クーロンズゲート

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クーロンズゲート
KOWLOON'S GATE
-九龍風水傳-
ジャンル アドベンチャー
対応機種 PlayStation(PS)
ゲームアーカイブス(GA)
開発元 ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)
発売元 初回版・通常版:SME
ARTDINK BEST CHOICE
(廉価版):アートディンク
人数 1人
メディア CD-ROM4枚組
GA版…ダウンロード
発売日 初回版・通常版:1997年2月28日
ARTDINK BEST CHOICE:
2000年10月5日
GA版:2010年4月14日
対象年齢 CEROC(15才以上対象)
その他 企画・脚本・監督:木村央志
キャラクターデザイン:井上幸喜
音楽監督:蓜島邦明
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クーロンズゲート』(KOWLOON'S GATE -九龍風水傳-)は、1997年SMEが発売したPlayStationゲームソフト。

概要[編集]

この世と対なす別世界「陰界」から突如出現した「九龍城(クーロンじょう)」の風水を正し、世界の崩壊を防ぐことを命じられた「超級風水師」を主人公とするアドベンチャーゲーム。

PlayStation初期タイトルとして、PS発売以前からプロモーションムービー等が公開されていたものの、開発の遅れによって発表から発売までに4年以上の歳月を費やした。

2010年4月14日から2013年4月10日の間、PSP/PS3ゲームアーカイブスとしてPlayStation Storeで配信。2015年9月16日よりPlayStation Vitaに対応したほか、初回版のブックレット(デジタル版)が付属して再配信されている。

2017年10月26日には、ジェットマンから本作の前日譚にあたるPlayStation VR専用ソフト『クーロンズゲートVR Suzaku』が発売された[1]

作品メモ[編集]

初回限定版と通常版
本作には「初回限定版」として、紙製の特製ボックスに108ページのハードカバーブックレットが付属したものが存在する。ブックレットの内容は主にゲームの世界観、メイキングについて紹介したファンブック的なものであるが、一部にストーリー上のネタバレも含まれていた。なお、「通常版」との違いはこの「箱」及び「ブックレット」の有無と、背オビデザインのみ。
発売権
2000年に本作の発売権が開発元のSMEからアートディンクへ移行し、同年アートディンクの自社製廉価版である「ARTDINK BEST CHOICE」シリーズ中の一作として、新価格で再発売された(詳細はテンプレートを参照のこと)。パッケージデザイン等の細かい部分以外に大きな変更はない。
ゲームアーカイブスではアートディンク版が配信されたのち、2015年からはシティコネクションより再配信となった[2]
その他
本作の主要メンバーは後に有限会社「是空」を立ち上げ独立した(現在は解散)。

ストーリー[編集]

まだ中国に返還される前の1997年の香港。主人公は香港最高風水会議の超級風水師である。物語は陰界[3]九龍城が陽界に姿を現したことを発端とする。

どうやら原因は陰界においては四神獣の見立てが行われていないことにあるらしく、そのため気脈の流れが乱れ、最も邪気に歪んだ九龍城が陽界に姿を現すこととなったようだ。陰と陽が不用意に交わるようなことがあると世界の存在自体に大きな影響をもたらすこととなるため、主人公は陰界の九龍城にある龍城路へと送り込まれた。 事態解決のために龍城路の奥の胡同へ送り込まれた鏡屋の救出を依頼された主人公は、そこで手に入れた八宝刀を用いて鬼律を倒し、3本の大鍵のある部屋に閉じ込められていた鏡屋を救出した。 もう1本の大鍵の存在を聞かされた主人公は、鏡屋と別れた後に案内屋(クーロン・ナビ)の一人であるリトル・フライと出会い、龍城路まで送ってもらう。

鏡屋が自分の店に戻ってないことを知った主人公は、従業員から九龍フロントに行ってはどうかという提案を受ける。 九龍フロントに来た主人公は、「双子中心」という看板のかかった建物に気づくが、直接建物の中に入れないため、トンネルを抜けて「電脳中心」の前を横切ったところにある「頭髪中心」という建物へ行く。 「頭髪中心」の左側を見ると、紫色のガラス扉を持つ「双子屋」があり、カウンターの中にいる双子師はアクセスカードが必要だと話す。 主人公は再び「電脳中心」の前を横切り、今度は「海鮮中心」へ赴き、そこで占いをしていた宗じいさんからアクセスカードを入手する。その後、主人公は通行人から宗じいさんは占いにかこつけて拾い物を売りつけるということを聞かされた上、双子師から偽造品だとしてアクセスカードの受け取りを拒否される。

