グリーン・レクイエム

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グリーン・レクイエム』は、1980年新井素子によって書かれたSF小説である。1985年に映画化(公開は1988年)され、1990年に続編にあたる『緑幻想 グリーンレクイエムII』(IIはローマ数字の2)が書かれた。第12回星雲賞日本短編部門受賞作品。

ちなみに、“グリーン・レクイエム”とは明日香の母の望郷の念を現した「歌」(その「歌声」はピアノの楽音に似ている)であり、明日香はそれをピアノで演奏していた。小説のラストにはBGMとして「ショパン ノクターン 作品9の1」「リスト 巡礼の年 イタリア」と付記されており、それらをイメージしていることがうかがわれる。

出版状況[編集]

小説「グリーン・レクイエム」は当初奇想天外1980年9月号に掲載された後、1980年に奇想天外社から「週に一度のお食事を」と「宇宙魚顛末記」の2作とあわせて単行本『グリーン・レクイエム』として刊行、同内容で1983年10月に講談社から文庫版が刊行された。『緑幻想』は当初書き下ろしの単行本として1990年2月に講談社から刊行されている。『緑幻想』刊行後の1990年4月には『緑幻想』と判型・表装を揃え小説「グリーン・レクイエム」のみを内容とした単行本の『グリーン・レクイエム』が講談社から出版された。

2007年2月には出版芸術社から刊行された「色」をテーマにした新井素子の自選作品集『窓のあちら側』に収録され、同年5月には日本標準からシリーズ「本のチカラ」として児童書形式で刊行されている(いずれも小説「グリーン・レクイエム」のみ収録)。また同年11月には「グリーン・レクイエム」と『緑幻想』が合冊された1巻本が東京創元社創元SF文庫から刊行された。

あらすじ[編集]

嶋村信彦は、大学の研究室で植物学者の松崎の助手をしている25歳の青年。そんな彼が長い髪を持った22歳の女性・三沢明日香に恋心を抱くようになる。だが、彼女の本当の髪の色は緑色だった。それを知った松崎は、彼女が長年捜し求めていた「緑色の髪の人間」である事に気付いて、研究材料として施設に監禁してしまう。激怒した信彦は明日香を連れて逃げ出すが、明日香の体には地球の運命すら左右する重大な秘密が隠されていた。

彼女の正体は、地球で生き延びる為に地球人の姿になった、植物系の異星人である。彼らは地球人と違って髪の中に含まれた葉緑体による光合成によって生命活動が可能で、動物のような他者(植物及び他の動物)を捕食して生命活動を維持する生命体が存在するという事実そのものに強い拒絶反応を持つ者もいる。また、彼らと接触した植物はその影響を受けて自らの意思を持つようになり、自らを捕食しようとする動物に対して自己防衛本能を発揮するようになる。それは地球の植物においても例外ではない。

続編の『緑幻想』では、明日香の身に起こった悲劇の後に遺された人々が、彼女からの最後のメッセージを受け取るために屋久島に集まるまでの物語を、前作に関与しなかった第三者である植物学の研究者・箕面夏海の視点を中心として描いている。

エピソード[編集]

当初、この話は長編小説の序章部分にあたり、新井自身も続編執筆を希望していたが、最初の出版元の倒産により続編は中止となり、版権も移された。その際、文庫版の担当者がたまたま明日香を人体実験する信彦の同僚と同姓になってしまったために、文庫化にあたって新井がそれを気遣って名前を変更した。その後、続編執筆の話が再び持ち上がった際に、新井はその事実を忘れて既に絶版となっていた最初の単行本の設定を元に続編『緑幻想』を書いたため、入手可能な文庫版で『グリーン・レクイエム』を読んだ読者からは「信彦の同僚の名前が違っているが誤植ではないか」という手紙が来たという。

イメージアルバム[編集]

プログレッシブ・ロックの貴公子”と謳われ、さらにSF作家としても活動していた難波弘之がプロデュースする“Sound Nobel Series”と銘打った、小説を音楽で表現するという企画アルバムシリーズの一作。

  • 「グリーンレクイエム」オリジナルアルバム - 1984年発売のLPレコード
    • グリーン・レクイエム(紙ジャケット仕様) Limited Edition(CD) - 2010年発売の上記復刻CD

発売元:キングレコード ・サウンドプロデュース:難波弘之 ・ジャケットイラスト:文月今日子

コミック版[編集]

2回に渡って漫画化されている。いずれも発行は講談社。

  • 「グリーンレクイエム」文月今日子版 - KCフレンド、1985年
  • 「グリーンレクイエム」春名里日版 - KCデザート、2003年

英訳[編集]

ラジオドラマ版[編集]

  • 「ふたりの部屋」(NHK-FM) 1985年2月11日~15日(全5回)

脚色[編集]

音楽[編集]

出演[編集]

映画版[編集]

1985年に制作されたものの、諸事情によって公開が延期されて3年後に公開された[1]。同時上映は『りぼん RE-BORN』(パル企画、監督:今関あきよし)。

白組による、SFX技術が導入されている[1]

尚、サントラCDは出ていないが、久石譲によるCD「Piano Stories」(1988年7月21日発売)にメインの曲(タイトル「Green Requiem」) が収録されており、文芸座IIで上映された際には、劇場でその曲が流れ、CDが原作単行本と共に販売されていた。 2002年6月21日《クレスト1000》シリーズとして発売されたCD「風-Winds~ナウシカの思い出に捧げる」 [Limited Edition] 演奏: 藤原真理, 久石譲, 秦はるひに「Green Requiem」が収録された。 また、2010年8月18日 デンオン・クラシック・ベスト100として、同一曲目が収録されているBlu-spec CD版が発売されている。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b 石井博士ほか 『日本特撮・幻想映画全集』 勁文社、1997年、314頁。ISBN 4766927060