グリーズ

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グリーズ[1]グリズグリス[2]グリッド[3]とも。古ノルド語: Gríðr。綴りは他にGridr、Gridとも)は、北欧神話に登場する女巨人である[4]

グリーズは、ハーコン・シグルザルソンに仕えていた詩人エイリーヴ・グズルーナルソンEilífr Goðrúnarson)によるスカルド詩の『トール讃歌』、そして、『スノッリのエッダ』第二部『詩語法』で言及される。

『詩語法』では次のようなエピソードが語られる[4]ゲイルロズに脅迫されたロキが、トールミョルニルメギンギョルズヤールングレイプルを持たずにゲイルロズの所へ行くように仕向けた。トールとロキは途中でグリーズの家に泊まった。グリーズは、ミョルニルも何も持っていなかったトールに、自分の所有する不思議な道具を貸した。それはグリダヴォルGrídarvöl)という杖、一対の鉄の手袋(ヤールングレイプル[5])、力帯(メギンギョルズ[5])であった。これらによってトールはゲイルロズと一族を倒した[6]

グリーズはまた、オーディンとの間にヴィーザルをもうけた。出典のはっきりしないエピソードによると、ある日、オーディンが洞窟の中に美しいグリーズを見つけた。彼はグリーズを口説き、そしてヴィーザルが生まれた。ラグナロクが到来したときに息子ヴィーザルがフェンリルと戦って父の仇を討つと知ったグリーズは、息子に鉄製の靴と脛当てを与え、その運命を告げたという[7]

脚注[編集]

  1. ^ 『「詩語法」訳注』などにみられる表記。
  2. ^ 『北欧神話』(H.R.エリス・デイヴィッドソン著、米原まり子、一井知子訳、青土社、1992年、ISBN 978-4-7917-5191-4)などにみられる表記。
  3. ^ 『北欧神話と伝説』などにみられる表記。
  4. ^ a b 『「詩語法」訳注』28頁。
  5. ^ a b こちらはそれぞれ「鉄の手袋」「力帯」を意味する普通名詞
  6. ^ 『北欧神話と伝説』61頁。
  7. ^ 『北欧の神話伝説(II)』41-46頁。

関連項目[編集]

参考文献[編集]