コウホネ

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コウホネ
Nuphar japonica1.jpg
コウホネ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: スイレン目 Nymphaeales
: スイレン科 Nymphaeaceae
: コウホネ属 Nuphar
: コウホネ N. japonicum
学名
Nuphar japonicum

コウホネ(河骨、学名 Nuphar japonicum )は、スイレン科の植物である。水生の多年生草本。浅い池や沼に自生し、夏に黄色い花を咲かせる。別名センコツ(川骨)ともよばれる。

名称[編集]

和名の由来には複数の説がある。一説には、川辺に生え、ワサビ状の白い地下茎が白骨のように見えることから、「河の骨」の意でこの名がついたとされている[1][2][3][4]。しかし園芸植物大事典によると日本最古の本草書『本草和名』(918年)には崔禹錫の『食経』よりの引用として「骨蓬」という名を引き、その和訓として加波保祢を当てており、これは「カハホネ」と読める。このことから骨蓬の音便によってこの名が生まれたとみるべきという[5]。日本では本属の根茎を薬草として「川骨(せんこつ)」と言うが、これもこの語に漢字を当てたものと見られる。

別名は、センコツ(川骨)[3]である以外にも、カワホネ[6]、ヤマバス[6]の地方名でもよばれる。

花言葉は、「崇高」である[7]

分布・生育地[編集]

日本北海道南西部・本州四国九州[8][9]朝鮮半島に分布する。水深は浅く、泥深い池沼や小川に自生する[8][2][9]

庭園の池で観賞用に栽培されることもある[8]。沈水葉をアクアリウムで鑑賞する例もある。

形態・生態[編集]

多年生水草[8]。高さは水深によって異なる[4]根茎は白くて太く肥大しており、水底の泥中を横に這い、まばらにの跡がある[8]。根茎の古い部分は黒褐色をしている[8]。葉は根茎の先端部から長い葉柄を出し、水上葉と水中葉がある[8]。葉の形はスイレンの葉の形に近いが、やや細長い葉身をつける。水上葉は水面上に抜け出す長柄がついた大きな長卵形で、基部は矢じり形[7]、大きさは長さ20 - 30センチメートル (cm) 、幅7 - 12 cmあり[10]、質厚くて深緑、表面につやがある[8][3]。水中葉は短柄で質薄くやや透明で、ひだが多くてひらひらしている[8]。冬季には水中葉のみを残す。暖かくなるにつれ、次第に水面に浮く葉をつけ、あるいは一気に水面から抽出して葉をつける。

花期は夏(6月 - 9月ごろ)で[2]、水上に長い花柄を出し、その先端に上向きにカップ状の黄色い5弁のを1個だけ咲かせる[8]。花の径は4 - 5 cm[4]。花は葉陰につくが、黄色い花弁のように見えるものは萼片である[2]。中にある花弁は雄しべが変形したもので、色は黄色く、萼片の半分以下の長さで雄しべを囲むように多数ある[2][4]花糸はほぼ同じ長さである[2]

花が終わると黄色だった萼片は緑色が強くなり[2]、果実期も残る[9]果実液果[9]。、花柄は倒れて水中で成熟し、くずれて多数の種子をばらまく[8]。種子は倒卵形で褐色をしており、色・形の見た目はチョコレート菓子のようで、長径は5 - 6ミリメートル (mm) ほどの大きさがあり、種皮はなめらかある[9]

利用[編集]

生薬[編集]

池沼の泥中にある肥大した根茎を掘り上げて、細根を切り捨て、根茎を縦割りにして天日乾燥もしくは火力乾燥したものは川骨(センコツ)と言い[8][11]日本薬局方に収録された生薬である[6]漢方では鎮咳去痰利尿消炎強壮の作用があるとされ[8]調栄湯(ちょうえいとう)、治打撲一方(ちだぼくいっぽう)という解熱、鎮痛を目的とした漢方方剤に配合される[11]。なお、含有される成分としては、例えばヌファリジンなどが知られている。生薬は利尿に、また浄血、止血強壮、解熱などに薬剤として利用される[6]

