみ刻印が"PYTHON HUNTER"となっている[3]
1995年日本で起きた警察庁長官狙撃事件では、.357マグナムホローポイント弾3発が発射されており、使われた銃器はパイソンハンターだったとも言われる。
コルト・コンバットパイソン
1980年代後半に登場したパイソンの3インチモデル。S&W社やスターム・ルガー社などのライバル会社が生産している3インチリボルバーに対抗し、発売された。また、カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール[4]が注文し、同モデルをベースにして生産された「パイソン・カリフォルニア・コンバット」というモデルも存在するとされる。
コルト・ダイアモンドバック
1966年に登場したパイソンの廉価版にあたるモデルで、名称の由来は背中にダイヤ模様のあるガラガラヘビの一種。外見こそパイソンと同様だが、全体的に小型である。又、強度の問題と弾薬の全長の違いからシリンダーの前後長は短く.38スペシャル弾専用となっており、.357マグナム弾は使用できない。パイソンのようなロイヤルブルーフィニッシュではなく、普及品レベルの仕上げとすることで生産コストを低くした。銃身長は2.5インチ、4インチ、6インチがあるほか、.22LR弾を使用するモデルも存在する。しかし、パイソンより安価といっても他社製のリボルバーと比較すると高価だった事もあって、1989年に生産が終了した。

S&W M19・M586とコルト・パイソン[編集]

パイソンに比べるとS&W社のM19スターム・ルガー拳銃は安価であり、高価なパイソンは公的機関での採用例は少なかった。当時の熱処理技術では、.38スペシャル弾用として設計されたKフレームを使用するM19は.357マグナム弾使用時には耐久性の問題があったが、熱処理技術の改良やLフレームM586などの開発などによりこの問題点が解決され、また、コルト社製品の質が全体的に落ちてきたこともあってユーザーが他社の製品に流れていった。コルト社がダブルアクションリボルバー生産から撤退した後も、1998年頃から2003年頃までは受注生産品として「コルト・パイソンエリート」の名で発売されていたが、2005年に仕上げられた50周年記念モデルが最後のパイソンであり、今後も何らかの記念モデルが限定発売として復活する可能性があるという。

登場作品[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 月刊Gun・本銃が特集されている回から出典
  2. ^ フルレングスアンダーラグ。略称としてフルラグ銃身とも呼ばれる
  3. ^ 販売時期がコルト社の製品全般の品質が低下していた時期と重なっており、月刊Gunの特集記事で取り上げられた個体はフロントサイトやリコイルシールド周りの仕上げが極めて劣悪で、さらには銃身延長によって期待された命中精度も、レポーター所有の6インチモデルにおよばないとされていた
  4. ^ アメリカ合衆国の警察#ステート・ポリスを参照

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]