アクセスカードを利用できる端末のある龍城飯店に来た主人公は、季弘という男から引替札を差し出される。季弘は小黒という人物から古い暦の本についての依頼を受けており、主人公は「季弘は私が小黒に本を勧めたと勘違いしているのではないか」と思いつつも裏があると感じ、引替札を受け取る。 龍城飯店が開いていなかったため、主人公は電脳中心へ戻ろうとしたところ、小黒が気功塾のあるビルに出入りしているという情報を得る。ビルに来た主人公は阿片屋と出会い、阿片屋が妙な格好の人物からもらったというマジック・カードをもらい、「ブルー・クロウにだけは手を出すな」という警告を受ける。 気功塾の経営者であるウェイは主人公を温かく迎え、助言を与えた後、リッチに頼んで龍城飯店を開けてもらうことにした。 気功塾を出た後、主人公は奇妙な眼鏡をした少年ゲーム・キッズと出会う。彼はこのアクセスカードを偽造したのは自分だと主張し、主人公は彼の求めに応じてアクセスカードを返却した。 龍城飯店で主人公を迎えたバーテンダーのリッチは主人公が手にしていた引替札の存在に気づき、小黒の居場所を教えた。そこへ、小黒が階段を下りてやってきた。

世界観[編集]

妄人と鬼律[編集]

本作の世界で最も重要なファクターは「妄想」である。 気脈の流れが乱れて邪気に満ちた九龍城では、妄想にも邪気が取り付くことによる異常事態が頻発しており、その最も極端な形が「妄人(ワンニン)」と「鬼律(グイリー)」である。

妄人(ワンニン)
「物」に執着しすぎた人間の妄想に邪気が取り付いた結果、「物」自体になってしまった人間で、鍵穴からのぞくことに喜びを感じていた男が妄人となった鍵穴男」にやボイラーが好きだった男が妄人となった「ボイラー男」になどがいる。そして、ほとんど「物」となってしまった彼らにとって唯一人間らしさを保ち続けることができる行為が「妄想すること」であり、妄想することをやめたとき、彼らは完全に「物」となってしまう。彼らはそれを自覚しており、完全に「物」となってしまわないようにするために、妄想することをやめることができない。
鬼律(グイリー)
鬼律は妄人とは逆に、物に邪気が入り込み意思を持ったものであり、日本で言うところの「付喪神(九十九神)」というものに近い。鬼律は邪気を放ち、それに当たることで「気力」を完全に失った人間は妄人になってしまう。
鬼律は、鬼律になる以前の物であったころの姿の面影を残している。彼らを物に還す方法は、宿った邪気に相克する邪気をぶつけるか、邪気そのものを吸い取ることである。

双子と鳴力(ミンリー)[編集]

妄想と並ぶ大きなファクターとして双子の存在もある。日本においても古来から双子の間には不思議な共鳴があるとされ、お互いの居場所を感じあえたり、片方が怪我をするともう片方の同じ部分に痣が現れるなど、不可思議な話が多く存在する。本作においてはその力を鳴力(ミンリー)と呼び、奇跡を起こす不思議な力として人工的に双子を作るようなプロジェクトも存在している。

陰界[編集]

龍城路(リュウジョウロ)[編集]

主人公が最初に足を踏み入れる陰界の町。九龍フロントに比べると狭いが物語が進むと地下道へ入る事が可能となったり、また最も多くの胡同があるところである(ただし各胡同は全体的に繋がっているために胡同内部のマップは同一)。主人公に協力をしてくれる鏡屋や錠前屋、エビ剥き屋の子供がおり、体験版ではここと重慶花園の探索がプレイできた。

重慶花園(チョンキンガーデン)
龍城路のエビ剥き屋奥から入ることのできる胡同。順列的に最初に主人公が入り込む胡同となる。
富善苑(フーシンコート)
龍城路地下の奥から入ることのできる胡同。
庇利路(バイレイロード)
龍城路の水銀屋奥から入ることのできる胡同。
沙角(シャーコック)
龍城路の鏡屋とビン屋の間にある胡同。なんでも金で解決する場所。

九龍フロント[編集]

