ケプラー64
座標:
19h 52m 51.624s, +39° 57′ 18.36″
| ケプラー64 Kepler-64[1] | |
|---|---|
| 分類 | 恒星 |
| 軌道の種類 | 四重連星 |
| 軌道要素と性質 元期:BJD 2454970[2] | |
| 軌道長半径 (a) | Aa-Ab: 0.1744 ± 0.0031 AU Ba-Bb: 約60 AU A-B: 約1000 AU[2] |
| 離心率 (e) | Aa-Ab: 0.2117 ± 0.0051[2] |
| 公転周期 (P) | Aa-Ab: 20.0002468(44) 日[2] |
| 軌道傾斜角 (i) | A: 87.360+0.063 −0.072 度[2] |
| 近点引数 (ω) | Aa-Ab: 217.6 ± 1.9 度[2] |
| 通過時刻 | A: BJD 2454967.81776(15)[2] |
| 惑星の数 | 1 |
| 物理的性質 | |
| 半径 | Aa: 1.734 ± 0.044 R☉ Ab: 0.378±0.023 R☉[2] |
| 連星の半径比 | Ab/Aa: 0.240 +0.020 −0.015[2] |
| 質量 | Aa: 1.528 ± 0.087 M☉ Ab: 0.408 ± 0.024 M☉ Ba: 約0.99 M☉ Bb: 約0.51 M☉[2] |
| 連星の質量比 | Ab/Aa: 0.2794 ± 0.0051[2] Bb/Ba: 約0.51 |
| 平均密度 | Aa: 0.2542 ± 0.0076 g/cm3 Ab: 5.1 ± 1.2 g/cm3[2] |
| 表面重力 | Aa: 4.089 ± 0.014 log g Ab: 4.772+0.061 −0.071 log g[2] |
| スペクトル分類 | Aa: F型 Ab: M型 Ba: G2型 Bb: M2型[2] |
| 表面温度 | Aa: 6407 ± 150 K Ab: 3561 ± 150 K[2] |
| 色指数 (R-J) | 6.02 ± 0.07[2] |
| 色指数 (J-H) | 0.253 ± 0.045[2] |
| 色指数 (H-K) | 0.066 ± 0.043[2] |
| 金属量[Fe/H] | +0.21 ± 0.08[2] |
| 年齢 | 約90億年[2] |
| 別名称 | |
| 別名称 | |
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| ケプラー64b Kepler-64b[3] | |
|---|---|
| 星座 | はくちょう座[4] |
| 分類 | 太陽系外惑星 |
| 軌道の種類 | 周連星惑星 天王星型惑星[2] |
| 軌道要素と性質 元期:BJD 2454970[2] | |
| 軌道長半径 (a) | 0.634 ± 0.011 AU[2] |
| 近点距離 (q) | 0.600 ± 0.007 AU |
| 遠点距離 (Q) | 0.668 ± 0.017 AU |
| 離心率 (e) | 0.0539 ± 0.0081[2] |
| 公転周期 (P) | 138.506+0.107 −0.092 日[2] |
| 軌道傾斜角 (i) | 90.022+0.072 −0.061 度[2] |
| 主星との傾き | 2.814 ± 0.073 度[2] |
| 近点引数 (ω) | 348.0+6.7 −5.0 度[2] |
| 通過時刻 | BJD 2455074.71 ± 0.11[2] |
| 準振幅 | 0.80+0.28 −0.17 km/s[2] |
| 位置 元期:J2000.0[3] | |
| 赤経 (RA, α) | 19h 52m 51.63s[3] |
| 赤緯 (Dec, δ) | +39° 57′ 18.4″[3] |
| 距離 | 約5000 光年[5] |
| 物理的性質 | |
| 半径 | 6.18 ± 0.14 RE[2] (0.551 ± 0.013RJ) |
| 主星との半径比 | b/Aa: 0.03222 ± 0.00045[2] |
| 質量 | < 169 ME[2] ( < 0.532 MJ) |
| 主星との質量比 | b/Aa: < 0.000357[2] |
| 推定質量 | 35 ± 15 ME[2] (0.11 ± 0.03 MJ[2]) |
| 表面温度 | 524 - 613 K (251 - 340 ℃) |
| 発見 | |
| 発見日 | 2012年 |
| 公表日 | 2012年10月15日 |
| 発見者 | キーアン・ジェク[6] (Kian Jek) ロバート・ガリアーノ[6] (Robert Gagliano) |
| 発見方法 | ケプラー宇宙望遠鏡の 観測データの分析[6]。 |
| 別名称 | |
| 別名称 | |
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ケプラー64は、四重連星であり、ケプラー64Aa、ケプラー64Ab、ケプラー64Ba、ケプラー64Bbから構成されている。
ケプラー64Aaとケプラー64Abの重心の周りを公転する太陽系外惑星ケプラー64b[2] (PH1)が存在する。
発見[編集]
ケプラー64b (PH1) は、エール大学の系外惑星探索プログラム、プラネットハンターズ (Planet Hunters) に参加している、アマチュア天文学者のキーアン・ジェクとロバート・ガリアーノによって発見された。PH1という名称は、プラネットハンターズの頭文字と、このプログラムで最初に発見された惑星であることに因んでいる。発見の発表は2012年10月15日になされた[6]。
恒星系[編集]
| 太陽 | ケプラー64Aa |
|---|---|
| 太陽 | ケプラー64Ab |
|---|---|
