コンテンツにスキップ

ケチャップ・チップス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ケチャップ味のレイズ・ポテトチップス。

ケチャップ・チップス: ketchup chips)は地域的に人気があるポテトチップスのフレーバーの一つ。1970年代に登場した。最初に発売したメーカーはカナダのホステス・ポテトチップス英語版だとされるが、同時期に米国でも考案されていた可能性がある。カナダでは広く販売されており、国民的アイデンティティ英語版と結びつけられている。ポップカルチャーの中で取り上げられることもある。他国でも一部で販売されている。

歴史

[編集]

ケチャップ・チップスはカナダのブランドであるホステス・ポテトチップスによって考案されたと信じられている[1]。ホステスは1970年代初頭に新奇で実験的な商品を販売し始めた。オレンジ味やグレープ味などのフレーバーが短命に終わった中で、唯一定着したのがケチャップ味だった[2]。一方米国では、ハーズ・スナックス英語版が1980年代にケチャップ・チップスを販売し始めた[3]。それぞれ国内のみで営業していたホステスとハーズのどちらが先に考案したのかは正確にはわかっていない[4]

ケチャップ味のポテトチップスはカナダで人気があり、プーティンメープルシロップなどに次ぐ重要なカナダ固有の食文化と見なされている。ホステスの現親会社であるフリトレーはケチャップ味のポテトチップスを大量に展開している[5]カバードブリッジ英語版のような小規模メーカーもケチャップ味の商品を出している[3]。ケチャップ・チップスはカナダの大半の食料品店に置かれており[6]、国民的アイデンティティと強く結びつけられている[7]。特にマニトバ州で人気が高い[8]

[編集]

The Daily Meal英語版は、ケチャップ・チップスをドリトスランチドレッシング味と比較して、ケチャップ味というより「ケチャップ・インスパイア味」だとした[9]。ウェブメディア The Takeout英語版のライターによると、ケチャップ・チップスの味はケチャップそのものではなく、煮込みトマトや砂糖のようにケチャップを連想させる風味から構成されている[10]。ある米国のジャーナリストはトマトにを振ったような味だと述べ[11]、別の米国ジャーナリストはトマトとビートスープを合わせた味だとした[12]。英国人の俳優フローレンス・ピューシュリンプカクテル味のポテトチップスに近いと述べた[4]。「甘さ強めのバーベキュー味」と形容されることもある[13]。一方で、Thrillist英語版のライターはケチャップ・チップスの味が「ケチャップのビンが破裂して」「チップスに均一に振りかけられた」ようだと書いている[6]

ケチャップ・チップスの塩分を減らしたり、天然の香料を使用すると味が大きく変わってしまうため、こうした健康志向のバリエーションは商品化されていない。これは製品開発の幅を狭める要因となっている[8]

カナダ国外

[編集]

米国でもフライドポテトとケチャップの組み合わせは存在するが[9]、カナダではケチャップ・チップスを含めて米国よりも酢が効いたフレーバーの人気が高い。米国における同種のポテトチップスはよりクリーミーな味付けが一般的である。こうした嗜好の差異は、移民構成が異なることや、カナダと英国の文化的つながりの強さに影響されていると見られる[14]。たとえば、カナダでは英国と同じくフライドポテトにホワイトビネガーをかけることが多いが、アメリカではあまり見られない[15]

ケチャップ・チップスはカナダでは広く普及しているが、米国での生産は限定的である[5]。米国でもオンライン小売業者から購入することは可能だが高額になる[16]。1984年のある新聞記事では、ケチャップ・チップスが失敗したビジネスであり、シカゴでしか人気がないと評されている[17]オールド・ダッチ英語版は過去にカナダと米国の両国でケチャップ・チップスを販売していたが、米国市場では利益が上がらず販売中止に至った[18]。フリトレーも米国ではケチャップ・チップスを販売していない[5]。米国でケチャップ・チップスを生産しているのはハーズ・スナックスのような小規模企業のみである[5]。同社は発売当初オリジナルの味付けを行っていたが、1980年代にハインツとの提携に切り替えた[3]

英国では2000年代以前にチューダー・クリスプス英語版がトマトケチャップ味のポテトチップスを販売していた[19]。その後、2001年にウォーカーズ英語版がハインツと提携してケチャップ・チップスのブランドを立てた[20]。同社は2024年に期間限定でソーセージ&ケチャップ味を発売した[21]

日本では一般的なフレーバーではないが[22]、2006年に湖池屋[23]、2013年にカゴメとの提携のもとでカルビー[24]、それぞれケチャップ味のポテトチップスを販売している。

受容、ポップカルチャーにおける位置づけ

[編集]

インターネットではケチャップ・チップスが魅力的なスナックであるか否かを巡る論戦が頻繁に行われており、カナダ人の間でも賛否両論がある[4]。俳優のアンドリュー・ガーフィールドはインタビュー中にケチャップ・チップスを「一種の罪悪」と呼び、ポテトチップスのフレーバーの中でもっとも不味だと述べた[4]