陰界の中心地のような風情がある比較的巨大な町。中央には巨大なネオン塔があり、良く見ると各店の看板内容まで読み取ることができる。双子屋、龍城飯店、陰陽師ラボなど物語でも重要なポイントがいくつかあったり、小黒やウェイらとの出会いの場でもあったりと実質的な陰界及び物語の中心部となる。この九龍フロントと繋がる胡同は妄人路のみだが、他の街への入口がいくつか存在する。

妄人路
九龍フロントの龍城飯店の先のT字路を左に、階段を降りたところにある。入口には番人がおり通常は入ることができない。
ここは馬山童(マーシャンタン)という老人の頭の中にある世界でそのために、妄想が尽きることが無い場所。妄人が多数集っており妄人路と呼ばれている。ここに来た人間は中に住む妄人たちのために妄想のネタを仕入れる役目を担わされる。妄人路の深部には妄人中心がある。

清朝(シンチョウ)[編集]

物語が進む中で登場する、1850年代の中国。乾清宮(ケンセイキュウ)には道光帝(ドウコウテイ)と呼ばれる人物がおり、城下を治めている。

龍津路(リュウシンロ)[編集]

劇場を中心として繁栄しているため、人々の心は他の陰界の住民と比べると活気があり、街の雰囲気も華やかである。二つの劇場が存在するがどちらも胡同と化してしまい、龍津路の人々は「オガクズ」を集めて胡同内部にある封印石を崩してしまえば鬼律は消え去るというこの町の風水師であるスイジェンの言葉を信じて協力し合っている。

天堂劇場(ティントンシアター)
龍津路の地下にある劇場だが現在は胡同になってしまっている。また天堂劇場の奥では得利会館(ダクレイホール)という古い劇場とも繋がっている。

西城路(サイジョウロ)[編集]

中央に巨大な麗虹(ライフン)という川が流れている町。川と共に生きている人々が住んでいる。昔は大井路と繋がっていたらしいが現在は塞がっている。住民がブリッジと呼んでいる鵲橋(ジャクキョウ)という橋が架かった先は海明大廈(カーメルマンション)という大きなマンションがある。今は行く事ができないが、麗虹のほとりにはモルグへの入口がある。

気海・黄堂・泥丸
総じて一つの西城路の胡同。それぞれの胡同は複雑に絡まっている。これらの胡同は丹田の名称がつけられており、人の身体の部分を意味したものになっている。

大井路(オオイロ)[編集]

町は大井路と小姐路(シウジェロード)とに分かれており、二つは「妖精さんの転送小屋」にてワープして行き来することができる。大井路は様々な医者がそれぞれの医院を開いており、小姐路では小姐窟(シウジェクツ)という夜總会(ヤソウカイ。ナイトクラブの意)などがある。この二つの町それぞれに入口がある巨大胡同も存在する。

維多利亜大廈(ビクトリアマンション)
大井路からは二つの入口から入れる胡同。規模だけではなくその階層も地下地上共に複雑で入り乱れ、ナビの助けがなければ全て踏破する事はほとんど不可能。この維多利亜大廈はさらに奥にある美羅花園(メトロガーデン)という建物と繋がっている。

上海[編集]

物語が進む中で登場する昔の1920年代の中国。妄想の島という名前のこの島には、階段が複雑に絡まり合うエッシャー的空間を特徴とする。胡同は存在しないが、繊細で狂気的なJPEGダンジョンが存在する。

登場人物[編集]

香港最高風水会議[編集]

主人公(超級風水師 - ちょうきゅうふうすいし)
本作の主人公。香港最高風水会議に召喚され、陰界の風水を正すことを命じられた超級風水師。プレイヤーの分身であり、物語は終始彼の目を通して語られる。作中のテキストからは少なくとも男性であることが読み取れるが、実際のイメージはプレイヤー各人の手に委ねられる。

陰界の住人達[編集]