食用[編集]

アイヌ民族はカパト(kapato)とよび[12]、地下茎をアク抜き・乾燥したものを保存食とし、水で戻して汁の実として利用した[13]

なお、北海道空知総合振興局樺戸郡の名称はこれに由来する[12][14]

近縁種など[編集]

コウホネ属は北半球の温帯を中心に20種ほどが知られ、日本では4種およびいくつかの変種が知られる。しかし変異の幅も広く、その区別はなかなか難しい。分類上の扱いにも問題があるようである。ひとつの区別にコウホネは水上葉を水面から抽出するが、他の種は水上葉を水面に浮かべる、というのがあるが、コウホネも水面に葉を浮かべることがあり、条件によっては水上に出ない例もある。

家紋[編集]

三つ河骨(みつこうほね)

日本の家紋に、コウホネの葉を模した紋がある。丸い円の中にコウホネの葉を1枚だけ模した「丸輪に一河骨(まるわにひとつこうほね)」や[3]、コウホネの葉を3枚放射状に配して図案化した「三つ河骨(みつこうほね)」などである。

脚注[編集]

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  1. ^ 牧野富太郎原著 2017, p. 156.
  2. ^ a b c d e f g 山田孝彦・山津京子 2013, p. 127.
  3. ^ a b c d e f 大嶋敏昭監修 2002, p. 164.
  4. ^ a b c d 金田初代 2013, p. 211.
  5. ^ 『園芸植物大事典』(1994), p. 841
  6. ^ a b c d NTS薬用植物辞典編集委員会編 2016, p. 220.
  7. ^ a b c 主婦と生活社編 2007, p. 104.
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m 馬場篤 1996, p. 53.
  9. ^ a b c d e 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2018, p. 271.
  10. ^ 大嶋敏昭 2005, p. 123.
  11. ^ a b 伊沢凡人・会田民雄『カラー版薬草図鑑』家の光協会、108頁。
  12. ^ a b 近世の蝦夷地と須部都太(スベツブト)”. 月形町. 月形歴史物語. 月形町. 2018年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月30日閲覧。
  13. ^ アイヌ生活文化再現マニュアル 秋から冬へ[1] (日本語)
  14. ^ アイヌ語地名リスト オニシベ~キタ P31-40P”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年10月19日閲覧。

参考文献[編集]

  • NTS薬用植物辞典編集委員会編『薬用植物辞典』エヌ・ティー・エス、2016年12月8日、220頁。ISBN 978-4-86043-416-8
  • 伊沢凡人・会田民雄『カラー版薬草図鑑』家の光協会、108頁。[要文献特定詳細情報]
  • 大嶋敏昭監修『花色でひける山野草・高山植物』成美堂出版〈ポケット図鑑〉、2002年5月20日、164頁。ISBN 4-415-01906-4
  • 大嶋敏昭『花色でひける山野草の名前がわかる辞典』成美堂出版、2005年3月20日、123頁。ISBN 4-415-02979-5
  • 金田初代『季節・生育地でひける 野草・雑草の辞典530種』金田洋一郎(写真)、西東社、2013年6月5日、211頁。ISBN 978-4-7916-1969-6
  • 主婦と生活社編『野山で見つける草花ガイド』主婦と生活社、2007年5月1日、104頁。ISBN 978-4-391-13425-4
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『増補改訂 草木の 種子と果実』誠文堂新光社〈ネイチャーウォッチングガイドブック〉、2018年9月20日、271頁。ISBN 978-4-416-51874-8
  • 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、65頁。ISBN 4-416-49618-4
  • 牧野富太郎原著『新分類 牧野日本植物図鑑』北隆館、2017年。
  • 山田孝彦・山津京子『万葉歌とめぐる 野歩き植物ガイド 夏〜初秋太郎次郎社エディタス、2013年8月15日、初版、127頁。ISBN 978-4-8118-0762-1
  • 『園芸植物大事典 1』小学館、1994年。[要文献特定詳細情報]

外部リンク[編集]

  • ウィキメディア・コモンズには、コウホネに関するメディアがあります。