グラシーニャ・レポラーセ

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セルジオ・メンデスとグラシーニャ・レポラーセ (1971)

グラシーニャ・レポラーセ(Gracinha Leporace, 本名:ティニー・マリア・ダ・グラサ・レポラーセ、1950年1月30日〔1月20日説もあり〕 - )はブラジル出身のボサノヴァミュージシャン。

経歴[編集]

3人兄妹の末っ子としてリオデジャネイロに生まれる。学生時代より音楽活動を始め、グルーポ・マニフェストに参加。17歳の時、第2回国際歌謡祭に兄フェルナンド作の「Canção de Esperare Você」で出場し注目を浴びる。この曲は後にエレンコ・レーベルよりシングルとして発売された。

また、上記歌謡祭を中心とした企画盤『II Festival Internacional da Canção Popular』では兄フェルナンド作のほかにソロ名義で「Canto de Despedida」「Oferenda」、マリオ・テリスとのデュエット「Desencontro」、グルーポ・マニフェスト名義で「Margarida」を発表。

上記グルーポ・マニフェスト在籍時には『Manifest Musical』『Grupo Manifesto No.2』(ともにELENCO発売)の2枚を発表。同グループは2作発表の後、解散している。

1968年、18歳の時には、ソロ名義で『Gracinha Leporace』(PHILIPS発売)を発表。その後、エルメート・パスコアールアイルト・モレイラなどで知られるクアルテート・ノヴォに参加。サンパウロに一時帰国していたセルジオ・メンデスにスカウトされ、ボサリオの一員になる。

この時、渡米しセルジオ・メンデスと結婚する。

ボサリオでは『Bossa Rio』(A&M発売)・『Alegria!』(BULE THUMB発売)の2作に参加。1970年にはゲストにジョアン・ドナートを迎えて初来日し、ブラジル'66の前座を担当。この様子はライブ盤『Live At The Expo '70』(キングレコード発売)に収められている。

ボサリオと平行してブラジル'66にも参加。1970年にブラジル'66のメンバーチェンジがあった時に、ラニー・ホールと入れ替わりでクラウヂオ・スロンとともに正式参加。

以後、セルジオ・メンデスのほとんどの作品に参加。ボサリオ解散後には、セルジオ・メンデス&ブラジル'77のボーカリストとして参加。セルジオ・メンデスがプロデュースする作品にも参加するなど、多岐に渡る活動をする。

1977年製作のドキュメンタリー映画『ペレ』のサウンドトラックではペレ本人とデュエットしているほか、ジャズ界のリー・リトナーサラ・ヴォーンとも共演している。

その後は特に目立った活動はないが、なおも現役であり、セルジオ・メンデスと公私共に行動をしている。

1968年[編集]

1968年はブラジル音楽界にとっては非常に重要な年であった。軍事政権のもと、多くのミュージシャンが弾圧や亡命する不遇な時代を送る最中、カエターノ・ヴェローゾジルベルト・ジルなどによってトロピカリアが結成(「トロピカリズモ」という思想の誕生でもある)され、また歌謡祭も頻繁に行われて多くの新人が発掘された。トン・ゼームタンチスジョイスなども相次いでデビューをしている。

親日家としての一面[編集]

セルジオ・メンデスと共に日本には頻繁に訪れている親日家である。日本料理に興味を持ち、ボサリオ時代の愛車はトヨタ・コロナマークIIであった。日本人ミュージシャンとも親交があり、吉田和雄によるL.A.TRANSITの『De Novo』(クラウン発売)に参加。他に相田翔子の『JOIA』(ポリスター発売)や、阿川素子の『OURO de MANUS』(ビクター発売)にも参加。1971年には、ブラジル'77の「Pais Tropical」(キング発売)では日本語の歌詞で歌っている。

ディスコグラフィー[編集]

特に記述がないものに関しては日本国内盤が発売されていない。しかしボサリオの『Alegria!』など復刻化が進んでおり、ブラジル'66以降の作品に関しては比較的入手が容易である。

グルーポ・マニフェスト時代[編集]

