グアーガム

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グアーガム
識別情報
CAS登録番号 9000-30-0 チェック
E番号 E412 (増粘剤、安定剤、乳化剤)
KEGG D04403
特性
酸解離定数 pKa 5-7
危険性
安全データシート(外部リンク) MSDS
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
構造式

グアーガム (Guar Gum) とは、グアー豆のいわゆる胚乳(正確には子葉)部から得られる水溶性の天然多糖類のことである。CAS登録番号は9000-30-0。直鎖状に結合したマンノース2分子に1分子のガラクトースの側鎖をもつ多糖類である。分子量は20~30万。

薬用・食用[編集]

血糖値上昇抑制作用、コレステロール低下作用、便通改善などの生理効果が知られている。

グアーガムを食事とともに摂取すると、血糖上昇が抑制され、インスリンの分泌も抑制された[1][2]

食品添加物として認められており、増粘剤、安定剤、ゲル化剤として広く用いられている。アイスクリーム和菓子、水産ねり製品、サラダドレッシングタレスープソースなど幅広い食品に利用されている。また、グアー豆を酵素で処理したグアー豆酵素分解物水溶性食物繊維として用いられている。

他の用途[編集]

シェールガスの生産に伴い2010年ごろからグアーガムの需要は上昇し、その原料であるグアー豆が高騰し以前の40倍にまで達するに至った[4]。需要増加を当て込んで2012 - 2013年に掛け生産設備の拡大がなされたが、原油価格の下落によりほぼ半分の需要にまで落ち込み、農家と、食用にしてきた貧困層の食糧事情に影響が出ている[3]。なおグアー豆の生産はインドパキスタン以外にもアメリカオーストラリアアフリカでも栽培されている。

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Jenkins, D.J.A., Lees, A.R., Gassull, M.A.,Cochet, B. and Alberti, G.M.M.: Ann. Intern. Med., 80, 20 (1977)
  2. ^ 奥恒行, 藤田温彦, 細谷憲政、「グルコマンナン, プルランならびにセルロースの血糖上昇抑制効果の比較」『日本栄養・食糧学会誌』 1983年 36巻 4号 p.301-303, 日本栄養・食糧学会
  3. ^ a b シェールガス採掘に利用価値が見出され価格が高騰したインド 富をもたらす豆”. NHK海外ネットワーク (NHKエコチャンネル). 日本放送協会 (NHK) (2013年9月8日). 2016年1月31日閲覧。
  4. ^ 村井美恵. “"3分で納得!暮らしの中に学び在り*アイスクリームとシェールガス革命"”. 丸紅グループ広報誌『M-Spirit』. 丸紅経済研究所. 2016年1月31日閲覧。