小黒(シャオヘイ)
- 野中希
2年前にひょっこり九龍フロントへやってきて、リッチの手伝いをしながら暮らしているが、その出自は誰も知らない。最近、これまで逢ったこともない「姉」が自分の夢に出てくることについて何かを感じている。その理由を求めるなかで、陰界の風水を巡る物語に巻き込まれていく。ちなみに、「小黒」とは男児に付けられるべき名前である。
リッチ
声 - 鈴木英一郎
九龍フロントの「龍城飯店」一階にあるバーのマスターをしている男性で、左目に眼帯をしている。小黒を妹の様に思っており、「姉の夢」について調べまわる彼女を心配している。現実的で冷静な態度を取る。
ウェイ
声 - 小杉十郎太
九龍フロントで気功塾を営む男。実はオールド・スネークに対抗するレジスタンス「是空」のリーダー。「紅頭(ホントウ)」と呼ばれる特殊な能力を持った少年達を率いている。
ゲームキッズ
声 - 佐々木るん
九龍フロントのゲームセンター「遊戯中心」のゲーマー少年。神出鬼没で機械やネットに詳しい。
鏡屋
物語の序盤で、事態解決のために胡同へ送り込まれた人物。終始能天気な態度を見せる。
水銀屋
龍城路の住民である全身にケーブルを巻き付けた男。ベロニカという妹が妄人になるのを防ぐため、彼女の全身に水銀を塗って死なせてしまった過去がある。
茸売り
声 -八嶋智人[4]
アニタ・ドール
龍津路にある天堂劇場の踊り子をしている男性。本名はツイジェン。
スイジェン
アニタ・ドールことツイジェンの双子の兄である風水師。
宗じいさん
海鮮中心にある血燕の巣の路地の近くで占いをしている老人。拾い物のアクセスカードを主人公に売りつけ、のちにそれを問いただされても要領を得ない態度をとる。
コンピュータ中毒の弟がいる。
季弘
龍城飯店の前で主人公が出会った質屋。
陰陽師
腕は確かだが、そそっかしい人物。
エビ剥き屋の子ども
龍城路の近くのエビ剥き屋にいる少年。年の割に大人びた性格をしている。
コニー楊
小黒の意識に語りかける人物で、主人公にメールで助言を与えてきた人物。媽妃によってバッグの妄人にされた。
媽妃
コニー楊をバッグの妄人にした人物。
剥製屋
妖精さん
玄機
妄人。
夏先生
自らの内に陰と陽を宿してしまった賢者。
ブロマイド屋
自らの幸せな思い出に浸る女性。アニタを特に気に入っている。
グエン・グエン
出世石を扱うベトナム人。

オールド・スネーク[編集]

双子師(ふたごし)
オールド・スネークの下層構成員。青白い顔の不気味な仮面をつけ、双子の力(鳴力)を集めるべく暗躍する。「双子屋」での双子登録受付など事務的な作業のほか、街なかの不穏因子を脅して回るなどチンピラじみた仕事もこなす。
ミスター・チェン
声 - ケン・サンダース
スネークの手下で、九龍フロントの裏を仕切る男。鳴力を強制的に覚醒させるための強力な麻薬、「ブルー・クロウ」を製造している。
老師(ラオシ)
声 - 国井修
双子師四天王のひとり。顔には深い皺が刻まれている。
霊師(リンシ)
声 - 東地宏樹
双子師四天王のひとりである美男子。顔の右半分を前髪で隠している。
仙師(シャンシー)
声 - 天祭揚子
双子師四天王のひとり。虚ろな表情の仮面を被っている。
巫師(ウーシ)
声 - くじら
双子師四天王のひとり。派手なメイクと装飾を施している。
妖帝(ヤオディ)
自らを青龍に見立てようとした風水師。悪霊と化し、双子師四天王を操り、復活を目論む。

案内屋(クーロン・ナビ)[編集]

リトル・フライ
声 - 福士恵二
龍城路のナビ。小型のフライビーグルを自在に乗りこなす小男。自分の身長にコンプレックスを抱いているのか、背の高い帽子を被っている。アヒルのクチバシを思わせるマスクをしており、かったるそうに喋るが意外に協力的。
ハニー・レディ
声 - 五十嵐麗
龍津路のナビを務める隻眼の女性。昆虫をモチーフにしたセクシーなコスチュームに身を包み、アクロバティックな動きを見せる。大人の女性を感じさせる冷静で的確な助言を与えてくれる。
ミスター・ドープマン
声 - 龍田直樹
西城路のナビ。筋肉増強剤で作り上げた強靭な体で、豪快に壁を割り、床をぶち破って現れる。その本体は頭部についた小さな人形で、肉体に見える部分は彼が操縦する乗り物の様なものであるらしい。
バンブージー
声 - 町田義人
大井路のナビ。緑色の覆面を被った男。左手に装備した鉤爪と竹の棒を駆使して身軽に飛び回る。香港の建設現場で高所鳶をしていたが、けがのためにナビに転職した過去を持つ。自分のことを無口だと言いながらよく喋る。

