ゲルニカ1984年

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ゲルニカ1984年』は、栗本薫SF小説

概要[編集]

「滅びを内蔵した時代」と「一個人の中に象徴化された『世界の滅び』」を主題とした作品[1]。この「滅び」という主題は、本作の後、1980年代後半に執筆された連作短編集『滅びの風』とも共通する。

SFマガジン』1984年2月号から同年4月号に連載されたのち、同年5月15日に早川書房から単行本(ISBN 4-15-203253-7)が刊行された。のち、1987年11月15日には ハヤカワ文庫版(ISBN 4-15-030252-9)が刊行されている。表紙は、単行本版を角田純男、文庫版を佐治嘉隆が担当している。


あらすじ[編集]

TVディレクターの安田は、『ゲルニカ』という本の一節にひっかかりを覚えたことをきっかけとして、誰も気づかぬうちに日本が戦争状態に入っているのではないか、という疑惑を感じるようになった。その疑惑をまともに取り合うものは、家族にも同僚にもなかったが、安田の中に芽生えた不安は日に日に大きくなるばかりであった。

そんなある日、安田はルカと名乗る少女に出会う。彼の不安を当たり前のように肯定した彼女との出会いをきっかけとして、安田は狂気の中にとらわれていく。

主要な登場人物[編集]

安田修平
TVディレクター。36歳。
安田美穂
修平の妻。
安田竜太
修平の幼い息子。
ルカ
猫のような野性を感じさせる少女。

脚注[編集]

  1. ^ 文庫版巻末の「あとがき」による。