コガネヤジリハブ
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| 保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
| CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Bothrops insularis (Amaral, 1922) | ||||||||||||||||||||||||||||||
| シノニム[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Golden lancehead |
コガネヤジリハブ[3](学名:Bothrops insularis)は、クサリヘビ科に分類される毒蛇の一種。ブラジル沖の孤島であるケイマーダ・グランデ島の固有種である[4]。英名のままゴールデン・ランスヘッドと呼ばれることもある。その名の通り明るい黄金色の体色をしており、頭部の形状は他のヤジリハブと同様に、矢じりのように鋭い。亜種は知られていない[5]。生息地の島に在来の哺乳類は生息しないため、主に鳥類を獲物としている。分布域が狭く、近親交配も起こっているため、国際自然保護連合のレッドリストでは近絶滅種に分類されている[1]。
進化と分類
[編集]ミトコンドリアDNAの系統解析によれば、南アメリカ大陸本土に生息するジャララカと遺伝的に近縁である。ケイマーダ・グランデ島は、最終氷期に南アメリカ大陸本土と地続きになっていたが、完新世初頭に大規模な海面上昇が起こったことで隔離された。その際に島に取り残されたジャララカが分岐し、本種の起源になったと考えられる[6]。ケイマーダ・グランデ島に在来の哺乳類が生息しないことは、本種の進化に大きな影響を及ぼしている[4]。種小名は「島の」を意味する[3]。
分布と生息地
[編集]ブラジルのケイマーダ・グランデ島の固有種で、この島はスネーク・アイランドとも呼ばれる。タイプ産地は同島である[2]。島の面積は43ヘクタールである[1]。また島全体が環境保護区に指定されており、ブラジルの海軍と、政府に許可された研究者のみが上陸できる[3]。
ケイマーダ・グランデ島は、南緯24度29分、西経46度40分に位置し、気候的には亜熱帯または熱帯湿潤広葉樹林に分類される[7]。島には森林、空き地、低木林など、様々な生息地が存在する[4]。気候は温暖で、気温は18℃を下回らず、最高気温は22℃を超える[7]。陸地から離れた孤島であり、地形も岩が多いため、島に到達することは難しく、哺乳類は生息していない[7]。摂餌のために樹上にいるか、落ち葉や岩の間に隠れていることが多い。悪天候時や食事直後にはよく見られる[7]。
形態
[編集]全長は通常70-90cmで、最大118cmに達する[4]。体色は黄金色で、背面の正中線に沿って、斑紋が交互または対称的に入る。斑紋は三角形か四角形で、細長いものから幅広いものまで様々である。飼育下では体色が濃くなることがあり、体温調節が機能しにくくなった結果、血行不良を起こしていると考えられる[7]。斑紋の入り方によっては、模様は帯のように見える。眼の後方の帯は明瞭ではない。腹側は一様に淡い黄色である[4]。名前の通り頭部は細長く、吻は尖る[8]。ジャララカよりも尾が長く、これは幼蛇のうちから獲物である鳥類を食べるため、樹上の移動に適応した結果と考えられる[8]。他の樹上性のヘビのように、心臓が前方に位置している[3]。
生態と行動
[編集]陸生または樹上性であり、尾で物を掴むことはできない。観察によれば本種は真の樹上性ではなく、木に登るのは一時的である[4]。鳥類を狩るために木に登るが、悪天候の際や捕食の後には、落ち葉の下や岩の間に移動する。他の毒蛇は咬み付いた獲物を放し、その後ににおいを辿って追跡するが、本種はしっかりと咬み付き、放さずに呑み込む。主な獲物は鳥類であり、空中を飛ぶ鳥のにおいを辿って追いかけることは難しくなるためである[8]。牙はジャララカよりも太短く、獲物に咬み付いたままでも折れにくくなっている[3]。他のヤジリハブは尾を振って獲物を引き付けるが、本種ではこの行動は観察されていない[9]。しかし島の一部の生物は誘引される可能性があり[9]、本種は食べられる獲物であれば食べる日和見的な捕食者であるため[7]、尾で獲物を引き付ける行動が観察される可能性がある。
食性
[編集]主に樹上の鳥類を捕食する[8]。トカゲを食べることもあり、共食いも知られている[7]。幼蛇は主に無脊椎動物を捕食する[10]。40種以上の鳥類が島を訪れるが、本種は年間で最低1-2種の鳥を食べる[11]。
繁殖と成長
[編集]繁殖期は8-9月で、交尾は樹上または地上で行われる[7]。卵胎生であり、平均して6.5匹の幼蛇を産む[12]。幼蛇の大きさは不明だが、近縁のジャララカでは体長24.5-25.3cm、体重9.38-10.61gである[8]。繁殖期は獲物である渡り鳥の行動と関連している可能性がある[13]。
競争相手と天敵
[編集]ケイマーダ・グランデ島においては、唯一の鳥類の捕食者である[7]。幼蛇は無脊椎動物を捕食するが、カエル、トカゲ、鳥類も無脊椎動物を捕食する。しかし昆虫の数は豊富であるため、これらの生物の間で獲物をめぐる競争が起こっているかは不明である。
成体の天敵は不明だが、幼体は鳥類、クモ、ヤスデ、トカゲが天敵となる可能性がある。しかし調査があまり行われていないため、詳しいことは不明である。口腔内に Ochetosoma heterocoelium などの吸虫が寄生しており、Amblyomma rotundatum というダニにも寄生される[7]。
毒性
[編集]生息地は孤立しており、在来の哺乳類は存在しないため、毒は変温動物、節足動物、鳥類に適応している。毒は哺乳類よりもこれらの動物に対して効果が強く、成長に伴って強くなる[14]。毒の強さはジャララカの約5倍で、ヤジリハブ属の中では最も早く作用する[7]。