ケプラー64系は、スペクトル分類がF型のケプラー64Aa、M型のケプラー64Ab、G2型のケプラー64Ba、M2型のケプラー64BbとPH1によって構成されている。AaとAb、BaとBbがそれぞれの重心を公転しており、Aの連星の重心を中心にPH1は公転している。AとBそれぞれの連星は、およそ1500億km(1000AU)離れているが、重力的に結合していると考えられている[2]。
それぞれ太陽と比較して、Aaは1.734倍、Abは0.378倍の直径を持つ。これはそれぞれの恒星のトランジットから求められた。地球から見ると、AbはAaの手前を完全に通過するが、AaはAbを半分程度隠す程度しか通過しない。質量は公転周期から、Aaが1.528倍、Abは0.408倍と求まっている。BaとBbは正確にはわかっていないが、Baは約0.99倍、Bbは約0.51倍であると推定されている。AaとAbは2609万km(0.1744AU)とかなり近い軌道を公転しており、公転周期はほぼ20日である。これに対し、BaとBbは90億km(60AU)とかなり離れていると推定されている。このため、AaとAbは1個の恒星に見えるが、BaとBbは望遠鏡で分離して見える。ケプラー64全体の明るさはほぼAaで占められており、Bの連星系は2.5%程度の明るさしかもっていない。AbとBbはどちらも赤色矮星であるため、実質Aaが大部分であり、残りの大部分はBaの明るさである[2]。
ケプラー64b(PH1)[編集]
軌道の性質[編集]
PH1は、AaとAbの重心から9490万km(0.634AU)離れた軌道を138.5日かけて公転している。離心率は0.054で円軌道に近い。これは発見された比較的遠目の軌道を公転する惑星としては珍しい方である。地球から見ると、PH1はAaの手前は通過するが、Abの手前は通過することが無い[2]。
PH1とAbが同時にAaの手前を通過した様子はまだ観測された事は無いが、2009年12月29日にPH1が通過し終わった直後にAbが通過したことはある[2]。
物理的性質[編集]
| 木星 | PH1 |
|---|---|
PH1の直径は、Aaの恒星面通過から、地球の6.18倍、木星の0.551倍であるとわかっている。また、視線速度の変化も測定されており、それによって質量は地球の169倍以下である事がわかっている。しかし、169倍は恒星同士の恒星面通過時刻にも影響を及ぼすほどになってしまうため、恐らく地球質量の20倍から50倍ではないかと考えられている。この推定が正しければ、PH1の組成は天王星型惑星が最も近い。しかし、Aaからかなり近い軌道であり、Aa自身も太陽より明るい恒星であることから、表面温度はアルベドが海王星とほぼおなじの0.3で340℃(613K)、0.9でも251℃(524K)であると推定される高温のホット・ネプチューンである。なおこの推定には、あまり明るくないAbの影響は含まれていない[2]。
PH1は天王星型惑星であるために、分厚い大気層に阻まれ表面から空を見ることはできないが、仮に雲の上空から見ると、ひときわ明るいAaが見えるはずである。AbはAaよりはるかに暗く、Aaからの距離も近いため、恐らく見えないと考えられる。BaとBbは極めて遠くにあるため、恐らく背景の星々とあまり変わらない明るさ程度にしか見えないと考えられている[6]。
シミュレーション[編集]
ケプラー64のような多重連星系では、惑星の素となる原始惑星系円盤が重力的に不安定で生み出されない場所が生じる。ケプラー64の場合、1AU以内には原始惑星系円盤が生ずるが、1AUから10AU以内には生じない空白域が出来ると考えられている。これはPH1の軌道と一致する。また、AとBそれぞれの連星は当初からあまり密接な関係を持たない連星系であったと考えられている。なぜならば、もしAとBがより接近していた場合、原始惑星系円盤が早い時代に乱されて拡散し、惑星を作ることは無かったと考えられているからである[2]。
発見の意義[編集]
PH1の発見は2つの点において重要である。まず、四重連星で初めて惑星が発見されたことである。二重連星の周囲を公転する周連星惑星はこれまでに6個発見されているが、発見される以前は、連星系では原始惑星系円盤が安定せずすぐに拡散して惑星が出来ないか、仮に出来たとしても、重力的な不安定さで星系を飛び出して生き残らないと考えられていたため、二重連星における惑星の発見だけでも十分に惑星形成論を書き換える必要がある発見であった。しかし、より重力的な制約が厳しい四重連星において惑星が発見されたことは、より強い影響を理論に与えることになる[6]。また、この惑星をアマチュアが発見した点も興味深い。データそのものはNASAのケプラー宇宙望遠鏡の観測データを用いたが、ジェクとガリアーノは、このデータを詳しく分析し、PH1を発見した[6]。
関連項目[編集]
出典[編集]
- ^ a b c Kepler-64 -- Eclipsing binary of Algol type (detached) SIMBAD
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq Planet Hunters: A Transiting Circumbinary Planet in a Quadruple Star System arXiv
- ^ a b c d e f Kepler-64b -- Extra-solar Confirmed Planet SIMBAD
- ^ 太陽系から一番近い星に系外惑星を発見 AstroArts
- ^ Planet with four suns discovered by volunteers BBC News
- ^ a b c d e f g 4つの太陽を持つ惑星を初確認 ナショナルジオグラフィック ニュース
- ^ 'Planet Hunters' discover new planet, PH-1 KSDK.com