システム[編集]

本作は大きく分けて「JPEGダンジョン」、「リアルタイムダンジョン」と呼ばれるふたつの探索パートと、「戦闘(バトル)」パートから構成されている。JPEGダンジョンでストーリーを進め、情報が集まる(フラグが立つ)とリアルタイムダンジョンに潜り探索、というのがおおよその流れで、その過程で任意もしくは強制的な戦闘が挟み込まれる。

基本的にゲーム全編を通じ主人公の主観視点で描かれる。 プレイヤーはゲーム開始前に、「冷蔵庫」、「扇風機」、「電子レンジ」の3つの中から好きなものを選択する。これは、主人公の所持する邪気が五属性全て揃ってゲームオーバーになった場合、選択した物そのものになることを意味している[4]。 イベントシーンでは三人称的なカメラアングルも存在するが、その場合も主人公の外見は一切描かれない。また物語は50程度のクエスト(エピソード)に分かれており、それぞれにタイトルが付けてある。しかしクエスト名は演出的に明示されるということはなく、セーブする際に進行状況の目安として確認できる程度の扱いである。

探索パート[編集]

JPEGダンジョン
定点から定点を移動していく、いわゆるウォークスルー方式のオーソドックスなアドベンチャーパート。街中を彷徨い、人々の話を聞いたりしながら話を進めていく。移動の際はプリレンダリングの移動ムービーが流れるが、視点が上下左右に蛇行し浮遊感のある特徴的なカメラワークであるため、プレイヤーによっては非常に3D酔いしやすい[5]。一部例外を除き戦闘は発生せず、まずゲームオーバーにはならない。
リアルタイムダンジョン
リアルタイムポリゴンで描かれた「胡同(フートン)」という3Dダンジョンを探索するパート。「JPEGダンジョン」とは異なり自由に移動できる。胡同の中に潜む敵(鬼律)の居場所を特定、撃退することで扉の鍵を開けたり、仕掛けを動かしたりしつつ進んでいく。プレイヤーに大きな段差を乗り越えたり、ジャンプして別の足場へ移るなどといった能力はないが、柵の無いマップの一部分から一方通行的に“飛び降りる”ことは可能となっている。
ほとんどの胡同は非常に複雑な構造をしており、道に迷うのは必至であるため、要所要所でクーロン・ナビが現れ主人公(プレイヤー)に助言を与えてくれる。そのクエストでの目的を遂げると、多くの場合その場からナビに連れられる形で街(JPEGダンジョン)に帰還できる。敵との戦いで気力がゼロになる、もしくは主人公の所持する邪気が五属性全て揃ってしまうとゲームオーバー。

戦闘パート[編集]

戦闘パートは更に2種に分類される。鬼律退治を目的とする通常戦闘的な「風水バトル」と、ボス戦的な性格を持つ「アイテムバトル」である。戦闘パートでは状況に関わらず風水師が一定確率で「行動に失敗」することがあり、極稀に失敗が重なって何も出来ないままゲームオーバーとなってしまうことがある(バグというより仕様の問題)。

風水バトル
プレイヤーは胡同内の鬼律を視認できない。鬼律と戦うには、それに接近することで生じる画面上の「揺らぎ」(鬼律の発する邪気)を頼りにして居場所を特定する必要がある。鬼律と遭遇した場合、その鬼律の持つ属性と相克する属性の邪気をぶつけるか、鬼律の持つ邪気を全て吸収することで鬼律を退治することができる(一般的なRPGに見られる戦闘システムとは、大分異なったものになっている)。鬼律の攻撃で気力がゼロになるか、邪気吸収によって五属性全ての邪気が揃ってしまうとゲームオーバー。
アイテムバトル
ボスクラスの敵と戦う場合、邪気の代わりに弱点となるアイテムを使用する特殊な戦闘方式になる。通常はターン方式だが、この場合アイテム欄を開かない限り一定時間毎に攻撃を受け続けるセミリアルタイム方式に戦闘システムが変わる。ボスは正しいアイテムさえ使用すれば容易に倒すことが可能で、“正解”となるアイテムのヒントは探索パートなどで得られる様になっている。