ケイマーダ・グランデ島は無人島であり、咬傷事例はほとんどない。ヤジリハブ属はアメリカ大陸において、ヘビの中で最も多くの死者を出している。4件の咬傷例のうち、3件は患者が死亡した。ヤジリハブ属全体では、治療を受けた場合の致死率は0.5-3.0%で、無治療の場合は7.0%である[4]。本種の毒による症状としては、腫れ、局所的な痛み、吐き気と嘔吐、血豆、内出血、吐血と血尿、腸内出血、腎不全、脳内出血、重度の筋組織の壊死などがある[15]。
脅威と保全
[編集]分布域は100km2未満と狭く、適切な生息地が減少しており、実際の生息域は10km2未満と推定されるため、国際自然保護連合のレッドリストでは近絶滅種に指定されている。個体数は減少しており、推定で2,000-2,500匹である[1]。2021年には2,414匹または2,899匹と推定された[16]。ケイマーダ・グランデ島の面積は狭く、環境収容力が低い。環境収容力が個体群の維持に必要な個体数と近いため、様々な問題の影響を受けやすい[7]。
バナナを栽培するために島で野焼きが行われ、本種も駆除されたことがある。ブラジル海軍は島の灯台を維持するため、植物を伐採していた。また科学者による採集圧も脅威となっていた[7]。年間25-40匹を捕獲することで、100年後には遺伝的な絶滅が起こると仮定されている[16]。許可された場合は研究目的の採集が可能だが、密猟も行われている。2008年には研究者に対し、一匹あたり最大3万ドルでの取引が提案された例がある[17]。
個体数が少なく、分布域も狭いため、深刻な近親交配が起こっている。これによって近交弱勢が生じた場合、個体群が絶滅する可能性もある。絶滅を避けるためには、野生個体群に加え、本土の研究機関で飼育されている個体群の遺伝的多様性を管理する必要がある[18]。近親交配によって間性の個体が生まれており、半陰茎と雌の生殖器の両方を持つ。ほとんどの間性の個体は繁殖能力を持たないため、個体群にとって脅威となっている[7]。ジャララカよりも雌の繁殖力が低く、雄の精子の突然変異率が高いが、これは近親交配の影響と考えられる[18]。ブラジル本土では森林伐採が起こっており、その結果ケイマーダ・グランデ島に訪れる鳥が減少している[19]。
出典
[編集]- 1 2 3 4 Silveira, A.L.; Prudente, A.L. da C.; Argôlo, A.J.S.; Abrahão, C.R.; Nogueira, C. de C.; Barbo, F.E.; Costa, G.C.; Pontes, G.M.F.; Colli, G.R.; Zaher, H. el D.; Borges-Martins, M.; Martins, M.R.C.; Oliveira, M.E.; Passos, P.G.H.; Bérnils, R.S.; Sawaya, R.J.; Cechin, C.T.Z; Guedes da Costa, T.B. (2021). “Bothrops insularis”. IUCN Red List of Threatened Species (英語). 2021 e.T2917A123180264. doi:10.2305/iucn.uk.2021-3.rlts.t2917a123180264.en.
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- 1 2 3 4 5 田原義太慶『毒ヘビ全書』グラフィック社、2020年2月25日、212-213頁。ISBN 978-4-7661-3313-4。
- 1 2 3 4 5 6 7 Campbell JA, Lamar WW (2004). The Venomous Reptiles of the Western Hemisphere. Ithaca and London: Comstock Publishing Associates. ISBN 0-8014-4141-2.
- ↑ “Bothrops insularis ” (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2025年12月21日閲覧.
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- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 “A biological survey of the pitviper Bothrops insularis Amaral (Serpentes: Viperidae): an endemic and threatened offshore island snake of Southeastern Brazil”. Studies on Neotropical Fauna and Environment 30 (1): 1–13. (1995). Bibcode:1995SNFE...30....1D. doi:10.1080/01650529509360936.
- 1 2 3 4 5 “Morphological correlates of incipient arboreality and ornithophagy in island pitvipers, and the phylogenetic position of Bothrops insularis”. Journal of Zoology 266: 1–10. (2005). doi:10.1017/S0952836904006247.
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- ↑ (英語) The deadliest place on earth: Snake Island | 60 Minutes Australia, (24 March 2019) 2021年4月16日閲覧。