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グリーンランディアン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地質時代新生代[* 1][* 2]
累代 基底年代
Mya[* 3]
顕生代 新生代 第四紀 完新世 メガラヤン 0.0042
ノースグリッピアン 0.0082
グリーンランディアン 0.0117
更新世 後期更新世 0.129
チバニアン 0.774
カラブリアン 1.8
ジェラシアン 2.58
新第三紀 鮮新世 ピアセンジアン 3.6
ザンクリアン 5.333
中新世 メッシニアン 7.246
トートニアン 11.63
サーラバリアン 13.82
ランギアン 15.97
バーディガリアン 20.44
アキタニアン 23.03
古第三紀 漸新世 チャッティアン 27.82
ルペリアン 33.9
始新世 プリアボニアン 37.8
バートニアン 41.2
ルテシアン 47.8
ヤプレシアン 56
暁新世 サネティアン 59.2
セランディアン 61.6
ダニアン 66
中生代 251.902
古生代 541
原生代 2500
太古代[* 4] 4000
冥王代 4600
  1. ^ 基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
  2. ^ 基底年代の更新履歴
  3. ^ 百万年前
  4. ^ 「始生代」の新名称、日本地質学会が2018年7月に改訂

グリーンランディアン (英語: Greenlandian) [1][2][3]は、11,700年前(b2k)から8,236年前(b2k)までにあたる、新生代第四紀完新世の地質時代の一つ。前期完新世(ぜんきかんしんせい、Early Holocene)という亜世としても知られる。

それに対応する層序単元グリーンランディアン英語版 (the Greenlandian Stage)は第四系完新統の最下層で、下部完新統(かぶかんしんとう、Lower Holocene Subseries)とも呼ばれる[1]

定義

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NGRIP2コアから得られたδ18Oのデータ(縦軸)。横軸は年(BP)で11,700年前がグリーンランディアン階下底である。この部分で顕著な変曲点を示す。

グリーンランディアン階下底の国際標準模式層断面及び地点 (GSSP) はデンマークグリーンランド中央部の氷床において北グリーンランド・アイスコア計画 (North Greenland Ice Core Project)によって採取されたNGRIP2(North GRIP2)コア (北緯75度06分00秒 西経42度19分12秒 / 北緯75.1000度 西経42.3200度 / 75.1000; -42.3200、深さ1492.45 mメートル)である[1]。この境界ははじめ2008年に完新統の下底として国際層序委員会 (International Commission on Stratigraphy, ICS)で批准された[1][4]。その後2018年7月に完新統の残りの階であるメガラヤン階およびノースグリッピアン階とともにグリーンランディアン階の下底として国際層序委員会で批准された[1][5]

ヤンガードリアス期 (Younger Dryas) と Greenland Stadial 期の境界付近で、最初に気候が改善されるところであり、この現象が最もよく観察されるのがNGRIP2氷床コアであった[6]。NGRIPコアでは、重水素含有率変化、酸素同位体の変化 (δ18O)、塵の混入率変化、年縞幅変化が同調して認められる[6][4][5]。他の境界模式と異なるのは、普通海成層中を境界模式とするのに対し、このGSSPは岩相が「ppb単位の塵を含む」であり、アプローチも容易でない点である[6]。しかし、このグリーンランディアン階の下底(11,734年前)はGrímsvötn 火山から噴出したSaksunarvatn Tephra(10,428年前)とKatla 火山から噴出したVedde Ash(12,252年前)の間にあり、他地域との対比がしやすいという強力な利点がある[6]。また、δ18Oの値もかなり顕著な変化を示し、対比に有効である[6]。この時期の海成層は堆積速度や連続性、マーカーなどに関して様々な問題があり、陸水である湖沼の堆積層でも花粉化石などによる研究はされているが、放射性炭素年代における技術的な問題があり、絶対年代における定義が難しかった[4]

脚注

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  1. ^ a b c d e Global Boundary Stratotype Section and Points”. GSSPs. 2021年7月21日閲覧。
  2. ^ a b ICS chart containing the Quaternary and Cambrian GSSPs and new stages (v 2018/07) is now released!”. 15 July 2018閲覧。
  3. ^ 国際層序年代表”. 日本地質学会 (2019年5月). 2020年1月26日閲覧。
  4. ^ a b c Walker et al. 2008, pp. 3–17.
  5. ^ a b Walker et al. 2018, pp. 213–223.
  6. ^ a b c d e 熊井 2007, pp. 25–28.
  7. ^ Amos, Jonathan (18 July 2018). “Welcome to the Meghalayan Age - a new phase in history”. BBC News. https://www.bbc.co.uk/news/science-environment-44868527 19 July 2018閲覧。 

参考文献

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  • Walker, MJC; Rasmussen, SO; Popp, T; Steffensen, J-P; Gibbard, P; Hoek, W; Lowe, J; Andrews, J; Björck, S; Cwynar, LC; Hughen, K; Kershaw, P; Kromer, B; Litt, T; Lowe, DJ; Nakagawa, T; Newnham, R; Schwander, J.. “Formal definition and dating of the GSSP (Global Stratotype Section and Point) for the base of the Holocene using the Greenland NGRIP ice core, and selected auxiliary records”. Journal of Quaternary Science 24 (1): 3–17. 
  • Walker, MJC; Johnsen, S; Rasmussen, SO; Steffensen, J-P; Popp, T; Gibbard, P; Hoek, W; Lowe, J; Andrews, J; Björck, S; Cwynar, LC; Hughen, K; Kershaw, P; Kromer, B; Litt, T; Lowe, DJ; Nakagawa, T; Newnham, R and Schwander, J (2008). “The Global Stratotype Section and Point (GSSP) for the base of the Holocene Series/Epoch (Quaternary System/Period) in the NGRIP ice core”. Episodes 31 (2): 264-267. doi:10.18814/epiiugs/2008/v31i2/016. 
  • Walker, MJC; Berkelhammer, M; Björck, S; Cwynar, LC; Fisher, DA; Long, AJ; Lowe, JJ; Newnham, RM et al. (2012). “Formal subdivision of the Holocene Series/Epoch: a discussion paper by a Working Group of INTIMATE (Integration of ice-core marine and terrestrial records) and the Subcommission on Quaternary Stratigraphy (International Commission on Stratigraphy)”. Journal of Quaternary Science 27: 649-659. 
  • Walker, M; Head, MJ; Berkelhammer, M; Björck, S; Cheng, H; Cwynar, L; Fisher, D (2018). “Formal ratification of the subdivision of the Holocene Series/Epoch (Quaternary System/Period): two new Global Boundary Stratotype Sections and Points (GSSPs) and three new stages/subseries”. Episodes 41 (4): 213-223. 
  • 熊井久雄 (人類紀自然学編集委員会)『人類紀自然学 地層に記録された人間と環境の歴史』共立出版、2007年3月8日、312p.頁。