  • Canção de Esperare Voce(シングル、ELENCO/CE50)
  • II Festival Internacional da Canção Popular(企画盤、PHILIPS/R765.019L)
  • Manifest Musical(アルバム、ELENCO/ME44)
  • Grupo Manifesto No.2(アルバム、ELENCO/ME49)※日本国盤はユニバーサルより発売。型番はPHCA-4223

ソロ時代[編集]

  • Gracinha Leporace(アルバム、PHILIPS/R765.033L)※日本国内盤は『Saudade Brasileira Vol.42』としてユニバーサルより発売。型番はUICY-3525

クアルテート・ノヴォ時代[編集]

このグループは1枚しかレコードを出しておらず、しかもレポラーセが参加する前の発表であるため彼女は関わっていない。

ボサリオ時代[編集]

  • Bossa Rio(アルバム、A&M/SP4191)※日本国内盤タイトルは『サンホセへの道』A&M/POCM-1883
  • Alegria!(アルバム、BULE THUMB/SILBT 2769)※日本国内盤はボンバ・レコードより発売。型番はBOM24055
  • Live At The Expo '70(ライヴアルバム、キングレコード/SR410)
  • Live At The Expo '70+1(A&M/UICY-3710)
  • Live At The Expo '70+1(A&M/UICY-93154)※紙ジャケット仕様

ブラジル'66時代[編集]

  • Fool On The Hill(アルバム、A&M/4160)※日本国内盤はユニバーサルより発売。型番はUICY-90157:6曲目の「Lapinha」に参加
    • Fool On The Hill(ユニバーサル/UICY-93148)※紙ジャケット仕様
  • Stillness(アルバム、キングレコード/AML-81):6曲目の「Lost In Paradise」に参加
    • Stillness(A&M/4284)
    • Stillness(A&M/UICY-3707)
    • Stillness(A&M/UICY-93151)※紙ジャケット仕様

ブラジル'77時代[編集]

  • Pais Tropical(アルバム、キングレコード/AML115)
    • Pais Tropical+1(ユニバーサル/UICY-93152)※紙ジャケット仕様
  • Pais Tropical(シングル、キングレコード/AM95)
    • Pais Tropical 日本語ver.(キングレコード/AM131)
  • After Midnight(シングル、キングレコード/AM117)
  • Primal Roots(アルバム、キングレコード/AML-150)
    • Primal Roots(ユニバーサル/UICY-3709)
    • Primal Roots+1(A&M/UICY-93153)※紙ジャケット仕様
  • Love Music(アルバム、BELL/BLPM-12-SM)※CD盤はBELL/アリスタ/BVCM-37398
  • Love Music(シングル、CBSソニー/BLPB205-SM)
  • Vintage 74(シングル、CBSソニー/ECPN-27-SM)※CD盤はBELL/アリスタ/BVCM-37399
  • Brasil'77 Live In Japan(ライヴアルバム、CBSソニー/ECPH-13-14-SM)※カセット盤あり、型番は28KP1120
    • Brasil'77 Live In Japan カーニバルの朝(CBSソニー/ECPH-20)

参加作品[編集]

  • セルジオ・メンデス『Confetti』(アルバム、A&M/SP-4984)※日本国内盤タイトルは『オリンピア』ポリドール/POCM-1977:7曲目の「Kisses」に参加
  • セルジオ・メンデス『Brasil '86』(アルバム、キャニオン/C28Y3077)※CD盤はキャニオン/D32Y3072:4曲目の「Your Smile」に参加
  • セルジオ・メンデス『Timeless』(アルバム、ビクター/VICP-63281):3曲目の「Berimbau/Consolação」に参加
  • 映画『ペレ』OST(イースト・ウエスト・ジャパン/AMCY-1247):7曲目の「Big City」、13曲目の「Main Theme - "My World Is a Ball"」に参加
  • L.A.TRANSIT『De Novo』(アルバム、日本クラウン/COCY78711)
  • 相田翔子『JOIA』(アルバム、ポリスター/PSCR5455)
  • 阿川素子『OURO de MANUS』(アルバム、ビクター/VICL-1492)

オムニバス作品[編集]

  • Bonita!Bossa Nova(ユニバーサル/UICY-4257):17曲目に「Canção da Desesperança」を収録
  • Bossa Nova -Encore!(ユニバーサル/UICY-4111):20曲目に上記同曲を収録

関連項目[編集]