グラディス・ミッチェル

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グラディス・ミッチェル (Gladys Maude Winifred Mitchell, 1901年4月19日 - 1983年7月27日)はイギリス推理作家。教師をしながら半世紀以上にわたって小説を書き続けた。その大部分はブラッドリー夫人物の推理小説である。他にノンシリーズの短編、9作の児童小説(内4作はパム・スチュアートという名の少女を中心にしたシリーズ物)を書いた。また、スティーヴン・ホッカビー (Stephen Hockaby)、マルコム・トリー (Malcolm Torrie)という共に男名前のペンネームでも長編を発表した。その多くは奇妙な伝説や遺構が残るイギリス各地の田舎を舞台にとり、読者にも実相を把握しがたい出来事や犯罪と、やはり把握しがたい種明かしが一様のペースで進行する。少年少女が犯人や被害者を含め、重要な役割を果たす作品が多いことでも知られる。

ブラッドリー夫人[編集]

フルネームはビアトリス・アデラ・レストレンジ・ブラッドリー(Mrs. Beatrice Adela Lestrange Bradley)。2度あるいは3度の結婚歴があり、いずれも死別している。結婚前の姓は不明。レストレンジは最初の夫の姓である。親族や子孫の数は大変に多く、彼らはしばしば事件に巻き込まれる。自称親族が現れたこともある。ロンドンに診療所を構える精神分析医で内務省の顧問を務めている。1956年以降の作品の大部分では受勲してデイム・ビアトリスと呼ばれている。小柄で黄色い肌色、眼は黒、装いは派手な色合いが常である。美声の持ち主。人を不安にさせる雰囲気を漂わせてアリゲータークロコダイル(クロック夫人というあだ名もある)、ボアコンストリクター翼竜、怪鳥などにたとえられている。デビュー作Speedy Deathで初めて発した科白も"I remember that a friend of my own fainted in the bath some four years ago...She was drowned."という不吉なものだった。書き始めた時点では夫人は探偵役ではなかったという。投げナイフダーツ空気銃リボルバーなど飛び道具の達者でもある。趣味の編み物は下手の横好きで得体のしれないオブジェが仕上がる。

1929年から作者死後の1984年まで大人向きの全長編66作、短編6作、1940年放送のラジオドラマ1作に登場。BBCが"The Mrs Bradley Mysteries(ブラッドリー夫人の名推理)"のタイトルで、長編5作をテレビドラマ化した際にはダイアナ・リグが演じた。シリーズは英本国では一定の人気を保ち、加えて近年リプリントが相次いだ。さらに2013年5月にはアマゾン・パブリッシングがレスリー・チャータリスのセイント物49冊とミッチェル作品71冊を電子書籍として随時刊行すると発表した。

邦訳作品[編集]

未訳作品については英語版か下記の外部リンクを参照されたい。

長編[編集]

  • 『ウォンドルズ・パーヴァの謎』 河出書房新社 2007年  The Mystery of a Butcher's Shop, 1929
  • 『ソルトマーシュの殺人』 国書刊行会 2002年  The Saltmarsh Murders, 1932
  • 『月が昇るとき』 晶文社 2004年/柏艪舎 2011年  The Rising of the Moon, 1945
  • 『踊るドルイド』 原書房 2008年  The Dancing Druids, 1948
  • 『トム・ブラウンの死体』 早川書房 1958年   Tom Brown's Body, 1949
  • 『ワトスンの選択』 長崎出版 2008年   Watson's Choice, 1955
  • 『タナスグ湖の怪物』 論創社 論創海外ミステリ 2008年   Winking at the Brim, 1974

短編[編集]

ともにアメリカで2005年に刊行された全短編集“Sleuth's Alchemy”に収録されている。

エッセイ[編集]

  • 『よく訊かれる質問─なぜ、人は推理小説を読むのだろう』(『ミステリー雑学読本』に収録)集英社 1982年 The Most Asked Question: Why Do People Read Detective Stories?, 1977

連作[編集]

  • 『警察官に聞け』 早川書房 1984年   Ask a Policeman, 1933
  • 『弔花はご辞退』(『殺意の海辺』に収録)早川書房 1986年   No Flowers by Request, 1953

外部リンク[編集]