グンバイヅル

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グンバイヅル
長野県東信地方 2018年6月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : シソ類 Lamiids
: シソ目 Lamiales
: オオバコ科 Plantaginaceae
: クワガタソウ属 Veronica
: グンバイヅル V. onoei
学名
Veronica onoei Franch. et Sav.[1]
和名
グンバイヅル(軍配蔓)[2]

グンバイヅル(軍配蔓、学名:Veronica onoei)は、オオバコ科クワガタソウ属多年草[2][3]。別名、マルバクワガタ[1]

従来の分類体系である新エングラー体系クロンキスト体系では、クワガタソウ属はゴマノハグサ科に含められていた[1]

特徴[編集]

は地面を這って長く伸び、節からひげを出して広がる。はつる状の茎に対生して2列にならび、葉身は円形または広楕円形で長さ13-25mm、幅8-25mm、先端は円く、鋸歯は細かな円頭または鈍頭で、葉柄はごく短い。葉質はやや厚く、表面につやがある[2][3][4][5]

花期は7-8月。地面をはった茎の葉腋から長さ6-13cmになる花序が直立し、やや密に多数の花をつける。花柄は長さ1-1.5mmになり、花軸とともに柔らかい腺毛が生える。花柄の下に葉があり、線状披針形で花柄より少し長い。は深く4裂し、萼裂片は狭卵形でややとがり、淡緑色で腺毛が生える。花冠は径約8mmで漏斗状鐘形になり、4裂し、青紫色になる。雄蕊は2個、雌蕊は1個ある。果実蒴果となり、倒卵状楕円形で平たく、長さ4-6mm、幅3-4mmで、先端はへこみ、縁に細かな腺毛が生える。種子は扁平で多数ある[2][3][4]

分布と生育環境[編集]

日本固有種。本州(群馬県、長野県)の浅間山付近、四阿山志賀高原美ヶ原などの限られた場所に分布し、高地の日当たりのよい礫地に生育する[3][4][5]

名前の由来[編集]

和名グンバイヅルは「軍配蔓」の意で、果実の形が軍配に似ることと、茎が蔓状になることによる[3][4]

種小名(種形容語)onoei は、明治初期の植物学者小野職愨 (1838 - 1890)への献名である[4]

保全状況評価[編集]

(2017年、環境省)

ギャラリー[編集]

近縁の外来種[編集]

近縁種では、帰化種セイヨウグンバイヅル Veronica officinalis L.[6]がある。本種はヨーロッパ原産で、通常は観賞用または薬用として栽培されているが、岩手県葛巻町の牧草地脇で野生化したものが発見された[7]

脚注[編集]

  1. ^ a b c グンバイヅル 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.457
  3. ^ a b c d e 『改訂新版 日本の野生植物 5』p.85
  4. ^ a b c d e 『新牧野日本植物圖鑑』p.681, p.1339
  5. ^ a b 『日本の固有植物』p.128
  6. ^ セイヨウグンバイヅル 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  7. ^ 岩手県立博物館だよりNo.147「発見の連続!岩手県の植物相調査」、2015年

参考文献[編集]