開発[編集]

シリコングラフィックスのCGワークステーションを用いたPlayStation用ゲームの開発計画がたてられ、次世代機らしい音楽とポリゴンとムービーを主軸に据えることが決まった[6]。 当初は『ブレードランナー』のような世界観を冒険するという構想がたてられていたが、木村央志は仲間たちとともに訪れた香港九龍城砦およびその跡地に衝撃を受け、世界観を変更した[6]。 開発スタッフの一人である井上幸喜は、『マンホール英語版』のようなアドベンチャーゲームをやりたいと考えていた一方、PC版『MYST』で最適化された操作性をPlayStationで表現したらどうなるのかとも考えており、操作性が大きく変わるダンジョンやイベントの間にムービーを挟んで違和感を取り除くという試みを行った[6]。 また、当初はサイバーパンクな世界観ということで大友克洋にキャラクターデザインを依頼しようとしたが、自分で下絵を描いたところプロデューサーの須藤朗がそれを気に入り、自身がキャラクターデザインを務めることとなった[6]

井上はテレビドラマ『NIGHT HEAD』を見て、曲の雰囲気が本作にふさわしいと感じ、当時フジテレビでCGを作っていた経験を活かし、『世にも奇妙な物語』のスタッフを通じ、『NIGHT HEAD』の楽曲を担当していた蓜島邦明を本作の音楽担当者として起用した[6]

独特なキャラクター群のうち、鍵穴男といった「〇〇男」という名称のキャラクター群の多くは木村の考案が考案した[6]。 デザインを担当した井上は「木村さんの中でビジュアルイメージがあるものは、キャラクター設定に挿絵があったので問題なくイメージをつかめた[6]。一方、キーワードだけ指定されたものはそこからイメージを膨らませる必要があり、『面倒なデザインのCGを作らない』という自分の中のルールに従い、キーワードからシンプルなデザインを導き出した」とシシララTVとのインタビューの中で振り返っている[6]。 また、井上はデザイン上のもう一つのルールとして「住民には牙などの武器を持たせない」ということを定めた[6]。これは、彼らはもともと住んでいただけで、プレイヤーには敵対していないためであり、本作には住民が武器を持って主人公を襲う場面が存在しないのもそのためである[6]。 当初の構想では戦闘システムは存在しなかったが、木村が五行思想の属性の相克関係を使いたいと考えていたことと、アイテムを得る喜びをプレイヤーに味わってほしいという思いから、戦闘システムが導入される運びとなった[6]。 当初はPlayStationのローンチタイトルとして発売される予定であり、PlayStation発売前からプロモーションムービー等が公開されていたが、開発の遅れによる度重なる発売延期により1997年2月28日にまでずれ込んだ[4]

本作の開発は何かに引っ張られるように各スタッフが競争して生み出された相乗効果を積み重ねるようにすすめられたものであり、井上は「開発当時誰かに指示された記憶がなく、開発後半にいたっては『クーロンズ・ゲートさん』という架空の人物(概念)に指示された」とシシララTVとのインタビューの中で振り返っている[6]

クーロンズゲートVR suzaku[編集]

2016年11月、『クーロンズゲートVR suzaku』のクラウドファンディングが開始され、すぐに支援金が目標額に達した。 『クーロンズゲートVR suzaku』は龍城路とクーロンフロントを散策する内容であり、本作の登場人物に加え、新キャラクターも登場する[7]。 当初はPlayStation VR専用タイトルだったが、2017年12月21日のアップデートにより、VRモードから独立したnonVRモードが追加された[7]

関連商品[編集]

攻略本[編集]

『コンプリート クーロンズ・ゲート(COMPLETE KOWLOON'S GATE)』
1997年4月 - ソニーマガジンズ
分かり易いマップとフロチャート攻略。製作スタッフへのインタビュー記事、コラム等。
基本を押さえつつも充実した作り。
『KOWLOON'S GATE PARANOIA クーロンズゲート公式ガイドブック』
1997年6月 - アスペクト
詳細なゲームシナリオのノベライズ。袋綴じのマップ付き。テキスト重視。
攻略本としてはやや扱い辛いが、マニアックな執筆陣によるコラムが充実し読みごたえがある。

音楽[編集]

