グアンロン

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グアンロン
生息年代: ジュラ紀後期オックスフォーディアン,160 Ma
Guanlong and Alioramus.jpg
幕張メッセにて、グアンロン骨格(手前)
地質時代
約1億6000万年前
中生代後期ジュラ紀オックスフォーディアン)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : (未整理)コエルロサウルス類 Coelurosauria
上科 : ティラノサウルス上科 Tyrannosauroidea
: プロケラトサウルス科 Proceratosauridae
: グアンロン属 Guanlong
学名
Guanlong
徐星 et al., 2006
下位分類(

グアンロン学名:Guanlong冠龍)は、ジュラ紀後期オックスフォーディアン中華人民共和国に生息したティラノサウルス上科プロケラトサウルス科獣脚類恐竜の属。2006年徐星らが初めて記載し、グアンロンがティラノサウルスに関連する新たな分類群を代表することを発見した。学名は中国語で「5色の鶏冠を持つ竜」という意味。現在のところ、部分的に化石が揃った成体とほぼ完全な幼体の2体が知られている。中国の石樹溝層から標本が発見された。

記載[編集]

グアンロンとヒトの大きさ比較

全長は3メートルほど[1][2]で、有名な親戚であるティラノサウルスから9200万年昔に遡る約1億600万年前にあたるジュラ紀後期オックスフォーディアンの石樹溝層から化石が発見された[1]。この二足歩行の竜盤類獣脚亜目の恐竜は子孫と様々な特徴を共有し、頭部の大きなトサカといった特異的な特徴も持つ。後のティラノサウルスと異なり、グアンロンの前肢には3本の長い指があった。特有の鶏冠を除けば近縁なディロングに似ており、ディロングと同様に原始的な羽毛が存在した可能性がある[3]

発見[編集]

頭部が取り除かれたパラタイプ標本 IVPP V14532

グアンロンは中国のジュンガリア地域で中国科学院古脊椎動物古人類学研究所とジョージ・ワシントン大学の合同調査隊により発見され、2006年に徐星らにより命名された。属名のグアンロンは鶏冠を表す「冠」と竜を表す「龍」からなり、鶏冠について言及している。種小名は5色を意味する「五彩」に由来し、グアンロンが発見された場所である色の混じった岩石(五彩灣)を表現している[3][1]

成体の骨格

現在のところグアンロンは2体の標本が知られており、1つはもう一方の標本の上で他の3体の獣脚類とともに石樹溝層で発見された。上で発見された標本がホロタイプ標本 IVPP V14531 で、部分的に繋がった成体の骨格である。もう一方の未熟な標本はパラタイプ標本 IVPP V14532 であり、完全に繋がった保存状態の良い骨格であることから知られている。死亡した後に成体に踏まれたと推定されている。幼体の頭骨の鶏冠はとりわけ小さく、鼻先の前方のみに制限されている。一方で成体の鶏冠は大きく、広範囲に及ぶ。両標本の鶏冠は薄くデリケートな構造であり、交尾のような行動に用いられるディスプレイだったと考えられている[3][1]

分類[編集]

復元図

グアンロンはシノティラヌスジュラティラントおよびストケソサウルスが属するプロケラトサウルス科に分類され、特にその中でもプロケラトサウルスキレスクスと同じ分類群に属することが判明している。しかし2014年に別の研究が発表され、ストケソサウルスをプロケラトサウルス科から除外し、キレスクス、グアンロン、プロケラトサウルス、シノティラヌスをのみをプロケラトサウルス科に分類することが提案された。

以下のクラドグラムは Fiorillo と Tykoski による後者の研究に基づく。

プロケラトサウルス科

キレスクス




グアンロン




プロケラトサウルス



シノティラヌス





古生態[編集]

頭部の復元

組織学的解析を用いて2つの標本の年齢が特定された。成体は7歳で成熟して12歳で死亡したことが示された。幼体は6歳で死亡し、まだ成長途中であった。それぞれが別の年齢であるため、成長途中に何らかの変化があったことが分かる。幼体では鶏冠が鼻先のみに制限されていて比率として短い。眼窩と手も比較的大きく、脚も長く、恥骨の端は伸びておらず、より派生したコエルロサウルス類ティラノサウルス上科の特徴がみられた[3]

グアンロンの鶏冠はディスプレイに用いられた可能性がある。ディロフォサウルスモノロフォサウルスのものに似ており、高度な含気性を示した。しかし、他の属のものよりはデリケートな構造であり、体に対する比率は大きく、そして精巧に構成されていた。ディロフォサウルスとモノロフォサウルスの鶏冠も種の認識に用いられたことが示唆されているが、より細長いグアンロンの鶏冠はよりディスプレイの目的の可能性が高い[3]

グアンロンは主に小動物を捕食していたと考えられている。主な獲物としては小型両生類、小型爬虫類、哺乳類を含むキノドン類が考えられるが、標準的な小型獣脚類よりも牙や頭骨が大きく強力になっているため、同時期同地域に生息していたリムサウルスアオルンインロンといった小型恐竜を襲うことも容易だったと考えられる。(季節的にはマメンチサウルスのような大型恐竜の卵や子供を攫って食べていた可能性もある。) ただしティラノサウルス類に含まれるとはいえ体格が比較的小型だったため他の大型獣脚類(シンラプトルの仲間)に捕食されることもあったと考えられる。ただし肉食動物が肉食動物を襲撃するケースはあまりない。それでも相手をライバルと認識した場合や余程の空腹時に襲撃することがある(例としてはトラヒョウを襲撃するなど)[4][5][6]

出典[編集]

  1. ^ a b c d Csotonyi, J.T.; White, S. (2014). Paleoart of Julius Csotonyi: Dinosaurs, Sabre-Tooths and Beyond. Titan Books. p. 74. ISBN 978-1-7811-6912-4. 
  2. ^ Holtz, Thomas R. Jr. (2008) Dinosaurs: The Most Complete, Up-to-Date Encyclopedia for Dinosaur Lovers of All Ages Supplementary Information
  3. ^ a b c d e Xu X.; Clark, J.M.; Forster, C. A.; Norell, M.A.; Erickson, G.M.; Eberth, D.A.; Jia, C.; Zhao, Q. (2006). “A basal tyrannosauroid dinosaur from the Late Jurassic of China”. Nature 439 (7077): 715–718. doi:10.1038/nature04511. PMID 16467836. http://lesdinos.free.fr/Ty160.pdf. 
  4. ^ 『ホルツ博士の最新恐竜辞典』[要ページ番号]
  5. ^ 『日経ナショナルジオグラフィック』[要ページ番号]
  6. ^ 『地球46億年の旅』[要ページ番号]