2019年に8人の米国人ジャーナリストが13品のケチャップ・チップスを試食してランク付けを行い、ドリトスグレート・ヴァリュー英語版、オールド・ダッチの3ブランドをトップに評価した[25]。2024年4月、Chatelaine英語版誌はカナダに存在するケチャップ・チップスのブランド11種をランキングした。1位と2位はコンプリメンツ英語版のフレーバー2種で、ラッフルズ英語版がそれに次いだ[26]

2023年、カナダ放送協会は、米国人の親子がケチャップ・チップスを40袋買い込むために米国バージニア州からカナダのナイアガラフォールズを訪れたことを報じた[27]。これはオンラインで話題英語版となり[28]、あるカナダの食料品店は親子にポテトチップスを9ケース贈呈した[27]

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. Jackson (2017年11月). The Crunchy History of Ketchup Chips”. Food Network Canada. 2023年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月2日閲覧。
  2. Skinner. 7 Canadian snacks you can't get in the U.S. and the backstory on why”. CBC Life. 2023年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月2日閲覧。
  3. 1 2 3 Jackson (2017年11月). The Crunchy History of Ketchup Chips”. Flavour Network. 2024年12月5日閲覧。
  4. 1 2 3 4 Are ketchup chips good or bad? Andrew Garfield says the Canadian snack is 'kind of a sin'”. National Post. 2025年6月7日閲覧。
  5. 1 2 3 4 Rose (2018年9月19日). How Ketchup Chips Became Edible Canadiana”. Vice. 2024年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月2日閲覧。
  6. 1 2 Futon (2018年7月26日). The Delicious Ketchup Snack That Americans Are Totally Missing Out On”. Thrillist. 2024年8月9日閲覧。
  7. Goodman, Rob (2023). Why American Democracy Is Eroding and How Canada Can Protect Itself. Simon & Schuster. p. 175. ISBN 9781668012451
  8. 1 2 Thiessen 2017, p. 40.
  9. 1 2 Pinkham. Seth Rogen's Favorite Chip Flavor Is A True Canadian Classic”. The Daily Meal. 2025年1月19日閲覧。
  10. Nutall-Smith (2017年11月23日). What Canadians understand about ketchup chips that Americans don't”. The Takeout. 2024年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月2日閲覧。
  11. “Ketchup-flavored chips don't cut the mustard”. The Missoulian. October 16, 1996. 2025年1月26日閲覧.
  12. Young, John (July 8, 1997). “North by northwest”. Waco Tribune-Herald. 2025年1月26日閲覧.
  13. Chu (2019年8月29日). Who makes the best ketchup chips? Yes, they're a thing. And we tried 13 brands from Canada”. Chicago Tribune. 2023年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月2日閲覧。
  14. Lev (2024年8月2日). Snacks like Coffee Crisp and ketchup chips are only available in Canada, but they have fans around the world”. Yahoo News!. 2024年8月9日閲覧。
  15. Thiessen 2017, p. 36.
  16. “U.S. food writers have just discovered Canadian ketchup chips. So what did they think?”. The Hamilton Spectactor. September 3, 2019. ProQuest 2284228859. 2025年1月26日閲覧.
  17. “Mr. Potatohead rates chips”. The Daily News. March 11, 1984. 2025年1月26日閲覧.
  18. Thiessen 2017, pp. 41–42.
  19. Tudor Crisps: The North East's very own snack was produced until 1993”. Chronicle Live. 2025年6月7日閲覧。
  20. Packaging for new Walkers' Heinz crisps”. Design Week (2001年6月14日). 2024年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月2日閲覧。
  21. Davidson (2024年8月7日). Walkers and Heinz launch three 'mind-bending' new crisp flavours — dividing opinion”. Yahoo News!. 2024年8月9日閲覧。
  22. カナダにあってアメリカにない、ケチャップチップス”. All About (2013年2月20日). 2013年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月5日閲覧。
  23. ポテトと相性抜群のケチャップ味新登場!『コイケヤポテトチップス ケチャップ味』新発売”. 株式会社湖池屋 (2006年2月23日). 2025年6月5日閲覧。
  24. ニュースリリース 『ポテトチップス カゴメトマトケチャップ味』”. カルビー株式会社 (2013年11月20日). 2025年6月5日閲覧。
  25. Chu. U.S. food writers discovered ketchup chips, what did they think?”. Toronto Star. 2025年1月19日閲覧。
  26. Braganza. Canada's Best Ketchup Chip: A Definitive Ranking”. Chaitelaine. 2025年1月19日閲覧。
  27. 1 2 Hristova. American dad and son flooded with ketchup chips after Niagara Falls hunt now donating the crunchy snacks”. CBC. 2025年6月6日閲覧。
  28. Sahinturk (2023年8月22日). American family who went viral for ketchup chip road trip have so many bags now, they're donating some”. Yahoo! News. 2024年12月5日閲覧。

出典

[編集]
  • Thiessen, Janis (2017). Snacks: A Canadian Food History. University of Manitoba Press. ISBN 9780887555275