『クーロンズゲート サウンドトラック』
蓜島邦明:1997年4月21日 - SONY RECORDS (SRCL-3784) ¥2,718円(税抜)
  1. クーロンズ・ゲート
  2. 香港最高風水会議
  3. 歓楽の街
  4. リ・トライ
  5. 妄人路
  6. 海鮮中心
  7. アイテムバトル
  8. Happy Hour
  9. 水郷の街
  10. 山高帽男
  11. 陰陽師のテーマ
  12. 九龍フロント
  13. 香港的大廈(龍城路)
  14. 占い部屋
  15. 清朝
  16. エンディング・テーマ
『element』
蓜島邦明:1999年12月9日 - COLUMBIA RECORDS (COCP-30725) ¥2,800円(税抜)
M12に「クーロンズゲート」(メインテーマのリアレンジ版)を収録

漫画・小説[編集]

『陰界伝』
作:神崎京介/原作:木村央志 1997年9月 - 講談社 マガジン・ゲームノベルズ
『クーロンズ・ゲート外伝 九龍幻境風水傳』(上下巻)
原作:高田むつみ/協力:木村央志 1998年6月 - 角川書店

反響[編集]

本作は『ファイナルファンタジーVII』の1か月後に発売されたこともあり、当初の売り上げは開発期間の割に芳しくなかった[4]。 その一方で、独特な世界観に惹かれるファンも多く、2005年以降はYouTubeニコニコ動画といった動画共有サイトの普及に伴い本作の人気も少しずつ上がり、最終的にはPlayStationを代表する作品の一つとしてカルト的な人気を博した[4]。 また、『ガラージュ』など本作に影響を受けたゲームも多数存在する[4]

評価[編集]

Game*SparkのFURUKAWAは本作について、ゲームとしての完成度は低いとした一方で独特の世界観について評価した[4]

クーロンズゲートVR suzakuに対する評価[編集]

IGNの馬淵寛昭は2017年11月9日の『クーロンズゲートVR suzaku』のレビュー記事の中で独特な世界観を評価した一方、ゲーム的な要素が皆無であると述べ、世界観に魅力を感じない者はプレイし続けるだけでもつらいかもしれないと述べた[8]。 また、馬淵は『クーロンズゲートVR suzaku』の唯一のゲーム要素である「剥きエビ」が終盤にかけて大量に集める必要がある点を指摘し、「ただでさえ単調なゲー性に拍車をかけており、このゲームバランスはゲームの性質上、ゲーム性というよりもはや拷問である」と述べている[8]。 さらに馬淵は、画面中央に緑の点があるものの、鼻の頭など視線の基準となる物体がなく、現実で歩く時の感覚との違いが強調されてしまい、ひどいVR酔いに悩まされたとも振り返っている[8]

派生サービス[編集]

Second Life[編集]

『クーロンズゲート』の発売10周年を記念して当時のクリエイターが再結集し、本作の世界観を再現した kowloon というエリアが Second Life 上で2007年7月23日に公開された[9]。(2018年5月時点でまだ継続中。)

脚注[編集]

  1. ^ 「クーロンズゲートVR suzaku」が本日配信を開始。PlayStationの奇作「クーロンズゲート」の世界観をVRで再現
  2. ^ シティコネクションからは同日にキリーク・ザ・ブラッド等の木村央志作品が配信されている。
  3. ^ 陰界=陽界である現世とは表裏の関係にある世界。同一時間軸上に存在するが決して互いに交わることのない世界
  4. ^ a b c d e f g FURUKAWA (2016年1月3日). “【今から遊ぶ不朽のRPG】第11回『クーロンズゲート』(1997)”. Game*Spark. イード. 2018年5月12日閲覧。
  5. ^ 移動の際STARTボタンを押下しながら進行方向を決定すると、移動ムービーをスキップできる。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l 長雨. “制作の黒幕はクーロンズ・ゲートさん!? 『クーロンズ・ゲート』の開発を手掛けた木村央志×井上幸喜×蓜島邦明ロングインタビュー【前編】”. シシララTV. 2018年5月12日閲覧。
  7. ^ a b 「クーロンズゲートVR suzaku」に、ヘッドセット不要のNonVRモードが追加!” (2017年12月21日). 2018年5月12日閲覧。
  8. ^ a b c その中身は、VRという名のファンディスク。” (2017年11月9日). 2018年5月12日閲覧。
  9. ^ NeoKowloon” (日本語). (有)ジェットグラフィクス. 2010年3月21日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]